アンダードッグ 後編のレビュー・感想・評価
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前編と同様
どん詰まりの人生なのに、そこにある人間関係の温かさ。ボクシングをや...
見苦しくても無様でも負けられない理由がある
無様に恥をさらすようなボクサーに成り果てていたロートルがなんの為にボクシングをして、なんの為にリングに上がっているのか
その原点に立ち返り這い上がっていく様
最後リング上で相見える晃と大村はどちらにも負けられない理由があり、互いに背負っているものがあるからこそどちらにも感情移入してしまう
それでもやはり前後編を見ていて晃に思いを馳せてしまっていた
演技なのかそれとも本当に戦っているのか
それすら分からないほど白熱した試合は分かっていても手に汗を握ってしまった
森山未來も北村匠海も どちらも素晴らしい演技だったが、やはり森山未來は凄い
それまでの情けなくフラフラした浮浪者のような人間が一転、ボクサーとして全身全霊をかけ戦う人間へ再び蘇る様を見事に表現していた
月並だが今目の前にある壁に立ち向かっていく その活力を与えてくれるような映画だった
負け犬の美学
3人の負け犬ボクサーを描いた大作ボクシング映画の後編。
前編を見てアドレナリン出まくり状態だったので、後編は初っぱなからエキサイティング!
…が、そんな気分じゃないのが、主役の晃。
前編では過去の栄光を引き摺ったまま。
それに加え今回は、八百長試合での醜態。
試合後の周囲の厳しい言葉通りの如く、もうリングに上がる事も無く…。
さらに、妻から正式に離婚要請。
どん底もどん底。
これから何を糧に生きていけばいいのか…?
このまま空虚に生きていくしかないのか…?
本音を引き出したのは、息子。
息子が言う。お父さんは何がしたいの?
本当はまだボクシングを続けたい晃。夢のまた夢かもしれないが、世界チャンピオンになりたい。
しかし父は言う。どうしたらいいのか分からない。
それにしても、我が子の前で自分の意見もはっきり言えず、優柔不断な父親って…。
息子が言う。じゃあ、頑張ろうよ。
単純な事。
が、それを息子に言わせる。
またジムに通おうとして、そんな甘ったれた気持ちに会長は大激怒。
またまた言われる。お前なんか、もう二度とボクシングするな!バカ野郎!
ボクシングをやるなら、自分から本気で。それくらいの覚悟があって当然。
それも分かってない。
門前払いされた晃。彼が果たしてどうやってリングに返り咲くのだろう…?
前編レビューでは主役3人の事を主に書いたので、後編レビューは周りの面々を。前編以上に描かれている。
デリヘル嬢の明美。幼い娘を抱え、彼女もまたどん底の生活。同居する男からDV。それや自分の人生の鬱憤を晴らすかのように、娘にDV。負の連鎖…。娘をペットのオリに入れる衝撃のシーンも…! ある時明美は母親として絶対にやっていけない事をやってしまう。我が子を…。
デリヘル店の店長、木田。晃とは元々地元の知り合いのようで(晃の方は覚えてなかったが)、かつての試合に負けて帰って来て仕事ナシの晃を運転手として雇い入れてくれた。ちょっと知恵遅れ気味だが、人懐っこい。それ故取り立てのヤクザに舐められ、シマも女の子も取られ…。いよいよ店を畳む決意をした時、事件を起こす…。彼と中年デリヘルの兼子のエピソードが意外と泣かせる。
事件がもう一つ。明美の常連客の田淵。過去半グレ集団から暴行を受け、以来車椅子生活。しかしある時、自分をこんな身体にした人物を見付ける。自分はこんなに惨めなのに、アイツはスポットライトを浴びた人生。許せない。復讐してやる…。その相手がまさかの…!
ボクシング映画でありながら、試合シーンどころかボクシング描写も序盤はほとんどナシ。
しかし、脇役とは言え泣かせるドラマがある。悲しいドラマがある。語れるドラマがある。
見応えあった!
今回、前編で最高の試合を見せた瞬は出番ナシ。芸能界を引退したという設定。(一応、回想シーンとEDにチョイ出演)
やはり後編は、龍太が大きく話に絡んでくる。
相変わらずの破竹の勢い。妊娠していた妻は出産。
全てが薔薇色。
…が、そんな時、彼を襲った傷害事件。
相手は、田淵。
実はその昔、田淵に暴行を加えた半グレ集団のリーダーこそ、龍太。
改心し、やり直したつもりが、暗い過去の自分の過ちから逃げられなかった。
刃物で切り付けられ、目に傷を。頭部に強い衝撃が与えられれば、失明の恐れも。
つまりそれは、ボクシング人生の終わりを意味する。
一瞬にして、奪われた…。
…いや、何もかも全て終わった訳じゃない。
後一戦しか出来ないなら、後一戦やりたい。特別な後一戦を。
龍太が復帰戦の相手として指名してきたのが、晃。
何故、見離された負け犬を…?
ここで遂に語られる晃と龍太の因縁…。
かつて、児童擁護施設に居た龍太。
その時、子供たちにボランティアとしてボクシングを教えに来ていたのが、言う必要も無いだろう、晃。
ワルだった龍太。晃の挑発に乗る。
つい軽くパンチしてしまう晃。
龍太にとっては心身共にダメージ。
初めてだったのかもしれない。ワルの限りを尽くした彼にとって、初めてビビり、ぶちのめしたいと思った超えられない壁。
そして、あの一戦。アイツが負けた。普通だったら失笑するところだが…、龍太は興奮し、感動した。負けてもカッコいい。龍太にとって晃は、ボクサーを目指すきっかけとなったヒーロー。ヘンな言い方だが、いずれこの拳でぶち倒したいヒーローなのだ。
日本王座や世界チャンピオンを目指すよりも、龍太にとってはこれ以上ない一戦。
指名を受けてもまだ燻っている晃。
が、龍太の妻からその話、龍太本人から挑戦状を叩き付けられ、ようやく遂に、この男の燻っていた闘争心に火が点いた!
俺は俺自身で世界チャンピオンを目指す。
負け犬がその誇り高き遠吠えを発した…!
そこからはボクシング映画の王道。
両者、試合に向けて過酷な特訓。
龍太の方はジムのチームが付いてくれているが、晃は夜な夜な一人で外国人ボクサーと訓練。すると、会長がまた相手してくれる事に。やはり若手の頃から育ててくれた腐れ縁。
両者身体を仕上げ、遂に迎えた試合の日。
会場には、龍太の妻子。晃の息子と、晃の父も重い腰を上げて。
晃と龍太がリングに上がり、ゴングが鳴る…!
足立紳による幾重にも綴られた脚本。
武正晴による熱い演出。特にこの後編は長さを感じさせなかった。
キャスト全員の熱演。
でもやはり後編最大の見所は、クライマックスの森山未來と北村匠海の拳と拳でぶつかり合う魂の演技と試合!
晃と龍太の決戦は互角…ではなかった。
ピークを過ぎたボクサーと、破竹の勢いの若手ボクサー。
結果は分かり切っている。
八百長試合では自分が相手をボコボコにしたのに、今度は自分がボコボコにされる番。
龍太のパンチは想像以上に強く、効く。
もうほぼ、第1ラウンドからKO状態。
パンチを食らえば食らうほど、自分の弱さを痛感する。
でも、闘争心も沸いてくる。
パンチドランカーになっても、リングの上で死んだって構わない。
このままやめられねーよ! 最後まで闘わせてくれよ。
はっきり言って試合は龍太優勢。
が、晃も反撃してきた。
龍太は1ラウンドKOが多く、どうやら相手からの反撃の長期試合に慣れていないようだ。
まだ、望みは消えていない…。
が、晃の身体はもうふらふら。片目は見えてすらいない。
強烈なパンチの応酬、一進一退…と言いたい所だが、勝敗は決した。
よくボクシング映画にある。いや、映画の世界に限った事ではないだろうが、敗者にも賛辞を。
かつて日本王座の座に挑み、敗れた男。
噛ませ犬と呼ばれ続け、八百長試合で醜態晒し、負け犬に。
そんな男が再び見せた最高の試合。
結果敗れてしまったが、もう誰も野次を飛ばさないだろう。
負け犬の美学。
意外と邦画にもボクシング映画の傑作多い。『どついたるねん』『キッズ・リターン』『百円の恋』『あゝ、荒野』…。
それら歴代チャンピオンにまた一つ、加わった。
心から“拳”闘を讃えたい!
#43 どん底から這い上がる
前編で曖昧な関係だった登場人物たちの実態が後編でどんどん暴かれる。
なんで主人公がデリヘルで働いているのか。
デリヘル嬢が仕事しているとき子供はどうしているのか。
下半身付随の変態野郎がどうして身体障害者になったのか。
さらにその加害者は誰なのか。
前半は悪人に見えなかった人たちが悪者になり、制裁され、最後に再び主人公はリングに上がる。
試合までの過程の部分で、あまりの長さに寝てしまった。
これ、WOWOWのドラマでも良かったんじゃない?
リング以外で戦う姿
負け方を選ぶ
まずはじめに、後編は前編のノイズになっていたお笑い芸人パートがなかったため、非常に楽しめた
スポーツにおいて、すべての試合に勝ち続けることは不可能だ
どんなに強いチームや個人でも、最後には必ず負けるし、最善の戦いをすることで、最善の負け方を得られる
主人公は前編で、最悪な勝ち方を選び、後編で最高の負け方を選ぶ
この映画の配役について、非常にセンスを感じた
普通であれば旬の俳優である北村匠海を主人公にし、森山未來をヴィラン役にするだろう
かつてのスター俳優である森山未來を主人公に、今後のスターとなるであろう北村匠海をヴィランとすることで、現実の俳優としての立ち位置と重なる
ラスト前の試合前の練習シーンについて、
ボクシング映画はたくさん観てきたが、
主人公の長所に対しての対策の対策や、ボディを練習してからの、ボディの対策など
シーンの切り替わりによる相互の攻防戦は意外と新鮮であり、新しいと感じた
そしてラストの試合、映画の本筋とはずれるが、やはりスポーツはカウンターとひと呼吸置いてからの撃ち合いがもっとも上がる
近年は邦画のボクシング映画が多く、正直またかとは思ったが、それでも比較することなく特別な一本だと感じた
追記
メイン2人が過去で繋がっている事実について、中盤での一瞬の回想シーンにてなんとなく理解解釈ができるため、
主人公と北村匠海の彼女がファミレスで長々とセリフによって説明するのは必要ないと感じた(なんとなくそうなのかな?ぐらいの方が個人的にはすき)
車椅子の子のエピソードについて、回収がなく、そもそもメイン2人との共通点は偶然がすぎるのでいらないと感じた
負けても最高!
ボクシング人生最後の試合というテーマと、児童虐待問題という二本立て。特に明美と娘ミクの関係に胸を痛めてしまう。新しい男ができたせいで、言うことをきかないミクを檻に入れてしまうのだ。「のどがかわいた」という言葉を発しただけで涙がこぼれてしまった。新海誠の愛娘の新津ちせちゃんの演技最高!
ボクシングを辞めたと言っても「もう遅い」と離婚届を突き付けられる末永。明美の「この子の父親になってくれる?」という問いにも即答できなかったため、関係もこれまでとなってしまったか。優柔不断のダメ男ぶりの森山未來が何とも言えないほどのいい味を出していた。
クライマックスはもちろん森山未来vs北村匠海のラストマッチ。北村匠海が右目を負傷していたために「左フック、右アッパーだ」と忠言されていたのに中々出ない。もう目が見えない・・・空振りの応酬。まさしく死闘!『ロッキー』の死闘をも思い起こすほど手に汗握る展開となるのです。もう、どちらも負けてほしくない。未来を掴むんだ!と、ボクシング映画ファン必見の作品となりました。
試合もよかったんだけど、もっと泣けるのがデリヘル店長木田(二ノ宮隆太郎)と兼子(熊谷真実)のエピソード。今後もデリヘルものの映画が数多く誕生しそうな予感も・・・
松浦慎一郎さん、将来セコンド役で賞をとってよ。
鑑賞中は「こりゃ前編の勝ちかな。」なんてことを思ってしまっていたのですが。
ラストは痺れました。
会場の一体感。
セコンド役の松浦慎一郎さんを応援しているのですが、彼の叫びは、ありゃ演技だったのでしょうか。
そうとはとても思えなかった。
森山さんと北村くんの両方に声を張り上げていたように思います。
決着後の、顔をしかめて泣く姿なんて、この撮影期間中きっといろんなことがあったんだろうなと想像して、思わず涙が溢れそうになりました。
セリフが少なくても、演技力で映画を引き立てる。
将来、彼がもっともっと歳を重ねたとき、同じようなボクシング映画で主役になって欲しい。
味のあるセコンド役として。
いつか日の目を見て欲しい。
いやあ、いい映画だ
尺をもう少しつめれば…
素晴らしかった
前編では主要登場人物がみんながみんな暗くて人に対して当たりがきつい、個性が描けてないのではないかと思ったのだが、後編では暗くて当たりがきついながらも、個々の違いが感じられる。
特に、北村匠海と奥さんが児童養護施設の出であり、森山未來との出会いも児童養護施設であったことに心をつかまれて、だったら暗くて当たりがきついあの感じもしょうがない。
車椅子の男があれっきりだったのがもったいない。彼のドラマも見たい。
お互いの人生の全てを背負っての試合は、背景が壮絶で尋常じゃないテンションだ。
オレも漫画の描き方を教えに養護施設でボランティアさせてもらいたい。
森山未來が良かった
それぞれの戦う理由。圧倒される最後の戦い!!
【賛否両論チェック】
賛:末永と大村、それぞれが戦う理由を胸に、最後の一戦へ臨んでいく姿が、人間臭さ満点。試合のシーンはまさに圧巻の一言。
否:特にこれまでの説明はしてくれないので、前編の鑑賞は必須。グロシーンやラブシーンもかなりあり。
特段これまでのあらすじは説明してくれないので、前編の知識は必要不可欠です。
目標や甲斐性まで失い、家族にも見放されてしまって、まさに心の拠り所をなくしてしまった主人公・末永。そんな彼が、いかにして最後の戦いへ挑んでいくのか、人間臭さ溢れるその雄姿は、様々な意味で必見です。
そしてもう1人、謎多き新進気鋭の若手ボクサー・大村。彼の切なくも危険な過去が、運命のイタズラによって暴かれていく様や、彼がそれでもボクシングにこだわる理由等、熱くて青いその姿は、痛々しくも清々しさが漂います。
後編も前編と同様にラブシーンが多く、また思わず目を背けたくなってしまうような児童虐待のシーンなんかもあるので、観る人を選ぶ内容であることは間違いありません。 しかしそれでも、ラストの試合は圧巻です。まさにお互いのプライドをかけた死闘と呼ぶにふさわしい迫力で、観ていてついつい拍手喝采したくなるようです。
気になった方は是非、前編と併せてご覧になってみて下さい。
この後編を楽しむために、前編を頑張って見たんだな。 前編は重くて救...
負けて輝く
試合シーン&エンディングに熱くなる!!
ボクシングの試合なんてまともに見たことないのに、『百円の恋』や『あゝ荒野』など、ボクシング映画にはなぜかひかれます。
前後編、あわせて一気に観ました。個人的には試合に至るまでがちょっと長いかな…というか、ちょっと不幸なエピソードが多すぎる、背負わせすぎて、見てて辛い。。という感じも正直ありました。でもそういう気持ちを吹っ飛ばしてくれるくらい、試合のシーンがエネルギッシュで高揚感がありました。それまでの重さは試合をより熱く盛り上げるための時間だったのかなと思えるほど。
あと石崎ひゅーいのエンディングテーマもすごくかっこよくて、余韻を盛り上げてくれました。
森山未來、北村匠海、勝地涼、素晴らしかったです。それぞれの人柄や思いが溢れ出るような闘いぶりで、目が離せません。
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