無聲 The Silent Forest

劇場公開日:2022年1月14日

無聲 The Silent Forest

解説・あらすじ

台湾のろう唖学校で実際に起こった性暴力事件を真正面から描き、アジア各国の映画祭で話題となった社会派ドラマ。聴覚障害をもつ少年チャンはろう唖学校に転校し、学校の設立100周年のパーティで見かけた少女ベイベイに心ひかれる。後日、スクールバスに乗っていたチャンは、バスの一番奥の席でベイベイが複数の男子生徒から性暴力を受けているところを目撃してしまう。ショックを受けるチャンに、主犯格の少年シャオは、その性暴力が「ゲーム」であると語るが……。監督は、Netflixでも配信されたドラマ「暗闇は目を閉じて」などを手がけ、長編映画はこれが初となる新鋭女性監督コー・チェンニエン。台湾のアカデミー賞ともいわれる金馬奨で8部門にノミネートされ、ベイベイ役のチェン・イェンフェイが最優秀新人女優賞を受賞。日本でも2020年・第21回東京フィルメックスのコンペティション部門に出品された。

2020年製作/104分/PG12/台湾
原題または英題:無聲 The Silent Forest
配給:ライツキューブ
劇場公開日:2022年1月14日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

映画レビュー

4.0 胸一杯のリスペクトを贈りたい台湾映画の傑作

2025年11月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

10月31日の日中に新宿武蔵野館で公開初日の『ひとつの机、ふたつの制服』を観て、主演の陳妍霏(チェン・イェンフェイ)にノックアウトされてしまったので、帰宅してから彼女の代表作であるこの『無聲 The Silent Forest』をアマプラで視聴した。

驚くべき傑作だった。
2020年、陳がまだ20歳の頃の作品だが、日本公開は2022年1月だったらしい。まったくノーマークだった。

『無聲』の主役は「台湾の柳楽優弥」みたいに見える俳優であるが(私見です。もちろんこの俳優もとても良い)、陳は重要なバイプレイヤーであり、彼女はこの作品の演技で台湾国内およびアジア圏の有力な賞を軒並み受賞している。
日本語のWikipediaはページが存在しないが「陳妍霏」で繁体字中国語ページがあるので右クリックで日本語訳が読める。

作品の出来として何よりも感服したのは、実際に台南の国立ろう学校で起きていた127件もの性被害事件を正面から取り上げて映画化していること、特に声をあげにくい、あげても軽視されがちな障がい者への加害について過不足なく取り上げていること、性被害者が「自分が我慢すればよい」と沈黙することもあること、そして性加害者は同時に性被害者であることも少なくないこと、つまり性暴力が連鎖していくことをエンディングにまで敷衍していることだ。
加えてジャニー事件を想起させる胸糞悪いプロットもある。
そして事件と犯人を隠蔽する学校と職員たち、「恥」を晒したくないという保護者。
一人だけ生徒を助けようと奔走する教師。

台湾という割合と小さな国のこぢんまりした社会で、これだけ腹を据えて性加害問題から目を逸らさずに向き合った制作陣に、心から拍手を贈りたい。
その描き方、映画としてのクォリティも極めて高いと思う。
これに匹敵するアジア映画(日本を含む)は一体あるだろうか?

にも拘らず、日本公開時にあまり話題になっていなかったのは、なぜか。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
LukeRacewalker

3.0 衝撃

2024年6月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

辛すぎる実話ベース。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
emp

3.5 魂の殺人をどう描くか。

2024年2月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

性暴力は「魂の殺人」と呼ばれているが、その言葉の意味がわかり、被害者が加害者に転じる経緯もわかるラストシーンになっている。
わかるのだけれど「う〜ん」と思ってしまった。

ろう者であるが故に声をあげることがより難しく、聴者の無理解や不適切な対応に晒され続けた結果、苦しくてもろう学校のコミュニティから離れられない子どもたち…。
その状況は伝わってくる。
だが、その子どもたちの中で127件もの性暴力事案が発生する事態になってしまったのは、校長が事なかれ主義で、周囲の教師や介助員たちが間抜けだったからなのか?

実際の事件の真相は知らない。もしかしたら、映画通りの校長や教師たちだったのかもしれない。けれど、周囲の大人の描き方や子どもたち同士の力関係の描き方がステレオタイプ過ぎて、子どもたちの性への興味関心がもたらす加害性や、性暴力を受けた子どもたちの葛藤や苦しみも記号化されて見えてしまうのだ。

どうしてこの監督はこの映画を撮りたいと思ったのだろう。そして、八仙人に何を託しているのだろう。読み取れない私の問題なのかもしれないが、何か中途半端な気がして、モヤモヤしてしまう。

<追記>
モヤモヤの理由を考える内に、一つわかってきたのが、この映画の中では、被害者に対するケアが一切描かれていないこと。
事件が起きても、次の場面では「もう終わったこと」になってしまっている感じがずっと続く。
もちろん被害者の心の中では終わってないということは描かれているが、それだけなのだ。
ラストシーンの主人公2人が笑って遊んでいる背後で、暗い目を向ける少年はどうして放っておかれたままなのか。
ストーリーの途中で、「ずっと昔からあったのに、今頃何を言っているんだ」と怒りをぶつけていた彼が、全くケアされずに加害者側に回るのが本当にいたたまれない。

コメントする 1件)
共感した! 3件)
sow_miya

3.0 観ないほうがよいかも

2023年10月27日
iPhoneアプリから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 5件)
ジョニーデブ

他のユーザーは「無聲 The Silent Forest」以外にこんな作品をCheck-inしています。