「これぞ才能のアンサンブル!」シカゴ7裁判 Pegasusさんの映画レビュー(感想・評価)
これぞ才能のアンサンブル!
ベトナム戦争中に反戦を訴えデモをし、捕まった人々を巡る裁判を映画化した作品。
当時は産まれてないし予備知識は「いい映画らしい」とだけであらすじすら知らない状態で鑑賞。
当時の背景を知っていたらもっと深くなるのかもしれないが、知識は全くなくても編集が冴えてるので自然な形で当時のことが分かるようになっていた。
ドキュメンタリー調でありリアリティ溢れる編集は本当に上手だなーと感心した。アカデミー賞にもノミネートは確実だろう。
そして脇を固める役者もすっごいいい!
画面の何処を観ても味がある。「脇を固める」とはまさにこのことを指すんだろうな。
正直主演が誰なのかよく分からないけど、主演だけじゃなくて全員の演技が素晴らしいのでエンドロールで必死に文字を読んでいた。
その中でも特筆すべきは裁判長役のフランク・ランジェラとエディ・レッドメイン。
裁判長はテレビ画面を殴りたくなるくらいめっちゃウザくて憎たらしい。
しかし、怒りを抑え冷静に考えると、ここまで観客をイラつかせるのはすげえなと実感。もう顔つきがウザイし。あの存在無くしてこの映画は成立しなかった。
それとエディ・レッドメイン。
後で調べたらどうやら彼が主演らしいが、憑依にも似た演技をしている役者陣の中でも圧倒的な存在感を放っていた。
なんというか、いるだけで熱が伝わってくるという感じ。
これといった怪演がある訳では無いがスターオーラがすごかった。なのに周りに溶け込めていたので「さすが!」としか言えない。
と製作側ばかり褒めてるがもちろんストーリーも一級品。
なんかデビット・フィンチャー作品に作風が似てる。後で知ったけどどうやら監督は『ソーシャルネットワーク』の脚本をした人らしい。
渋いフィンチャー感とアメリカ的な熱が上手くマッチした作品でした。