「パワーアップしたファブル」ザ・ファブル 殺さない殺し屋 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
パワーアップしたファブル
前作から2年、コロナで公開が延期されていた、『ファブル』待望の第2弾。パート2の難しさはよく聞くジンクスだが、それを乗り越えて、アクションもストーリーも、そして配役も、なかなか素晴らしく、面白かった。この作品にかける、製作陣の本気度が覗えた。
まずアクションは、初っ端からのカーアクションから始まり、何といってもアパートの工事の足場でのアクションは、ハラハラ感が伝わる際どいシーンの連続。しかも、岡田君はスタント無しで取り組み、アクションの演技指導もしていたということで、彼自身の入れ込み具合も、相当のものだと感じた。
ストーリーは、かつて、悪どい売春組織の一員だった弟が、ファブルによって殺された宇津帆とファブルの因縁対決が中心となる。その宇津帆の現在の表向きは、子供サポーターのNPOの代表。しかし、その裏では、相変わらず人の命を何とも思わず、大金を巻き上げる陰の悪代官。そこにかつて、ファブルが弟を殺す現場に居合わせ、命は助けたが、車椅子生活となった謎の少女ヒナコが絡み、サスペンスとしての様相も増してくる。
キャストについては、1作目からの佐藤二郎や山本美月は、今回は脇役に回る中、何といっても堤真一の存在感は、際立った。彼にしては珍しく、腹黒いヤクザまがいの悪役・宇津帆を演じ、実に堂に入った凄みや怖さを感じさせた。そして、平手友梨奈。彼女が醸し出す、謎めいた無表情の演技が、暗い過去や闇を抱えたヒナコ役には、正に適役。最後まで、2人とも迫真の演技を魅せてくれた。
これほど、シリアスな内容だが、岡田君の世離れした、大真面目なズッコケ振りや木村文乃のヤンキー台詞、佐藤二郎のハチャメチャなアドリブは、相変わらず。思わずクスッと笑いを誘うシーンが散りばめているが、決して、ストーリー性を損ねることなく、却ってそれが、息抜きとなって、面白さを増しながら展開している。