劇場公開日 2020年10月9日

「"政治"裁判と戦った男たちの物語」シカゴ7裁判 といぼさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0"政治"裁判と戦った男たちの物語

2021年5月19日
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鑑賞方法:映画館

ネットフリックスで制作された映画ですが、私はネトフリに入会していないためなかなか鑑賞できずにいました。最近近所の映画館で上映が始まったので遅ればせながら鑑賞してきました。過去に実際にあった裁判を基にした映画と知っている程度の事前知識での鑑賞です。

結論、これは面白い!!
反戦デモを扇動した罪で裁判にかけられた男たち。裁判の裏には国家レベルの陰謀が渦巻いている。裁判が明らかに男たちを有罪にしようと動いており、絶対的不利な裁判にどのように立ち向かっていくのか。
元々こういう裁判モノの映画やドラマが好きという好みもありますが、私は本当に楽しんで鑑賞することができました。

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1968年、シカゴで開催された民主党全国大会の会場近くでベトナム戦争に対する反対デモを行うため、多くの活動家たちが集っていた。平和的にデモを行う予定であったが、警察との衝突によってデモは過激化し、多くの負傷者を出した。このデモを扇動したとして、8人の男たちが裁判にかけられることになった。男たちを有罪とするために裏では国家ぐるみの工作が行われる中、男たちは信念を持って立ち向かうのであった。
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驚くことに、これ実話なんですね。鑑賞後に実際の裁判について調べてみましたが、劇中で行われていることはほぼ事実ですし、劇中では描かれていませんが陪審員の買収まで行われていたそうです。恐ろしい話です。

「実話を基にした裁判映画」と言われて思い出すのは、韓国映画の『8番目の男』でしょうか。韓国で初めて行われた陪審員裁判のエピソードを基にして作成された裁判映画で、陪審員裁判のあり方について問題提起をするような社会派の側面を持ちながらも、コメディタッチに裁判を描いた気楽に笑って観られる傑作映画です。ところどころに裁判映画の金字塔『12人の怒れる男』のオマージュを感じさせる場面もあって、『12人の怒れる男』をオールタイムベストに挙げている私にぐさりと刺さる映画でした。

『8番目の男』は事実を基にしたフィクションですが、本作『シカゴ7裁判』は完全にノンフィクション映画です。ノンフィクション映画は「現実に沿ってストーリーを進めなければならない」という制約がありますので、脚色の問題でイマイチ盛り上がり不足な作品も多いんです。本作がどのような脚色がされているかというのが鑑賞前から心配しているところでした。

しかしこの心配は完全に杞憂でしたね。そもそもの事実が物語的に面白いということもあるんでしょうが、裁判のやり取りや台詞回しやキャラクター性が非常にクオリティが高く、映画としての盛り上がりどころもしっかり用意されている素晴らしい脚本・脚色でした。

検察のみならず、本来中立の立場であるはずの判事までもが7人の男たちを有罪にするべく動いている。こんな裁判が実際に行われていたとは。アメリカの法曹界を揺るがす一大事件をぜひご覧になってください。オススメです!!

といぼ:レビューが長い人