聖なる犯罪者

劇場公開日:

聖なる犯罪者

解説

過去を偽り聖職者として生きる男の運命を描き、第92回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされたポーランド発の人間ドラマ。少年院に服役中のダニエルは、前科者は聖職に就けないと知りながらも神父になることを夢見ていた。仮釈放され田舎の製材所で働き始めた彼は、ふと立ち寄った教会で新任の司祭と勘違いされ、司祭の代わりを命じられる。村人たちは司祭らしからぬダニエルに戸惑うが、徐々に彼を信頼するようになっていく。数年前にこの土地で起きた凄惨な事故を知ったダニエルは、村人たちの心の傷を癒やそうと模索する。しかしダニエルの過去を知る男の出現により、事態は思わぬ方向へと転がっていく。主演のバルトシュ・ビィエレニアが、少年院出身のダニエルと司祭トマシュという正反対の人物像を緊張感たっぷりに演じる。監督は「ヘイター」「リベリオン ワルシャワ大攻防戦」のヤン・コマサ。

2019年製作/115分/R18+/ポーランド・フランス合作
原題:Boze Cialo
配給:ハーク
劇場公開日:2021年1月15日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第92回 アカデミー賞(2020年)

ノミネート

国際長編映画賞  
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(C)2019 Aurum Film Bodzak Hickinbotham SPJ.- WFSWalter Film Studio Sp.z o.o.- Wojewodzki Dom Kultury W Rzeszowie - ITI Neovision S.A.- Les Contes Modernes

映画レビュー

3.5理不尽への静かな反抗。

2024年7月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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すっかん

3.5善人も悪人もいない、あるのは行いの善悪のみ

2021年1月21日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 神父になりすました前科者ダニエル自身について描くと同時に、彼が触媒となってあぶり出される周囲の村人の善意や悪意を描いた物語でもある。なお、R18作品ではあるが、エロ・グロに関し耐性が必要なレベルのハードな映像はない(主観)。
 寡黙な主人公の人物描写は、主演のバルトシュ・ビィエレニアの眼力で成り立っている。何を考えているか分からない感じがすごい。出所してすぐ酒と薬をやって反省のない様子を見せ、その上で偶然も手伝って村の教会に入り込む。神父に憧れていたとはいえこの素行から先が思いやられたが、多少エキセントリックな挙動をしつつも、仕事を与えられれば本人なりに予習までして、思いのほか真面目に働く。だが、悪事を起こさなくてもあの顔面なので、次にどう動くか分からない空気感は常にあり、むしろなかなか正体がばれず悪さもしないことが不気味にさえ思え、画面の緊張感が緩むことはない。
 彼がもっと下卑た悪人面だったなら、予想外に司祭の仕事をこなしてしまう姿が不自然に見えたかも知れない。ところが、考えの読めない表情が醸し出す妙に浮世離れした雰囲気と澄みきった瞳のせいか、司祭としての姿が刑務所での姿と同じくらい自然で、かつ美しいのだ。同じ人物の役柄で挙動をあまり変えず、この対照的な姿を自然に見せられるのはなかなか稀有なことではないだろうか。
 ダニエルの行動を見ているうちに、こちらの善人と悪人の判断基準が揺れ始める。やがて村人の行動に視点が移ると、いよいよその定義に懐疑的になる。その後のラストは、観る者に深い問いかけを残す。人や物事を表層や特定の一面のみで判断していないか、そんな自省を促す作品。

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ニコ

4.0権威社会の顛末

2024年6月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

事実に基づく物語だけに、結末が作為的でないところがこの作品の余韻として響き渡ってくる。
ダニエルが最終的に逮捕されたことで彼のした事実が公表され、この作品ができたと思うが、そこにあるのは「彼のしたことは間違いだったのか?」という問いかけだ。
事実に基づく作品ならではのこの問いかけは、神よりも「罪とは一体何か?」を問いかけているような気がしてならない。
警察がダニエルに神父の免許の確認や、少年院の神父の訪問、神父が恐れる司祭とかローマ法王庁とか、いわゆる「権威」が述べられているが、それと神と一体何の関係があるのだろう?
勝手気ままなことをしてるのは誰だろう?
ダニエルは神学校へ行くことを希望したが、「神学校は少年院に入ったことのある人物はいけない」と神父が答える。そもそも聖職者なるものがそんな規定を設けることなど考えられないと思うのは日本人だけだろうか? ここに一般社会における罪という概念の大きな落とし穴があるように思える。彼らにとって「罪を犯しそれを償った」としても、その罪人は未来永劫許されることはなく、罪人というレッテルを貼られるし、貼っている張本人たちが作った社会だ。
さて、
物語では、ダニエルは病気入院した司祭の代わりに期限付きで代役を任された。
ダニエルは少年院で感じたことを町民に伝えるが、そこには普遍的な生きた言葉があり、人々はそれを受け入れていく。
特に、少し前に交通事故で7人が死亡したことがこの街の大きな出来事となっていた。
しかし人々は事故の原因を運転していた人物一人の所為にして、献花台に彼の写真を飾ることを拒否し、また教会の墓地に埋葬することも許さなかった(通常よそ者と罪人はそのようにする習慣がある)。
運転手の妻宛てに、町民それぞれが彼らを罵るような言葉を書いた手紙を出し、自宅には落書き、彼女は外にも出られず鬱状態で生きている。
どこにでもありそうで一般的なことかもしれない。
そしてそのようにしたのは住民の意向であり、それを入院した司祭も受け入れている。
これが制作者が訴えている「キリスト教社会」の是非だろう。
ダニエルは行事の時に寄付を集めた。そしてこのお金で運転手の葬儀を行い遺骨を埋葬することを皆の前で宣言する。町長が「権威」を使いダニエルを脅迫する。言葉通りに放火するが、彼は意思を曲げない。
事故は運転手だけの所為ではない。動画には7人が大麻を吸って酒を飲むシーンが映っていた。
ダニエルはその映像を他者に見せるのを拒む女性の心境を鑑み、それ抜きで町民が運転手の妻に対してした所業を問う。
葬儀には苦情と黙殺、しかし当日それを決行する。
葬儀の参列にほんの数人の町民が参加したことは、彼の大きな功績だと思う。
ダニエルは神父という立場になったことで本当の調和がどこにあるのか探し出し、それを行うという本当の神父の仕事をしたのだ。
町長の持つ製材所が増資された。そこにいたのはかつて少年院の仲間。彼はダニエルを脅し、お金が取れないとわかると少年院に連絡してダニエルが偽神父になっていることを密告する。
あの神父が街にやってきてダニエルに暴行する。そしてこれを法王庁に上げれば私も罪に問われると言ってダニエルに口裏合わせの工作を強要する。
再び少年院へ戻ったダニエルは、彼を憎む男と決闘させられ、彼を半殺しにする。同時に仲間たちに外に放り出され、脱獄犯となるところでエンドロールになる。
神の名のもとにある狂った社会、世界。
神が問うていたのは、キリスト教社会がダニエルをどのように扱うのかだろう。彼を罪人とみなすなら、それにかかわったすべての人間は神の名のもとに許されることはない。
そのような製作者側の声が聞こえてくるようだ。
の作品から学ぶべき点はとても多く、凝り固まった人々の思考が一番怖いと思った。

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R41

3.5成りすましには要注意❗️

2024年5月24日
iPhoneアプリから投稿

主人公の眼に釘付け👀にされました。

少年院で過ごすダニエルは、聖職者に憧れているのか?神父様に自分は聖職者になれるかと聞いていますが、ハッキリ無理だと言われます。
仮釈放になったダニエルは、製材所に行く事になるが立ち寄った村で自分は司祭だと嘘を付き、村人達と交流を深めて行き‥

個人的には、ダニエルは少年院での神父がみんなを感情を吐かせるため叫び、教育していく様子は洗脳している様に映りました。ダニエルは、自分が見てきた真似事をして町の住人が変わって行く様子を見てただの
自己満足に映ってしまいました。

些細な嘘から始まってしまう出来事が、大きくなってしまうと、人は全員では無いかも知れませが恐怖心が湧いて来たり、後悔の気持ちが沸くはずだが、ダニエルは途中逃げ出そうとする場面もありますが、留まります。

ダニエルは、釈放された途端に酒に女と欲望丸出しで、この主人公まともに見え無かったなー!

たしかに、悪事も働いていません。
町の住人も救われた人もいる。が‥

やっぱりラストはそうなるねんなーと思ってしまいた。

聖職者を否定していませんが、自分の話を聞いてみんなが,感動したり、泣いたり、懺悔したりと自分が神の代理人であるかの様になれる仕事であるのは確かだと思っています。

そこに憧れを持つ事は否めないです!

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アキより

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