シカゴ7裁判のレビュー・感想・評価
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法廷もの。
アメリカ人が大好きな法廷物の作品です。しかも事実に基づいているとなれば、なお興味が湧く作品となってる事でしょう。
舞台はベトナム戦争真っ最中。その中において抗議運動から逮捕・起訴された7人の男の裁判の行方を描いた実録ドラマです。
内容としては非常に骨太の濃い内容となってます。当時の若者なら、誰しも抱いていたであろう反戦、反権力に立ち向かう姿勢がありありと描かれており、観ている者も、そういった若者たちに共感を覚えずにはいられない事、必至です。ラストは、とても印象深いシーンで終幕を迎えています。また随所随所にアメリカの良心が反映されてるなぁとも感じました。
にしても演者の1人、トム・ヘイデン役を演じたエディ・レッドメインは今時ではなく60~70年代の映画が似合う風貌だったのが印象的でした。
※映画館にて鑑賞。
人々の対立を描いた社会派エンタメ
世界は揺れる
法廷劇としては普通に面白かった。
ただ実話という筋書きなので、非常に評価が難しい。実話を元にした映画は制作者の意図を読み取れないといけないからだ。
確かに7人に対しての結果が最初から決まっているような形式だけの裁判は横暴だが、これを「民主主義が奪われた!」なんて安易に批判するのは少し違う。このようなケースを野放しにしておくとそもそも国自体が崩壊していく。民衆がその時々の風潮に翻弄され好き勝手し出す。そんなことになったら◯◯主義が~なんて言ってられない。待ち受けるのは混沌だ。
こういう映画を観て安っぽい正義感を感化され安易に行動しないようにしなくてはならない。
しかしかつての日本の学生運動などがアメリカのこういった状況の影響を受けて起こっていたり、歴史的には大事なことなので観れてよかった。
政治裁判
ゆるぎなきものひとつ抱きしめたいよ
アカデミー賞にも絡んでくるのではないかと名高い作品。「ソーシャルネットワーク」も大好きなので喜んでNetflixで観ました。最高でしたね。
本作が特に優れていると思ったのは、体制側だけでなく反体制側についても良い面と悪い面の両方を見せたり、優勢劣勢を行ったり来たりすることで、史実をもとにしているとは思えないスリリングで予測以上の物語性を帯びているということです。判事がかなりデフォルメした権力行使を見せるので、感情移入は自然と反体制側に行きつつも、「このやり方は果たして良かったのか?」と随所に思わさせられます。いわゆる『能動的に作品を見ることができる』条件を満たしています。そりゃあ面白いに決まってます。
洋画には特に疎いので、豪華キャストなのかどうかは正直わかりませんが、一人ひとりの役者がイキイキと演技をしている。特に、理論・戦争に対する考え方はありつつも、それにどうしても感情が追い越してしまって急いた行動をとってしまう様を、セリフではもちろん、演技で表現しているのがとてもいい。 でも、最終的にはゆるぎなき信念一つで突っ走るのも良い。その信念がちゃんと伝播していくさまもいい。最高でした。
エンディングの着地のさせ方と、それに重ねるテロップも素晴らしい。本当に素敵な作品でした。
法の危うさを再確認させてくれる良作
ベトナム戦争が激化する中、反戦運動を行った活動家たちが暴動を扇動した罪で逮捕された事件の裁判を描いた、実話ベースの法廷劇。
NETFLIXオリジナル映画は初めて観たことになるのかも。
実話ベースの法廷ものって、警察や検察、そして政府が悪どいことを仕掛けてくることが多い。本作もまさにそんな話だった。
逮捕・起訴された者たちも主張は同じではないし、組織も違う。いがみ合っている関係がどう変わっていくのか、そして検察・警察がどんな方法で被告を追い詰めようとするのか、そしてどんな判決が待っているのか。
多少納得のいかない部分もあるが、弁護士たちの熱い思いや、まともな感覚を持った市民たちの熱さが伝わるいい話だった。
それにしてもこういう映画を観ると、政府や警察・検察・判事ってやつらは本当に信用ならない(もちろんまともな人がいることも知っているが)。法とは絶対的なものではなく、時の政権の都合や、勝手な解釈でどうにでも濫用されてしまう恐ろしさを感じた。
最後の最後で泣かせてくれる
すぐれた演出力
人は群衆のとき、やはり烏合ではないか──と思う。
烏合となれば、先導者の思想が反映されない。
個人的には、そこに浅はかさを感じる。
国は非倫理な戦争をやっていたし、若者が平和を愛する気持ちはわかる──けれど、国を相手にして、混乱なく集会ができる、と信じているのは、けっこう浅はかだ。
それは現況、わたしたちの社会では、反体制をかかげる人がりこうに見えない。からでもある。
しかしその当時は社会がカオスだった。
公民権運動があり、都市で暴動があり、ケネディ大統領も弟の上院議員も暗殺された。議会では左派と保守がかんぜんに決裂していた。
その特殊な時代性や、特殊な背景をかんがみるなら、たんじゅんに彼らの行為や理想を、わたしたちの考え方とは比較できない。
参看できない別世界の話だ。
幾人かのインフルエンサーがこの映画を賛美しているのを見た。
それが、たんじゅんに映画を楽しんだ──ということであれば、うさんくささはないのだが、いまの政治と比較した批判をともなっており、とほうもなくうさんくさかった。
現代人が、迫害もされず、毎晩ビールでも飲んで、叫び声も爆弾も降ってこないところで、子羊のように安らかに眠るのであれば、カオスな時代との比較はナンセンスだ。
裁判はさいしょから出来レースだった。
そもそも強行した集会も、化けた私服たちに、みごとなほどあっさりとハメられる。
判事からしてかんぜんな体制主義であり、全体としてJoseph Gordon-Levittが演じた検事以外は、はなから、活動家たちをハメて追い落とすことしか考えていなかった。
ところがコートが長引くほどに民衆が7人の味方につく。
言ってみれば、それを予見しなかった体制側も、けっこう浅はかだった。
エディレッドメインがうまい。いうなれば学生運動指導者なのだが、38歳にして、その理屈っぽくてナイーヴな感じを出していた。
Sir Mark Rylanceもうまい。スター性のまったく見えない疲弊した民間の弁護人の感じが、体制側の対極になっていて、好配役だと思った。
Sacha Baron CohenとJeremy Strongのコンビ活動家も、がんらいのキャラクターを生かして好演だった。が、個人的には好ましい人物像ではなかった。
なんていうか、かれらが引き連れてきたのは、所謂ヒッピーではなかろうか。
おそらくその傘下には、クスリをやってラブアンドピースを叫んでいる不埒な連中も大勢いたと思う。そういう、終始ふざけた態度でいながら、現実世界で、発頭人なポジショニングができてしまう人間が、個人的には好きではない。
そんな人間にたいするトムヘイデン(エディレッドメイン)の不信頼が、映画にはよくあらわれていた。
が、それを言うなら、志願して、あるいは徴兵され、ベトナムで戦い、身体や心に傷を負ったものの、生き延びて帰還したひとたちは、シカゴ7や快楽的なヒッピー文化をどうとらえた、だろう?
いずれにしても、バラバラの目的意識の7人が、時の政府をはげしく揺さぶった──ことを映画はくまなく描ききっている。みごとだった。
反戦運動、表現は様々
観るべき映画だった。
シカゴセブンを知らないで観たが、主義主張をどう表現するか、横暴な事実にどう立ち向かうのか、とても考えさせられる作品だった。
反戦運動の手段がまったく違う同士がシカゴセブンとして裁判にかけられるのだが、本音が交差しながら周りを巻き込み裁判が進行していく。
そもそも起訴内容に無理があるから、挙げ足取りの様な内容だが、逆手にとる様なアビーホフマンの法廷でのパフォーマンスが面白い。
何度も出てくるデモのシーンも凄い。
思い出しながら語るのだが、勢いのある曲をバックに、畳み掛ける様な語りと映像のカットバックが見事で手に汗握った。
そして最後の最後まで活動家らしい、粋なやり方で締めくくられる裁判の模様に涙が止まらない。
彼らが一番まともだって判るいいシーンだ。
無知な自分には難しい
事前に解説をチョロッと聞いてから観たけど、
それでも当時のアメリカの時代背景をあまり知らない
無知な僕には難しく置いてかれてしまう所が多々あった。
最初の小気味良い音楽に合わせて、各々がシカゴに集結
しようとしてる園児とか凄いカッコ良くて、
これは分かりやすいかもしれないと思ったら、
裁判からはとても難しくなった。
何があったか、後に分かって行く手法や、
各々の立場や主張は、勉強してからじゃないと
完璧には理解出来ない気がしました。
ただ、そんなアホな僕にも1968年を描きながら、
大統領選が近づく今のアメリカを映し出してる事は
分かりました。
猿ぐつわをされて息が出来ない黒人、
自分の反対意見は全て突っぱねる裁判長。
そして、「世界が見てる」
50年以上経っても何も変わってないような気がしました。
「世界がみている!!」 作品に!
1960年代末、ベトナム戦争反対のデモが激化し、首謀者とされた7人の男達‐シカゴ7‐と、一人の黒人男性、そして弁護士が悪徳判事のもと行われる、所謂「政治裁判」で闘う物語。
元々観る予定ではなかったが、評価が高いようなので鑑賞。
平和的なデモを敢行するハズだった主人公達。しかし、多くの血を流す凄惨なデモとなってしまったことによりその責任を問われたシカゴ7。しかし、本当にデモを激化させたのは…!?
本作はキャラクター達がとにかく魅力的。
特にアビー。見た目や言動はおちゃらけており、真面目なトムとは180度違う印象。
だが、確かな信念と、イメージに反して(?)実は知性的な一面も。
微妙に異なる目的・手法のトムとはどうも馬が合わないが…。
2人のシーンは超必見!!
次点でクンスラー。国選弁護人の彼が証人にしかける巧妙な尋問はお見事。
とは言え、それも皆判事に…。
ストーリーも良く、横暴な判事がまるで独裁者かのようにふるまう裁判の闇や、圧倒的権力の前に己の正義で闘う者たちの姿、そして目的の異なる者同士の間で生まれる衝突と絆に、大いに感動させられた。BGMもグッドですね♪
約50年も前の出来事が描かれているのに、まるで今日の世界を見ているような錯覚に陥ったのは私だけではないハズ。
強いて言えば、テンポもよく登場人物が多いので名前と顔を一致させるのがちょっと大変なのと、ちょっとずつ…っていうよりはいきなり一気に流れが変わったので少しとまどってしまった。まぁ、ここは史実に即したからだろうけど。
それと、彼の失態に関してうまく解釈を変えるシーン。
何を間違ったのか、私自身は初めからそう解釈していたので、なんかちょっと逆に混乱してしまった。
大事なシーンだったと思うのですが(笑)
とにかく、今回も思いがけず他の人達のレビューがきっかけで良作に出逢えたのでとても良かった。おかげで毎日映画館通いです(嬉しい悲鳴)w
レビュー
この上なく痛快
軽い気持ちで見だしたら、面白いし、引き込まれるし、痛快な気分になるラストまであっと言う間だった。1968年の裁判だから、ウッドストックの1年前だね。自分にとってアメリカ現代史はロック史で把握してるから、なんとなく当時の雰囲気はわかる。それに当時の映像がときどきカットインされるから、現実にあった出来事だということが思い知らされる。
この作品は、予備知識なしで見たけれども、主要登場人物の性格や思想が自然とわかるようになっているのがすごいね。さすが、アーロン・ソーキン監督。主要人物のキャラクターはこんな感じ。
■アビー・ホフマン
頭の回転が早くて、冷静沈着。権力を笑いでもって地に落とすことが最上の喜び。
■トム・ヘイデン
秀才のお坊ちゃま育ち。真面目すぎて型を破ることができない。
■ボビー・シール
信念の闘士。
■ジェリー・ルービン
権力を屁とも思っていないが、女に弱い。
■リチャード・H・シュルツ(検事)
公正さ、客観力を持っているが、自分の職務に忠実。
■ウィリアム・クンスラー(弁護士)
真の正義が行動基準の人権派弁護士。お金は2の次。
■ジュリアス・ホフマン(判事)
悪代官そのもの。上にへつらい。下に厳しい。
裁判が進むにつれて、ジュリアス・ホフマン判事への怒りがマグマがどんどん溜まってくる。そして、あのラストだから、涙とともに溜飲という溜飲が下がってこの上なく痛快。(逆流性食道炎持ちだから、ほんとは下がらないけど😹)
FBIの覆面捜査官のすました笑顔が、とても印象的。
酒場で声をかけてくる美女に気をつけろ!
ベトナム戦争
泥沼化するベトナム戦争に於いて、兵士を強制的に募り無駄に若者を死に追いやり、その一方で村民虐殺、女子供老人を問わずの無差別射撃、枯れ葉剤散布など極めて非道な行いに対し、アメリカ市⺠や活動家たちがベトナム戦争に反対する抗議デモのために集結。
デモの⾸謀者とされた7 ⼈の男〈シカゴ・セブン〉は、暴動を煽った罪で起訴されるが、その裁判は裁判長が最初から有罪を確定するように仕向けた屈辱的なものだった。
この実話に基づく作品は、キャスティングも豪華だが、映像のところどころで実際のモノクロ映像が流れ、また黒人差別の惨たらしさを描き出し、緊迫したストーリー展開となっている。
特記:米戦死者数 58,220人。
:南ベトナム民間人死者数 1,580,100人。
:北ベトナム民間人死者数 3,000,000人。
枯れ葉剤の後遺症や、大地に埋まった大量のクラスター爆弾の不発弾など、
今もなお、住民に被害を与え続けている。
Netflixにて
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