劇場公開日 2022年4月8日

  • 予告編を見る

親愛なる同志たちへのレビュー・感想・評価

全43件中、1~20件目を表示

4.0コサックの軍服

2022年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

国家という大きな共同体と家族という最小単位の共同体が、一人の女性の中で衝突する。市政委員会のメンバーである主人公は、体制側の人間だ。イデオロギー的にも共産主義の正しさを心底信じている。一方、その娘は、工場に勤めており、ストライキに参加し体制を批判する側となる。ストは大きな暴動に発展し、軍が鎮圧に乗り出すと、安否のわからなくなった娘の行方を追って主人公は奔走する。
軍が市民を殺すという事態を、体制側は隠ぺいしようとする。しかし、娘がそれに巻き込まれた主人公は、何を信じればいいのか揺らいでいく。娘を想う気持ちと国家を信じたい気持ちの狭間で主人公は葛藤し続ける
主人公と娘の他、主人公の父も重要な存在として描かれる。彼は、コサック兵の軍服を大切に保管している。コサック兵はかつてロシアの支配に対抗した軍事勢力だが、この作品の舞台はコサックがかつて活躍した土地でもある。そんな父の存在によって国家と娘の対立軸に、歴史の経糸が折り重なり、分厚い物語に仕上がっている。改めて、ロシアとはどんな国なのかを知るために、見てほしい作品だ。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
杉本穂高

4.0モノクロームを通じて身の震えが伝わってくる

2022年4月11日
PCから投稿

なんとも痛烈なタイトルである。60年代、ソ連の南部にある街で起こった労働者たちの大規模なストライキが、無差別銃撃事件へと発展していく過程をモノクロームで描いた作品だ。興味深いのは、ストライキの参加者が主人公というわけではなく、むしろこの混乱をどう収めるか頭を悩ませる”市政委員の女性”にスポットを当てていること。党への忠誠を誓う彼女の瞳を通じて、フルシチョフ政権が派遣する軍やKGBの暗躍、人が逃げ惑い命を落としていく凄惨な状況が浮き彫りになる。そして彼女自身も一人娘の行方を探して街を彷徨い続けーーー。徐々に不安と絶望に覆われていく主演女優の演技に言葉を失う一作だ。この事件から60年が経つが、時代は何も変わっておらず、「力で抑える」「恐怖で治める」ことがもたらす悲劇はいまだ無くならない。現在TVやネットを通じて伝えられるウクライナの凄惨な光景もまた延長線上にあるものではないかと意識させられた。

コメントする (0件)
共感した! 10件)
牛津厚信

4.0Satantangonian Throwback

2022年3月10日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

This Russian black-and-white tale of a political massacre in the 1960's feels relevant in the age of shutdowns and surveillance identification; not to mention the event takes place only a few hours drive from Mariupol. Disgruntled factory workers meet their demise when the KGB steps in, and a socialist-loyal official finds herself at the brunt of the disappearing act. Slow but terrifying.

コメントする (0件)
共感した! 1件)
Dan Knighton

5.0示唆に富みすぎる作品

2023年6月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

この映画を観るまで「ノヴォチェルカスク虐殺事件」なんて知りませんでした。
そして、冒頭のセリフから現実社会、政治、経済との対比で次々と考えさせられて頭が疲れました。マジでこんなに考えたのは久しぶりです。映画を観た後に事実経過を調べましたが、この映画の通りでした。モノクロ映像と相まって実にリアルに制作したのだと改めて感心しました。
・「共産主義で物価が上がるのはあり得ない」:常に需要と供給がバランスする建前ですからね。必要なものを必要なだけ。ですが、経済失政(意味不明なデノミ)で激烈なスタグフレーションとなりました。ノヴォチェルカスクは貧しい地域で元受刑者が多く住む町で、賃金は上がらない(どころか下げられる方向)、物価は上がっていくというところから始まります。
・共産党は「無謬性」で成り立っています。党の指導に間違いはない。もし問題があるのなら、それは現場の問題である。そう、理不尽です。でも、現代社会でもそうあるべきだ、そうなっているという前提で物事が進んでないですか?過失に厳しくしすぎていませんか?そして、それがさらなる歪みを生産している現実。今も昔も強度の違いはあれ同じです。
・上意下達の弊害。党本部の指導が絶対です。権限委譲なんてありません。群衆がデモで不満を訴えても町の委員会にはなんの回答も出せません。中枢から幹部がやってきますが彼らは教条主義者です。却って火に油を注ぐだけです。なお、このデモの解決にミコヤン第一副首相が当たっていたことにびっくりしました。党本部は事件に重大性を感じていたのだと理解できます。
・回顧は手軽な現実逃避。主人公リューダは共産党員で町の委員会の幹部で組織に思想に忠実でしたが、物価上昇等からスターリン時代を良い時代だった、スターリンに戻ってきて欲しいと何度か繰り返しますがそんなことにはなりえません。昔を懐かしむ、良い時代だったと回顧するのは現実逃避なんだなあと気づきました。しかし、スターリン時代が良かった、という感覚は私には理解出来ません。ホロドモール、ロシア内には知られてなかったでしょうか。
・軍とKGBの関係が面白い。というか、こんな状態で軍人になろうなんてよく思うよなあ・・・。
・ノヴォチェルカスクってウクライナの隣なんですね。アゾフ海で云々のセリフもありました。
・親の子に対する思いは時代、体制関係ないよね。当たり前ですが。

他にもいろいろとありましたが、このタイミングでドキュメンタリータッチでの上映には感謝します。是非、映画館で。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
zem_movie_review

5.0全体主義国家の恐ろしさが良く分かる映画

2023年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

この映画はソビエトという全体主義国家の恐ろしさが良く分かる素晴らしい映画です。自由に生活できる環境に感謝する気持ちが湧いて来ます。一人ひとりが自分らしく生きられる社会の実現に向けて頑張ろうと思いました。ありがとうございました。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
松村 訓明(まつむら のりあき)

2.0収容所群島等が暴露された現在では希薄な印象

2023年4月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1 時代背景
ソ連は1928年から経済5か年計画を開始し驚異的な成長を遂げるのだが、1950年代後半になると停滞し始める。「フルシチョフが呼号した”社会主義的生産様式の優位”は1960年代には失われ、経済の分野で、アメリカ合衆国に追いつき、これを追い越すことは夢物語になってしま」ったことから、その後、経済に代わり軍備拡張による対外的膨張政策に転じていく(猪木正道『共産主義の系譜』)。その帰結が異常な核開発競争である。

本作は、経済的な停滞が生活の悪化をもたらしてきた1962年、現在のロシア・ウクライナ国境に近いノヴォチェルカスクで発生した工場労働者のデモに対し、軍や秘密警察KGBが弾圧を加えた事件を描いている。

2 ソ連からロシアに続く人命軽視と情報統制体質
映画では、冒頭で共産党員の規律の乱れ、計画経済の限界と生活苦、党員の特権的待遇を簡単にスケッチし、その後、工場労働者に対する軍やKGBの銃殺事件を通じてソ連共産党の人命軽視と情報統制の体質を批判している。
それがそのまま現代ロシアへの批判に見えてしまうのは、いまだに人命軽視と情報統制の独裁国家であるロシアの実体が、ウクライナ侵略戦争を通じて明らかになったからだろう。もちろん監督はそれを狙っているはずだ。

3 収容所群島等が暴露された現在では希薄な印象
本作はソ連共産党の地方党員を主人公とし、単に弾圧の被害ばかりでなく、その根本的な原因である共産党独裁と党官僚の腐敗を効果的に描いている。
とはいえ世界はすでにホロドモールや第二次大戦中のドイツ兵、日本兵のシベリア虜囚を、収容所群島の悲惨やプラハの春の弾圧を見てしまった。1962年には本作の事件の半年後にソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』が発表され、統制国家ソ連の実態はやがて次々に暴露されていくのである。
その視点からは、本作の描いた事件ははっきり言って取るに足りないという印象を免れない。映画の感想が希薄なものにならざるを得ない所以である。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
徒然草枕

4.0これはすごい傑作ではないか?

2023年1月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

長らく映画館に行けてない。見逃した作品も数多い中、たまたまタイミングよくケーブルで鑑賞できた注目作。スタンダードサイズのようだったけどほんとかな。
1962年のソ連で起こった国家的犯罪を背景に、党員としての理想と母親としての愛憎に引き裂かれる女。その姿を通して描く、ロシア人が負ってきた不遇と不屈の魂。いやー、主演の女優さんがいいですねー。コンチャロフスキーの奥さんだとか。実に綺麗に撮れてるし芝居がうまい。会議での発表を前にパニックになるあたり、そして終盤のクルマでの帰路、ウオッカをあおりながら歌う革命歌のシーン。白眉です。
少々説明不足なところがあって、何で?ってなるところもあるけれど、あのKGB。いい人もいるのさってことで流していいのかな。それとあの会議はどうなったんだ?
とまれ、悲愴な歴史を生きてきた人々に幸あれと願わずにいられない。ことに独裁者プーチンを戴く現今にあってはなおのこと。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
くーにー62

5.0靴下の穴から真実を覗く

2022年12月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

がっつりレビューをしたのですが、何故か気づいたら消えてしまっていました。
削除ですか?
まさかタレコミとか、検閲ですか?
がっかりです。

「靴下の穴」って、どこか笑いをさそってほのぼのとした物語を生み出すものですが、
この映画は違います。
まさかどこの誰が
「土葬された我が娘の遺体を半狂乱になって素手で掘り起こして、一体一体、靴下の穴を確かめる母親の姿」なんて想像したでしょうか。

隠されているもの―
埋められて隠蔽されたもの―
見なかったことにされているもの―

― それらをしっかり覗き見ろという監督の強いメッセージを感じました。

コメントする 2件)
共感した! 2件)
きりん

4.0裏口

2022年12月17日
iPhoneアプリから投稿

構図が実に巧みである。自我の強さを示し自立しうる者のようでもあるが、大きな社会の枠組みの優越する階層に属し、その特権を自己に有利に使う。フルチショフ時代にあってスターリンを懐古する錯誤感。結局は巨大な機構のピースでしかなく、隠蔽を至上命題とする局員とメンタリティに本質的に違いがない。日常から非日常への移行の描き方が上手い。そしてその機構が今度は自らを押し潰し始める。追い込まれ独り湖で身を沈める絵が美しい。依存し、従属した機構から自己を切り離す勇気が問われる。父の世俗への絶望。巨大なマシーンに依るところからは脱しないロシア。今もまだ続く。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
Kj

4.0ロシア国民への逆説的な警告映画

2022年10月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

スターリン後のフルシチョフの時代、ソ連南部で起きた大規模なストライキの銃撃による鎮圧を題材にしている。
その場に居合わせた共産党の幹部である主人公リューダの苦悩を描いているが、彼女の「スターリン時代の方が良かった」というフレーズが、一番印象に残っています。スターリン時代は弾圧がすさまじく、皆YESMAN・YESWOMANであり、ストライキなど起こせなかったからです。YESMAN・YESWOMANの方が、何も考えなくてもよく、ある意味、楽です。
今のプーチン時代のロシア人に、逆説的に警告を鳴らしているように感じます。
一方、日本を振り返ってみると、国民のほとんどがYESMAN・YESWOMANになり、日中戦争・太平洋戦争へ突き進んでいった歴史があります。ロシア人だけでなく、日本人への警告でもあります。
また、現在、この映画のような国々が、日本の近くにあるのも気がかりです。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
eimei

3.0旧ソビエトの暗黒史を垣間見ることはできた。しかし・・・

2022年8月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

この映画はロシア映画です
つまりロシア当局のお墨付き
最近のスターリン回顧傾向を反映しているからなんだろうか?
プーチンの目指せスターリンを反面教師にするように過去の恥部を描いたような気がするね。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
ちゆう

3.5これも

2022年7月7日
Androidアプリから投稿

↑一度の観ただけでスルーしたくない作品
もう一度観て理解を深めたい作品の一つ

コメントする (0件)
共感した! 0件)
雨の夜はヤバイゼ

3.0現在のロシアで制作する限界か

2022年5月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

旧ソ連・フルシチョフ時代に起こり、長く隠蔽されていた労働者弾圧事件を題材にしているということで、国家の横暴や市民への抑圧といった負の側面を、現在のロシアにおいてどのように描いているのか、関心を持って観た。
まず、デモを起こした労働者側ではなく、それに対応する当局者側を主人公にしたのは面白い。デモに参加して行方不明となった娘を探すうちに、国家の恐ろしい姿を知る、というのがメインストーリーだが、もっと主人公と娘の葛藤を真ん中に据えてもよかった。
その代わり、主人公と元コサックの父の関わりが描かれ、意味深だが、よくわからないまま。(反革命?)
発砲の主はKGBであることが示唆されるが、はっきりとは描かれない。主人公を手助けするKGBが、どうもうさんくさい。とってつけたようなエピローグは、現在のロシアで制作する限界を感じさせる。
モノクロスタンダードの画面は、50年代、60年代のヨーロッパ映画を思い起こさせて好ましいが、どうしても現実のウクライナ情勢と重ね合わせて、暗い気持ちにはなってしまう。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
山の手ロック

4.0【”自国の民に銃口を向ける国に未来はない。”1962年、旧ソ連で起きた「ノボチェルカッスク事件」を描いた作品。暗澹たる気持ちになるのは、この事件が30年の間、徹底的に隠蔽されていた事実である。】

2022年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

幸せ

◆感想<Caution! 内容に触れています。>

 ・全体主義且つ独裁国家は何時かは滅びる事を、今作を観て再確認した。

 ・今作で、物価高騰や、賃金カットによりストライキを行った、国営工場の労働者たる民衆に銃口を向け、虐殺したのはKGB(カー・ゲー・ベー)となっている。
 - 現在のロシアを統べる愚かしき男がKGB出身である事は、周知の事実である。-

 ・熱心な共産党員で、ノボチェルカッスクの市政委員であるリューダの娘が、ストライキに参加し行方不明になるシーン。
 - キツイ女、リューダが、旧ソ連の最高幹部たちを前に”反逆者には制裁を!”と会議で叫んだあと、彼女の娘は行方不明になる。
   彼女の国家への忠誠心と葛藤しながら、愛する娘を必死に探す姿。アイロニカルであるが、リューダの姿は心に響く。-

 ・今作は、徹底的に共産主義の理想と、厳しき現実の隔たりを炙り出している。

 ・虐殺が行われた数日後に、党の意向で町で祭が行われるシーンも、実に監督の意図を上手く反映している。

<全体主義の危うさ、情報統制国家の恐ろしさを克明に描いた作品。現況下の状況を鑑みると、人間とは過去から学ばない生き物である事が良く分かる。
 今作では1962年、旧ソ連で起きた「ノボチェルカッスク事件」を描いているが、2022年の現代、旧ソ連を継いだ国が行っている事・・。
 それにしても、今作はアンドレイ・コンチャロフスキー監督だからこそ、制作出来たのであろうか・・。(ラストの描き方などで、当局の検閲を逃れたのでは・・、と私は思った。)
 今作で描かれた事には背筋が寒くなるが、観る側に大切なことを訴えかける力を持った作品である。>

<2022年5月22日 刈谷日劇にて鑑賞>

コメントする 1件)
共感した! 9件)
NOBU

3.0何を信じる?

2022年5月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

寝られる

体制側にいた主人公が、子どもがデモに参加していたため、母の顔を取り戻していく。
当局の情報操作が恐ろしい。
ラスト、私は希望を持った解釈と捉えたいです。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
マリエル

4.5自らの信条に裏切られることの辛さ

2022年5月15日
iPhoneアプリから投稿

フルシチョフ時代に起こった、社会主義体制ではないことにされている労働争議をもとにした映画だが、しばらく忘れていた冷戦期のソ連社会のイメージが色々蘇った。地元の共産党役員で配給も特別扱いされる主人公の目を通して共産党組織の官僚主義や矛盾も明らかにされる。実際に映画のような、あるいはそれ以上の悲劇はあっただろうが、自分の信じた共産主義に裏切られていく主人公の思いに、もっと普遍的な人間の業を感じる。スターリン時代より自由化したフルシチョフ体制下で起きた値上げや賃下げ、ストというのも、歴史の皮肉である。スターリン時代を懐かしむ気持ちも、主人公の立場に立てば分かる。コサックの話まで入れたのはストーリーとして出来過ぎの感もあるが、十分に見応えある作品である。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
Boncompagno da Tacaoca

2.5繰り返す?

2022年5月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

76本目。
かの国の映画だから観るのに、ちょっと抵抗あったけど映画に罪はない。
でも何かコメントしづらいかなと、この評価。
歴史は繰り返すではないけど、今ロシア国内では実際に起きてるのかと思ってしまう。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
ひで

4.0社会主義国、共産主義国の人びと

2022年4月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

この映画をエレンイエーガーが見たら「この飼育場の豚が!!!!」っていうだろうな~って見てました( ´∀` )

社会主義国、共産主義国の人々やその現実世界ってこの映画見ればなんとなくわかるような・・。自分に有利な特権を与えてくれそうな人を優遇したり、忖度したり。金を稼ぐ意欲はなく、ただ国の規範から外れないように生きている。飼育場の家畜だってもう少し場主から愛情貰っているだろうに…ここにはただ、方針に従うだけの…。
西側から見ればレーニンというのは悪の独裁者って感じですけど、ソ連では英雄なんですね。西側から見るのと、彼ら東側が見えてる現実と全く違うなぁと。民主化して何年も経って、侵攻という他国を侵害している訳ですけど、民主主義は育たなかったってことなのかな・・。

正直、社会主義の方がなじむ国民性ってあると思っていたんですよ。でもそれは食べるものに困らない土地柄で温暖な気候じゃないと無理じゃないかなって…苦労なく作物が育ち、エネルギーを使うことなく機構が保たれて、最低限生きていけるような。私が思っていたのとちがう。
しかし私が民主主義の中であえて選んだ「あまり労働したくない」「楽したい」というのと社会主義の中にあるものは似すぎている…!!
会社にいる平社員のわたしと社会主義の国に仕事している人との違いなんて何もないじゃん!!wって思いました。個人的な楽しみのために、働く意欲や稼ぐ意欲よりも自由時間を大事にしているもんな……もっと給料上げろ。税金下がれ!!笑・・(えないゾ)
でも、それは私が選んだから笑えているんです。似すぎているけど決定的にちがう。

この闇に放り込まれた事件を描き、主人公にこれからはよくなる、と言わせた監督は、今の隣国に侵攻したロシアをどう思うのだろうか…。

民主化は、ロシアにとって苦しいものばかりだったんだろう。光が差すような自由や喜びは感じられなかった出来事だったのだろう。でも、苦しさの果てに民主主義の自由を得た人もいるだろう。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
夢は映画館の部屋を作ること。

5.0切実さに圧倒された年間ベスト級

2022年4月29日
Androidアプリから投稿

スタンダードモノクロ。パリ、13区で書いたがモノクロの作品は最近全く珍しくない。スタンダードだって珍しくない。そんな中でしかもウクライナ侵攻中のロシアの歴史を描くのだが、これがとんでもなく素晴らしかった。

映画、歴史、ソ連全てに対して向き合う。いちいち画に圧倒される。スタンダードは人を写すのに適しているが、風景には向いていないと読み齧ったことがあるが、重層的な空間が素晴らしい。

母でもあり党に誠実な女性の主人公の対比なのか男性陣がどうすることもできなく諦観に飲まれてしまう態度なんて、身に覚えがある。父親がレーニン時代を懐かしみ当時の軍服を着るのなんて、おかしみもあるのに悲しい。

隠蔽は国家の専売特許ではなく、どんな組織でもある。さらにこの弾圧は今のロシアでも続いている。徹底的に組織の構造を描く正面突破の姿勢も素晴らしい。

共産主義体制は国民に求めるレベルが高く、思想が狭すぎることが運営の難しさのようにも思った。

年間ベスト級の作品だった。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
タカシ

4.5今まさに観るべき映画

2022年4月29日
スマートフォンから投稿

現在の情勢がキッカケで、ロシアとウクライナの歴史を少し学んだ事で、この映画について理解が深まったように思う。お父さんのコスプレは先祖のコサック兵の制服。コサックは元々ウクライナの農奴が武装した騎馬民族集団。帝政ロシアでは重用されたがソ連には弾圧された。
 そしてスターリン時代にウクライナの農民は中央政府に穀物を収奪され大量の餓死者を出した。つまりコサックの魂を心に持つ祖父と、スターリン信者の母、スターリンを批判したフルシチョフ(ウクライナ出身)時代の娘という三世代の断絶がある。
 この映画でまず感じたことは、党委員たちのグロテスクなまでの保身ぶり。我が国の官僚や政治家の世界にも在るのだろうが、共産主義の世界では立場を守る事が人生の最重要課題のよう。
 軍司令官がKGB指揮官に、車の中でこっそり言う。「この国は外には誇れない。」
今のロシアの人たちどう思ってるのだろうか。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
koozyy