ノマドランドのレビュー・感想・評価
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孤独、すなわち自由。幸せだと感じられれば、それでいい。
自分ごとのような気持ちで観ました。でもアメリカ人と日本人では死生観が違うのか...いや老荘思想や仏教的な考えとの違いか?など、少し消化しきれず。
音楽が暗く悲しい... これってそんな不幸なことだろうか?なぜこうも不幸感たっぷりに描くのか、すごく不思議でした。日本は昔から年取ったら隠居or出家とか、世俗の欲を脱ぎ捨て世間から引っ込んで庵に住まう、のがむしろ人間性の仕上げみたいな。清廉になっていくのを良しとするところがあったのでは。
余計なものは段々いらなくなります。家も、持ったまま死ねないしね。人付き合いも減らして(コロナ禍で少し早まりました)。執着を手放し、身軽に、いつ死んでも後悔しないようにしておく。庵がキャンピングカーになっただけ。持ち物はそこに収まるくらいのもので、むしろ単純作業のような仕事があるのは、幸福。その日その日に完結する仕事は、心身ともに健康的で、シンプルに社会のお役に立ち、お金まで頂ける。ちょうどいい。動かずご馳走食べて、食べた分燃やすためジム通いするより、真っ当と思います。マネーゲームの世界とは真逆だけれど。重い責任や名誉や駆け引き、人脈、人間関係、承認欲求。そういうのは若い人に譲っていいのでは。
先日TVでドラマ「北の国から」をシリーズ通して観ましたが、なぜか通じるものを感じてしまった。でもこちらの主人公:黒板五郎は周りからどんな目で見られても、幸せそう。(脳内でノマドランドのバックに「北の国から」の曲をかけてみたら、主人公ファーンもいい表情になった)「北の国から」の最終章テーマは遺言。
人生は旅と同じ。出会いと別れ。諸行無常。でも必ず終わりがある。去る時は一人。皆、同じ。だから悔いのないよう最終章を生きるのです。
たしかに、ファーンは五郎さんと違い移動生活者で女性。スタンガンは要る。自衛は必要。どうせ死ぬといっても、殺されたくはないですよね。エンディングを楽しむには、経済的自立の上に精神的自立も必要でしょう。最愛の伴侶を亡くして孤立感がまだ癒えない主人公は、精神的には不安でまだ揺れながらノマドをしている。
けれど見方を変えれば、主人公は配偶者に恵まれ、これまで愛のある人生だった。幸せな子供時代。お姉さんからも、愛されている、タイプこそ違うけれど。旅する先々でも友情に恵まれる。
愛はお金では買えない。
お金教の信者みたくなってしまった人たちに、なんかモノ申したいけれど、それ言ったら負け犬の遠吠えに聞こえてしまうよねって、もしや主人公が一番自己卑下してる?って気配が漂っており...まだ精神的自立のq途中なのかもしれない。
でもそれでいいのだと思います。誰かの評価より、自分の気持ちに正直に。ゆっくりそうなっていけば。
車ひとつで自由気ままに放浪する生活
ハウスレスとは
印象的だったのはファーンが女の子に「ホームレスになったの?」という質問に対しての返答。
「ホームレスじゃなくて、ハウスレスよ」
この"ハウスレス”、初めて聞いた言葉だ。
上手いこと言っているようだけれど、強がりなんかではなく、車の中では料理だってできるし、トイレやベッドもある。
塗装して、インパクトでネジを打ち込んでカスタマイズ。
あれらが家ではないなんて言わせない。
それに帰る場所があるという事だけではなく、前を見て生きている。
夢や目的が彼女らにはある。それが決定的な違いだと思う。
ノマドは英語で「遊牧民」という意味。
自らなった人もいれば、そうではない人、ボブが言っていたように野に放たれた、まさに「放牧民」もいる。
どんな経緯にせよ彼女らは助け合いが不可欠で、そのコミュニティーというのが本来人が1番大切にしないといけないモノなのではないかとしみじみ…
絆を育んだ彼女らの関係って何て言えばいいんですかね?
家族も友人も超越した関係ですよね。
1時間40分、ノマドを社会問題として扱うでもなく、逆に美化することもなく、1つの生き方として描くことに一貫していて、これら全てがリアルなんだと感じた。
ノマドは砂漠に咲くサボテンのように逞ましい。
凄い、凄いけど攻めすぎ…
映像の美しさがこの映画の非常に重要な要素だと感じます。特に印象的なのは日の出、日の入りの荒野の映像でした。とことんドライなストーリーをとんでもなく美しい映像で観客に許容させる…様な感じでしょうか。
ドライなストーリーとは、状況を小出しで説明して心情に関わる部分は絶対に言葉にされない状況を指します。ほぼ起承転結はなく、最終的に観客が彼女を理解して終わるのみだと感じます。映像の美しさは前述の通りではありますが、演技の部分も当然素晴らしかったです。
アメリカの状況への憂いという社会的な側面と、あくまでフィクションとして描かれる主人公の突き詰めた孤独と心情、映像のクオリティから溢れる監督のアメリカへの深い愛。これらの強く要素を感じました。良い映画だったと思います。
けども、無条件に面白い映画だとは言えないレベルの高すぎる映画でした。
空とノマドの表情の美しさ!
ただただ考えさせられました
孤独を抱えて生きる
さよならって言わないのはなんかイイよね
遊牧という仕事
暇だから見たんだけど…
旅人たちは「また会おう」が合言葉!
この映画は、ズバリ老いや死という問題をシンプルに取り上げているので、そのことに関心のない方は、面白くない映画でしょう。また、全編を通じて、弾けるような明るさはひとつもありません。静寂の中で、幸せを感じて淡々と生きていきます。終活を考える人にとっては、いくつかの貴重な示唆があると思います。最初の方で、アマゾンの工場で働くシーンがありましたが、巨大企業の工場の存在は、まさに作品と拮抗する経済エネルギーの象徴のようでした。観ているうちにタイトルの本当の意味がわかってきます。家のない人が主人公なのです。しかもそういう人間を生み出しているのも、アメリカの政治でありつつも、逆に自由主義国の自由さという側面もありました。主人公たちは、常に色んなところで仕事しながら自由さを楽しんでいます。まさに「家は心の中にある」というセリフそのものです。思うに、人間は生きている間にたくさんの体験をしたいという願望を持っています。その願望を果たすために、彼らにおいては定住を拒否し、旅に出るのでしょうか。彼らが集まる集団生活は、小さな村のようですが、このスタイルはコロナ禍を乗り越えた先にある、一つの組織のあり方のような気もしました。日本で言えば、縄文時代のスタイルです。そして、死の問題については、彼らは楽しく生きることで、平然と乗り越えているような気がします。しかし、それは定住を求める人にとっても、意識の高い人間は乗り越えていることなのでしょう。もともと主人公は、愛する旦那との別れの悲しみから旅に出た。いつかきっと再会できる気がしてキャンピングカーを購入して、旅に出たのだと思います。彼らにとって大事な合言葉は「さようなら」ではないのです。「また会おう」なのです。永遠に繋がる素敵な天国言葉だと感動を新たにしました。
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