「忘れてはいけない自国の歴史。行動する若者たちと権力者の法廷での戦い。」シカゴ7裁判 M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)
忘れてはいけない自国の歴史。行動する若者たちと権力者の法廷での戦い。
ケネディ、キング牧師暗殺後の1968年の民主党大会へベトナム戦争反対デモ行進を共謀した罪で起訴された若者7人を扱った実話を基にした映画。
当時の社会情勢と権力者VS若者たち。社会の不正を訴え行動し理論武装する大学生、ピッピー、黒人の若者たちと良識ある大人など背景は様々。暴動となった切っ掛け、アジテーション、偶然の引き金、一人一人の現実と法廷でのやり取り。
法廷で理詰めで追い詰める検事に対し、感情をストレートに表現する若者たちの熱い思い、たまに交えるユーモアも心憎い。そしてそれにどう弁論するか。「言葉」をどう交わすのか。そして裁判官、 検事の誘導的な手法。事実に基づくとはいえ多少の創作はあるというが、とてもスリリングかつ「人」としてどう立ち向かっていくのか。考えさせられる映画であった。脚本兼監督の手腕のなせる業である。観客を飽きさせず、引き込み、かつ忘れてはいけない自国の歴史とその後を映画として完成させ、公開したのは凄いことだ。今のアメリカ社会に問いかける意義はとても深いと感じた。
アメリカ大統領選を控えた時期にこのような映画が製作されたことに、ネットフリックスのパワー、そしてアメリカ人の気概を感じた。
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