劇場公開日 2020年8月7日

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ボヤンシー 眼差しの向こうにのレビュー・感想・評価

全10件を表示

3.0少年が見た地獄

2023年10月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

現在でも20万人のカンボジアやミャンマーの男たち(子どもを含む)が奴隷同然で、
タイの漁業に従事させられているという現実があるという。

発展途上の国からの搾取の連鎖。
不法入国のブローカーは、手数料を払った者には工場勤務を手配し、
払えない者は容赦なく売り飛ばす。

入国してからブローカーには借金扱いにして、これから働いて金を返せばいい、
なんていう甘い考えは通用しない。
一番過酷な漁船に売り飛ばされ、奴隷として働かされるという地獄。

人の命の何て軽いこと…
少年の眼差しが、どんどん変化していく。
残酷に人が殺されるのを目の当たりにし、そしてそれに加担させられる。
いつ殺されても不思議ではない極限な状態の眼差しに変わっていく。

この作品はフィクションではあるものの、似たり寄ったりの現実は確かに存在する。
いつか、こんな地獄のような世界が地上から消えますように。

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kinako-cat

4.5家畜の餌以下の命の哀れ

2020年9月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

この映画は世界一豊かな食糧大国オーストラリアの制作陣によるもの。東南アジアの漁業は約20万人の奴隷労働者に支えられている事実を発信する目的に制作されたと思われる。
カンボジアの貧農の次男が主人公。長男ばかりが依怙贔屓される毎日に嫌気がさし、自立の方法を模索するなかで、友達からタイへの密入国を手引きする闇ルートがあることを知らされる。家出してタイで一旗あげて、親たちを見返してやろうと、夜明前にブローカーのワンボックスに乗り込む。地獄の沙汰も金次第で、国境で満足な金が払えないと人身売買ルートに廻され、漁船での過酷な奴隷労働を強いられる。主人公とともに銃をもつ船長たちに一度は抵抗した女房子供持ちの男の最後は下半身と上半身ににロープをかけられ、船を走らせるとロープが締まり、胴体を絞められて殺されるというまるで古代中国の処刑のよう。主人公は船長に船のアクセルを握らされ、処刑執行人にさせられる。もし、歯向かったらお前もこうなるんだぞと、脅しでコントロールするのだ。底引き網にかかる魚は白く変色した小魚やシャコみたいなものばかり。それをドラム缶に詰める。冷凍設備もない木造船。家畜のエサの原料にしかならない。たまに、人間が食べられる大物(サバ、タイなど)が混じっていると、船長に持って行ってご機嫌をとる少年の精一杯のサバイバル術が哀れで仕方ない。船長はいう「大人より素直な子供のほうがいいな。」それを見ているベトナムからの奴隷労働者に恨まれる。奴隷どうしのリンチもある。底引き網には人間の骨も引っ掛かる。拳銃を持っているのは船長だけ。船長の仲間は二人。

 終始、主役の少年の眼差しがよかった。

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カールⅢ世

4.0この話はフィクションだけど現実なんだろうな。

2020年9月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本作最後のクレジットで伝えられる現実に驚愕し、
この映画で描かれた世界は現実であり、今も多くの
人間が辛い状況なんだろうと思います。

本作で描かれる雇われる側の人間の生活は
想像を絶します。えぐいです。
人間がどんどん壊れていきます・・・。
本当なのか?と・・・しかし、きっと本当。
でも、それで回っている世界があるということが
悲しくて切ない。

せめてもの救いは主人公の人間としての強さ。
彼のこれからの明るい未来を願わずにいられない。
それは同じ境遇の多くの人たちに対しても同じく。

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バリカタ

4.5家族と暮らす「青い家」が1番なんだ 一緒にいることが幸せなのだ。  彼の涙がそう語った。

2020年8月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

映画の最初からラストに向かって、どんどんと青年が成長し、顔つきが変わっていく演出は見事だ。
撮影期間を必要以上に永くとったのだろうか?

いかにも”居そうな船長”の存在感と演技は人間味があり、実にうまい。
それ以外の演者の演技も申し分なく、監督の演出の素晴らしさが光っていた。
バストショットが多い撮影もTVドキュメンタリー感がでており、迫力と臨場感があった。
ただ、タイ外洋の設定に沿った”抜けるような海原”のカットが幾つか欲しかった。
これはカメラマンが気を利かせて、保険的に撮っておくべきだろう。
また、ストーリー的にもリアルさの意味でも、
船長たちが少年に、もう少し操舵を教えた方が良かったと思う。

女の子は売春婦へ、男の子は奴隷となって、ブローカー達に転売され続け、命の重みはない。
半世紀以上前なら判るが、2000年を過ぎた今日ても、
このような極悪環境で生きている人が、いる事がとてもショックだ。

東南アジア全域にわたる貧富の差という「社会構造」が悪いのだが、
1番悪いのは教育を受けたいない貧困層は自分の手で、貧困さを解決しようとせず
産まれた環境に流されることを”良し”としている事なのだろう。
こんな事を何代繰り返していても、何も変わらない。
しかしそれを自力だけで打破しようとした主人公の行動は建設的で素晴らしい。
また働かされる場所でも、
適応能力があり、辛抱強く、意志の強さも備え”生きる力”は十分だ。

少年が家に帰った後をもう少し、観たい気もするが、
「あと、もうちょっと」のところで終える脚本はすばらしく
最後に少年の流した涙は”何が正解”か、僕たちに答えを教えてくれたような気がした。

現代版「青い鳥」が僕らに教えてくれた事は
運命に逆らわず、不満をもたず、1日1日を精いっぱい生きることが本当の幸せなのだと
そして明日
少年はまた殺虫剤を撒くだろう。

この映画を観たら、昔の映画だが、
本映画とは違った「太陽がいっぱい」を観て、主人公を比べたくなった。

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YAS!

4.0シンプルかつ美しく描かれている

2020年8月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悪徳ブローカーによって、闇漁船で強制労働させられる少年の話。

社会派作品だが、凄くシンプルだし、
ラストの少年の表情はとても美しい。

少年が生き残るにはああするしかなかったのだが、
もはやあの現実ではそれを咎める事はできない。
いや、むしろ結構すっきりだった。

この映画の最大の良さは少年視点のカメラワークだと思う。
海上での風景や少年の表情の映し方などが秀逸。

良作であった。

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じーたら

3.5いくつもの眼差し

2020年8月20日
PCから投稿

泣ける

貧困家庭に生まれ、学校にも行けず父親から働かされている14歳の少年チャクラが、自分で稼ぐため家を出ていくことから巻き起こる物語。

聞いていた話とは違い、漁船に乗せられたチャクラ達。そこで、暴力的な船長達から奴隷として扱われ、歯向かうものはそれこそ魚のエサのように海に捨てられる。
当然給与などもらえるわけもなく、来る日も来る日も狭い船上で重労働を強いられるチャクラ達。。

目覆いたくなるような描写の連続だが、その中で逞しく生きるチャクラの姿。
彼の決意が行動となって表れた時の眼差しは、とても14歳には思えない。

映画としては、粗ずっと狭い漁船の中での出来事を延々と観ているのにも関わらず、全く飽きることがないし、悪役の役者さん、何より主人公のひとつひとつの表情づくりがとても素晴らしかった。

船上とは違い、荷台のシーンで人の優しさに触れた時のチャクラは、まごうことなき14歳の男の子の顔をしていた。
ラストシーンも特筆モノ。

実際に、このような環境下にいる人が世界には大勢いるということに改めて気づかされるとともに、平和な境遇にいられることに感謝する作品だった。
もっとたくさんの劇場で公開されてほしい。

そして関係ないけど、主人公の役者さん、誰かに似ているなと思ったら、元K-1並びにS‐cup王者のブアカーオによく似ていると思った。

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MAR

3.5過酷さ…

2020年8月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

目を覆いたくなる過酷さ

家から出て初めてわかる有り難さ

大きくなって流す涙

もう戻らないで
自分の道を歩いていくのかな?

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H1DE!

4.0眼差しの向こうに希望は見えるのか?

2020年8月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

最後のエンドロール前に流れるテロップに衝撃を受けた。
経済を回す為の必要悪のつもりで国は傍観しているだけなのだろうか?
全体が豊かになるために切り捨てていい部分に本件はあたるのだろうか?
どこの国にも日の当たる部分と日の当たらない恥部はあるのだが、家族の顔をまともに見ることも叶わないような諸行に駆り立てられた主人公の気持ちをおもんばかると
何ともやりきれない。

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ちゆう

3.5不法な労働環境から脱するために

2020年8月8日
iPhoneアプリから投稿

東南アジアやアフリカでの不法な強制労働とそれに伴う悲劇がいまだに後を絶たない。

2013年4月にバングラデシュの首都ダッカ近郊で発生した「ラナ・プラザ崩落事故」は、著名な大手アパレルの下請けの過酷な実態が明らかになった有名な事件だ。

全世界で約1億7千万人の子どもたちが働かざるをえない状況にあり、今でも人身売買が当たり前の国もある。

私たちが日頃手にする商品は、新興国の過酷な労働環境下で生産・加工されているものも多い。前述の衣料だけでなく、水産加工物やコーヒー豆、カカオなど普段口にする食品も多い。

日本を含めた先進国が恩恵を受ける低価格の構造は、裏を返すと生産プロセスの歪みに直結し、この映画の悲劇は私たちと関係のない話ではない。

以前は「途上国」だった日本でも同じような問題は存在した。小林多喜二著の「蟹工船」は著名な作品。増山実著の「波の上のキネマ」においても戦前の西表炭鉱での島抜けできない過酷な労働環境の実態が描かれている(※映画愛に溢れた小説。映画好きの方は是非ご一読を)。

唯一絶対の解はないかもしれないが、ただ私たちは傍観者でいることはできない。よその国の話だと目を背けることなく、間接的な「加害者」であることを忘れない。フェアートレード認証の商品を購入にしたりと、少しでも個人でできることからはじめていく。そう思い行動に移すだけでも、この映画のメッセージの価値はある。

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atsushi

3.5独り立ち

2020年8月8日
Androidアプリから投稿

悲しい

興奮

知的

カンボジアの貧しい田舎で家族と暮らす14歳の少年が家を出て揉まれる話。

学校にも行けず親の言いなりで働かされ続けていることに不満を抱き、知人の紹介でタイに密入国をして働こうと決意して巻き起こっていくストーリー。

家族の関係が深くは描かれてはいないけれど、自身のことだけを考えたら、自活した方が確かに生活は良くなりそうだし、昔の日本もそうだけど、未だに長男は偉いという風潮があるのも決意した一因かも。

裏の世界は勿論、世間という程のものも知らない14歳が漁船に売られて奴隷労働させられて、働かないヤツや逃げ出そうとしたヤツは見せしめの様にあっさり始末されという状況を目の当たりにしていく。

抜け出す索を探すのか、這い上がるのか諦めるのかがなかなか見えてこず、嫌~な空気が漂う中でみせる主人公の目つきが期待を膨らませるし、そこからの主人公の行動はしっくりくるし、最後の選択も力強くて自分の好みだった。

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Bacchus