ボヤンシー 眼差しの向こうに

劇場公開日:

ボヤンシー 眼差しの向こうに

解説

カンボジアの貧しい田舎からタイへ出稼ぎにきた少年が体験する過酷な強制労働の体験を、取材に基づく事実にフィクションを織り交ぜて描いた人間ドラマ。オーストラリア人監督ロッド・ラスジェンの長編デビュー作で、全編をクメール語とタイ語で描いた。第69回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門でエキュメニカル審査員賞を受賞。「消えた画 クメール・ルージュの真実」などのドキュメンタリーで知られるカンボジアの映画監督リティ・パンが製作総指揮に参加している。カンボジアの田舎の貧しい家庭で生まれ育った14歳のチャクラは、労働の担い手としか扱われない自分の境遇に納得できず、ひとり家を出る。仕事を斡旋してくれるというブローカーに連れられてタイにやってきたチャクラは、そこで奴隷として漁船に売り払われ、劣悪な環境下での労働を強いられる。陸から遠く離れた海上で助けはなく、船長に歯向かった者や衰弱した者は拷問され、殺され、海に捨てられていく。絶望的な状況下でチャクラの心は摩耗し、人間性は失われ、破壊的な衝動が生まれていく。そして、そんなチャクラは、生きるためにある手段をとる。

2019年製作/93分/G/オーストラリア
原題または英題:Buoyancy
配給:イオンエンターテイメント
劇場公開日:2020年8月7日

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(C)2019 Causeway Films HQ Pty Ltd, Filmfest Limited and Screen Australia. All rights reserved.

映画レビュー

3.0少年が見た地獄

2023年10月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

現在でも20万人のカンボジアやミャンマーの男たち(子どもを含む)が奴隷同然で、
タイの漁業に従事させられているという現実があるという。

発展途上の国からの搾取の連鎖。
不法入国のブローカーは、手数料を払った者には工場勤務を手配し、
払えない者は容赦なく売り飛ばす。

入国してからブローカーには借金扱いにして、これから働いて金を返せばいい、
なんていう甘い考えは通用しない。
一番過酷な漁船に売り飛ばされ、奴隷として働かされるという地獄。

人の命の何て軽いこと…
少年の眼差しが、どんどん変化していく。
残酷に人が殺されるのを目の当たりにし、そしてそれに加担させられる。
いつ殺されても不思議ではない極限な状態の眼差しに変わっていく。

この作品はフィクションではあるものの、似たり寄ったりの現実は確かに存在する。
いつか、こんな地獄のような世界が地上から消えますように。

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kinako-cat

渡る世間に鬼はなし?

2022年2月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

4.5家畜の餌以下の命の哀れ

2020年9月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

この映画は世界一豊かな食糧大国オーストラリアの制作陣によるもの。東南アジアの漁業は約20万人の奴隷労働者に支えられている事実を発信する目的に制作されたと思われる。
カンボジアの貧農の次男が主人公。長男ばかりが依怙贔屓される毎日に嫌気がさし、自立の方法を模索するなかで、友達からタイへの密入国を手引きする闇ルートがあることを知らされる。家出してタイで一旗あげて、親たちを見返してやろうと、夜明前にブローカーのワンボックスに乗り込む。地獄の沙汰も金次第で、国境で満足な金が払えないと人身売買ルートに廻され、漁船での過酷な奴隷労働を強いられる。主人公とともに銃をもつ船長たちに一度は抵抗した女房子供持ちの男の最後は下半身と上半身ににロープをかけられ、船を走らせるとロープが締まり、胴体を絞められて殺されるというまるで古代中国の処刑のよう。主人公は船長に船のアクセルを握らされ、処刑執行人にさせられる。もし、歯向かったらお前もこうなるんだぞと、脅しでコントロールするのだ。底引き網にかかる魚は白く変色した小魚やシャコみたいなものばかり。それをドラム缶に詰める。冷凍設備もない木造船。家畜のエサの原料にしかならない。たまに、人間が食べられる大物(サバ、タイなど)が混じっていると、船長に持って行ってご機嫌をとる少年の精一杯のサバイバル術が哀れで仕方ない。船長はいう「大人より素直な子供のほうがいいな。」それを見ているベトナムからの奴隷労働者に恨まれる。奴隷どうしのリンチもある。底引き網には人間の骨も引っ掛かる。拳銃を持っているのは船長だけ。船長の仲間は二人。

 終始、主役の少年の眼差しがよかった。

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カールⅢ世

4.0この話はフィクションだけど現実なんだろうな。

2020年9月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本作最後のクレジットで伝えられる現実に驚愕し、
この映画で描かれた世界は現実であり、今も多くの
人間が辛い状況なんだろうと思います。

本作で描かれる雇われる側の人間の生活は
想像を絶します。えぐいです。
人間がどんどん壊れていきます・・・。
本当なのか?と・・・しかし、きっと本当。
でも、それで回っている世界があるということが
悲しくて切ない。

せめてもの救いは主人公の人間としての強さ。
彼のこれからの明るい未来を願わずにいられない。
それは同じ境遇の多くの人たちに対しても同じく。

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バリカタ

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