FUNAN フナン

劇場公開日:

FUNAN フナン

解説

ポル・ポト率いるクメール・ルージュに支配された1975年以降のカンボジアを舞台に、息子と離れ離れになってしまった母親の激動の日々を描いた長編アニメーション。世界最大のアニメーション映画祭である第42回アヌシー国際アニメーション映画祭で、長編コンペティション部門の最高賞であるクリスタル賞を受賞した。1975年4月のカンボジア。武装組織クメール・ルージュによるプノンペン制圧のニュースを境に、多くの住民が強制労働のため農村に送られる。一家で農村へ移動する道中、チョウは息子のソヴァンと離れ離れになってしまう。農村での苛酷な労働や理不尽な扱いは、彼女と夫クン、そして共に生活する家族を追い詰めていくが、最愛の息子を取り戻すためチョウは何があってもあきらめずに生き延びていく。主人公チョウの声を「アーティスト」「ある過去の行方」のべレニス・ベジョ、チョウを支える夫クンを「グッバイ・ゴダール!」「パリの恋人たち」のルイ・ガレルが担当。監督はフランス生まれでカンボジアにルーツを持ち、自身の母親の体験をもとに本作を描いた新鋭ドゥニ・ドー。タイトルの「フナン」は1世紀から7世紀にかけ、現在のカンボジアやベトナム南部周辺にあった古代国家「扶南(フナン)」から。

2018年製作/87分/G/フランス・ベルギー・ルクセンブルク・カンボジア合作
原題または英題:Funan
配給:ファインフィルムズ
劇場公開日:2020年12月25日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9
  • 画像10
  • 画像11
  • 画像12
  • 画像13
  • 画像14
  • 画像15
  • 画像16
  • 画像17
  • 画像18
  • 画像19
  • 画像20
  • 画像21

Les Films d'Ici - Bac Cinema - Lunanime - ithinkasia - WebSpider Productions - Epuar - Gaoshan - Amopix - Cinefeel 4 - Special Touch Studios (C) 2018

映画レビュー

4.5美しい背景が人の残酷さを際立たせる

2020年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

カンボジアのクメール・ルージュの大量粛清の時代を生き抜く親子の物語をアニメーションで描いた力作だ。物語は1975年4月から始まる。首都プノンペンの陥落を知らせるラジオが流れ、まもなく田舎の村の住民も強制労働のために農地に送られることになる。小さな息子と離れ離れになってしまった両親は必死で息子を探そうとするが、過酷な労働に追いやられてしまう。
美しい田園風景と非人道的な強制労働の強烈な対比が印象的だ。人間の行いは醜い、しかしそれとは無関係に自然は美しい。塚本晋也監督の『野火』も人間は餓死寸前なのに自然が美しかったことを思い出した。
カンボジアは、かつて東南アジアの映画大国だったそうだ。クメール・ルージュの粛清によってカンボジア国民の4分の1が失われ、映画人などの文化人も数多く殺され、歴史が失われてしまった。フランス資本のカンボジア映画というとリティ・パン監督が有名だが、こうして新たな世代が自身のルーツに目を向ける作品が生まれていることは頼もしい。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
杉本穂高

4.0カンボジアの武装組織に翻弄される人々。 当時3歳の息子と生き別れ、...

2022年6月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

カンボジアの武装組織に翻弄される人々。
当時3歳の息子と生き別れ、強制労働させられながら探し回る両親の姿には胸が熱くなった。
100%のハッピーエンドとはならなかったのも、物語に深みを持たせていると思う。
ただ、同世代の男女はほとんど同じような顔ばかりだったので、区別が難しかったことが難点。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
省二

4.0アニメの戦争映画

2022年3月8日
iPhoneアプリから投稿

 「トゥルーノース」「ブラットウィナー」に続き、アニメによる戦争映画。これもまた辛い。クメール・ルージュ??よくわからず、調べるとポルポト派のことなんですね。ならばわかります。同じ国民同士、なぜあそこまで残酷になれるものか。
 3歳の息子とはぐれても探すことも許されず、やっと3年後会えたけれど、逃走が失敗したら永遠にあえなかったかも。おばあちゃんはどうしてしまったのか。
 できることなら親子3人で逃げ切って欲しかったなあ。
 今作も小学校で上映してほしいですね。
こういう作品を観て、今の子供たちがどう感じるのか、知りたいなあ。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
アンディぴっと

3.5「民集のため」という名のもとで暴力は繰り返される

2022年2月11日
iPhoneアプリから投稿

たった40数年前のカンボジアで起きた大惨劇の歴史。「正義」の名の革命が大きな悲劇をまねく。その暴力革命で権力の座につく多くが、60年代に西側の学生たちが希望を抱いていた共産主義勢力だった。

抑圧された集団生活の中で、人は疑心暗鬼に陥り、倫理観や人間としての尊厳も失っていく。

自分がチョウやクンの立場ならどうするか。
処刑覚悟で脱走するか。
生き残るために家族を守るために辛抱し続けるか。

歴史は忘れた頃にやってくる。
いまは、「悪き」資本主義を克服するという目的のもとに。

カンボジアの緑の大地が残酷なほど美しい。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
atsushi