「ご当地映画ではない、普遍的な映画!」いとみち lizさんの映画レビュー(感想・評価)
ご当地映画ではない、普遍的な映画!
母が小さい頃他界し、言葉でコミュニケーションをとるのが苦手な青森の田舎に住む16歳の女の子いとは、弾いている時の格好が変という理由で津軽三味線を辞めていた。ひょんなことから青森駅近くのメイド喫茶でバイトを始めることになり…という話。
ポスターが、若い女の子がメイド服で三味線を持っている写真で、アイドル映画に見えて、豊川悦司さんが出ている良質な映画だとは見えなかったのだけれど、キネマ旬報で3人とも★4つという高評価だったので、拝見した。
青森のご当地映画に見えるかもしれないけれど、メイド喫茶内でメイドの先輩2人にガツンと言われることは、青森とは関係ない普遍的なことで、すごく共感した。
青森空襲記念館のシーンや、三味線の修理のシーンはドキュメンタリー的。私は『風の電話』は、日本の社会問題を詰め込み過ぎだと思ったんだけれど、本作の空襲記念館のシーンは、実際に青森の高校生は学校で見学に行きそうだし、その後のシーンがメインプロットに直結していたから、すごくいい使い方だと思った。
青森出身の主演の駒井蓮ちゃんは、演技をちゃんと拝見したことがなかった。普通の顔と笑顔が全然違って、主人公のいとはほとんど笑わないから、笑った時に観客の感情を揺さぶるインパクトがすごい!
おばあちゃん役を演じた西川洋子さんは、俳優でなく津軽三味線の奏者だそうだけれど、とにかく干した食べ物を持たせるところだとか、温かくて笑えてサイコー!
豊川悦司さん演じるお父さんも、娘をただ見守る表情がよかった。