「現在のロシアで制作する限界か」親愛なる同志たちへ 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
現在のロシアで制作する限界か
旧ソ連・フルシチョフ時代に起こり、長く隠蔽されていた労働者弾圧事件を題材にしているということで、国家の横暴や市民への抑圧といった負の側面を、現在のロシアにおいてどのように描いているのか、関心を持って観た。
まず、デモを起こした労働者側ではなく、それに対応する当局者側を主人公にしたのは面白い。デモに参加して行方不明となった娘を探すうちに、国家の恐ろしい姿を知る、というのがメインストーリーだが、もっと主人公と娘の葛藤を真ん中に据えてもよかった。
その代わり、主人公と元コサックの父の関わりが描かれ、意味深だが、よくわからないまま。(反革命?)
発砲の主はKGBであることが示唆されるが、はっきりとは描かれない。主人公を手助けするKGBが、どうもうさんくさい。とってつけたようなエピローグは、現在のロシアで制作する限界を感じさせる。
モノクロスタンダードの画面は、50年代、60年代のヨーロッパ映画を思い起こさせて好ましいが、どうしても現実のウクライナ情勢と重ね合わせて、暗い気持ちにはなってしまう。
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