ノマドランドのレビュー・感想・評価
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衝撃的な事実が題材の詩的な映画
ノンフィクション『ノマド:漂流する高齢労働者たち』が原作ですが、
映画はこのサブタイトル「漂流する高齢労働者たち」から連想される
衝撃的な内容ではなく、とても詩的な作品です。
主人公が他のノマド達から影響を受けながら、新たな決意を固める様が
描かれていますが、ドキュメンタリーではないので本来緊迫感があった
であろうエピソードもあっさりした説明で終わっているし、フィクション
としても詩的な作品であるがため、刺激に欠ける部分は否めません。
残念ながら私としては、どっちつかずな退屈な作品でした。
世界的に高評価を得ている作品なので本来は良作と言えるのでしょうが、
たぶん私の記憶には残らないだろうと思います。
いつかまた、どこかの旅先で。
希望の明日へ旅するノマド。そして私たちも続く…
本年度アカデミー賞6部門ノミネート。
作品賞・監督賞は最有力の声!
本来は『るろ剣』を観に行く予定だったが、諸事情で後日観に行く事になり、急遽予定変更。
いつもながら地元では上映していなかったので隣町まで観に行くか悩んでいた所、この予定変更やスケジュールも上手く合い、よ~し!…と。それに、ちょうど明日オスカー発表だし。
無駄話はここまでにして、感想を。
主人公ファーンの境遇は、とてもとても軽々しく同情するとか察するとか言えやしない。
リーマン・ショックによる経済破綻は、住んでいたネバダ州エンパイアをも襲う。
工場の閉鎖により、町は衰退していき、事実上のゴーストタウンに。
住んでいた町を失い、住み慣れた家も手離し、さらには夫も亡くし…。
正直、ファーンはもう若くない。初老と言っていい。
その年代にこれはキツすぎる。
が!しかし!
ファーンは夫との思い出や最低限の生活必需品をワゴン車に詰め込む。
家や定住の地を持たず、季節労働の車上生活者として、アメリカ各地を渡り歩く。
現代の遊牧民(ノマド)として。
どん底に落とされても、ただでは這い上がらない!
それをフランシス・マクドーマンドが演じるのだから、力強く、逞しい!
キャリアベスト級、迫真の演技の声は言うまでもなく、全てをさらけ出した素の彼女を見ているかのよう。野○ソのシーンなんて、ある意味衝撃。メリル・ストリープに出来る??
Amazon内の仕分けスタッフや公園の用務員として実際に働くのは元より圧巻だったのは、他のノマドたちとの交流。
聞けばノマドたちは役者ではなく実際にノマドとして生きる人たちで(彼ら/彼女らの姿が作品にリアルさを与えている)、台詞もアドリブあり。それに合わせてフランシスは即興演技。
それって凄くない!?
3度目のオスカー主演女優に期待かかるが、さすがに3度目だしベテランだし、今回は別の女優に…。
嗚呼、もう、今年の主演女優は超混戦で分からない!
フランシスの名演も素晴らしいが、やはり本作のMVPは、監督のクロエ・ジャオだろう。
ドラマ映画なんだけど、ドキュメンタリーのようでもあり。
ダイナミックで、繊細。
斬新でもあり、的確でもあり、生きる事について問い掛けられる、哲学を纏った名演出。
それらを、雄大で壮大な風景の映像美の中に映し出す。
失われつつあるアメリカ大西部への憧憬を感じた。同時にそれは、絶望だけではなく、希望さえも。
本作のような深みのある人間ドラマを撮れ、次はMCU大作『エターナルズ』。その次はユニバーサル・モンスター『ドラキュラ』のリブート企画。この幅広いジャンルの手掛けよう。(注目作となった『ザ・ライダー』も無料配信されてるし、見なくては!)
同じアジア人として誇り。それに、結構美人さん。
才能もあって、惚れてまうやろー!
見てたら何故か、雰囲気やジャンルは違うが、日本の某国民的長寿映画を彷彿した。
放浪の旅暮らし。
その中で、出会いや別れ。
一見自由気ままそうに見えるが、その実は孤独や哀しさ、侘しさを抱えている。
共に暮らす事を誘われるが…、再び放浪暮らしを選ぶ。
ノマドはつらいよ。
一体、何が誰が、彼らを彼女らをこんな境遇に落としたのか。
まるで、見放したように。
生活は貧しい。苦しい。
でも、生活苦や侘しさと引き換えに手に入れた、何物にも縛られない自由と、人が人として生きる姿、交流…。
ノマドとして生きる人、我々多くの人、どちらの生き方がいいかなんて白黒つける事なんて永遠絶対に出来ない。
それぞれの生き方。
選んだ生き方。
私の向かう道。
あくまで人の生きる姿を誇り高く描き、政治的メッセージは抑えられているが、明日の見えぬその日暮らしは世界中の格差や貧困などに訴え掛ける。
何より胸染み入ったのは…、
大事なものを無くし、大切な人を亡くし…
つらくても、希望を捨てず、それでも人は生きていく。
明日へ、明日へ、明日へーーー。
また、いつか。
再びコロナが拡がり始めた今と繋がるものを感じ、見る意義があった。
4月26日追記
アカデミー賞発表!
やはり、『ノマドランド』勝利!
でもそれ以上に、クロエ・ジャオの監督賞が喜ばしい。
去年は韓国人、今年は中国人、アジア人監督の受賞が続き、果たして日本人監督はこれに続けるのか…?
にしてもにしても主演男優賞、チャドウィック・ボウズマンで確実と思っていたら、まさかまさかのアンソニー・ホプキンスとは…。
実際『ファーザー』観たら納得なのかもしれないが、それまでは呆然…。チャドウィック~!(>_<)
アカデミー賞ノミネートされたから
これが、ノマドとしての矜持だというのだろうか?
私はファーンの気持ちが最後まで理解できなかった。一緒に暮らそうと言ってくれる人がいるというのに、なぜ一人でがんばり続けるのだろうか? 淋しくはないのか? 怖くないのか? 不安ではないのか? 愛よりも自由な暮らしがいいのだろうか? 確かに他人との暮らしは自分の思い通りにいかないことが多いだろう。でも、喜びは2倍に、悲しみは半分にできるのではないか。私にはそう思える。ファーンも夫が健在なら、ハウスレス生活は送らなかっただろうと思う。この映画を観て、2つの言葉が思い出された。「アメリカン・ドリーム」と「プーア・ホワイト」。アメリカの一面を表している言葉だ。一発当てれば、億万長者。でも、格差はすごくあってこんな暮らしを送っている人々もいる。Amazonの便利さは、こんな人たちが支えてくれているのだ。車の背景は美しいけど、荒涼とした印象を受けた。
ノマドはかぎ針編みをする
ただ生きていくという勇気
圧倒的な自然。
叫びだしたくなるような孤独と自由。
寄る辺なき人々の連帯感と誇り。
自分の足で立つという覚悟。
ただ生きていくという勇気。
ファーンに刻まれた皺が格好良くて見惚れてしまった。
コロナ禍、無駄に人と会わなくてよくなったことに
どこかほっとしている自分の甘さを思う。
つらいけれど、暗くはない
予告編を観て、好きなタイプの映画ではないなと思ったけれど、何か引っかかるものがあったので鑑賞しました。
べつに、何とか賞を取ったとかノミネートされたとかは関係ないです。
で、予想通りとくに感動はしなかった。
でも、何らかのメッセージは伝わってきました。
ちょっと、つらい話でしたねぇ。
スクリーンの映像を観ているあいだ、頭の中に「寂寞」とか「寂寥」という言葉が浮かんできたりして、心細い感じがずっとつきまとった。
僕も先のことを考えたら不安だらけなので(老後は、ほぼアウトだ)、身につまされる思いでした。
けれど、暗い話ではないと感じました。
つらい話だが、暗くはないナ、と。
我々は、いつの間にか経済社会にすり込まれた理想や幻想にとらわれすぎて生きているのではないか。
そういったものがつくり出した多くの「かくあるべし」から、もっと離れたところで生きてもいいのではないかとも思った。
そして、人と人とが繋がることの大切さを、あらためて考えさせられました。
ただ、この作品は、——出演者のほとんどが、実際のノマドということだし——ドキュメンタリーで撮ってもよかったんじゃないの? という気もしましたが、どうなんだろう。
以上、「ノマド」予備群より
フィクションとドキュメンタリーの融合
ノマドという生き方が持つ意味は?
アカデミー賞候補作
若くて体力があれば 自由気ままな一人旅に憧れることもあると思うけど...
若くて体力があれば
自由気ままな一人旅に憧れることもあると思うけど
高齢者が独りぼっちで
仕事を求めて
旅を続けていくという生き方は
観てるだけでもキツイ
本家の遊牧民(ノマド)だって
家族と一緒に助け合っている
車やスマホや
便利なグッズがあっても
ノマドたちと交流する機会があっても
基本は独り
でも、登場人達の
誇りと逞しさ知って
少し救われた
鑑賞してから2週間経つけれど
今でも時々
ノマドたちのことを想う
老いること、生きること
いい映画だったので
高齢世代の価値観と大切なものとは!…
大自然
I’m not homeless, I’m just houseless.
主人公の「ホームレスではないわ、ハウスレスよ」という言葉の意味をずっと考えてました。
人や社会とのつながりを失ってしまえば、例え住む家があってもホームレスな状態と言えるのかな?
自然と一体となって生活する現代のノマドたち。スクリーンの彼らを見つめていると同時に自分の生活、生き方をも振り返っていました。いろいろ考えさせられますねぇ。
エンドクレジットを見ていてびっくりしたのはフランシス・マクドーマンドとデヴィッド・ストラザーン以外はほとんど役名が実名で…皆さん役者さんだと思っていたけど実際のノマド民だったのですね!ご高齢の方が多いのも現実なんですね。
ドキュメンタリーとフィクションを融合したような作りは邦画の「朝が来る」とちょっと似ているのかなぁ?
アメリカ西部の壮大な風景、自然の光と音、そして人間の逞しさ。それらは大きなスクリーンでこそ味わえる作品ですね。
こういうシンプルな生き方もあるんだなぁ。
結局、生きるためには拠り所が必要
見応えのある作品
驚くべきは、キャストのノマドの人々が俳優ではなく、本物だったことだ。
確かに彼らの存在感はあまりにもリアルで、怖いぐらいに切実で、それと同時に、それぞれに一人ではあるが孤独ではなかったし、貧しくても誇り高い存在だった。
再三映し出される神秘的なマジックアワーの空の色がとても印象的で、アメリカのダイナミックさと圧倒的な自然美に加えて、正直何かしらの残酷さを感じずにはいられなかった。
妥協できないものを胸に秘め、覚悟の上で旅を続けるノマドたちは、美しくも厳しい自然の中で懸命に生き、そして土に還るように静かに死んでいくのだろう。
それが幸せでないとは限らないということを、私はこの映画で初めて知ることになった。
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