「【”生涯、君と共に・・” 唸りを上げる戦車砲弾、ソ連戦車VSドイツ戦車&ニコライ・イヴシュキン戦車長VSイェーガー大佐再び。アドレナリン大噴出のロシア製エンタメ作品、深みを増して再々降誕。】」T-34 レジェンド・オブ・ウォー 最強ディレクターズ・カット版 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”生涯、君と共に・・” 唸りを上げる戦車砲弾、ソ連戦車VSドイツ戦車&ニコライ・イヴシュキン戦車長VSイェーガー大佐再び。アドレナリン大噴出のロシア製エンタメ作品、深みを増して再々降誕。】
ー名作の「ディレクターズカット版」は時に、冗長になり過ぎて、作品の面白みを減退させることがあるが、この傑作ロシア製戦車映画に関しては、全くの杞憂であった。-
■昨年から
<「オリジナル版」 2019年10月31日鑑賞 余り期待しないで劇場に足を運び、余りの面白さに度肝を抜かれ・・。 上映時間:113M
-”抜かれるなら、度肝だよね・・”- >
<「ダイナミック完全版」 2020年2月15日鑑賞 今作の面白さに、厚みが加わったことを体験し・・。 上映時間:139M>
<2020年8月4日 「最強ディレクターズ・カット版」を鑑賞 「ダイナミック完全版」に52分、更に何が追加されたのか確認したくて鑑賞 上映時間:191M>
■今作、「最強ディレクターズ・カット版」がこの素晴らしき作品に更に”深み”を加えたのは
1.ステパンとヴォルチョクとイオノフを1944年、収容所でイヴシュキンが戦車兵として選び出す場面。
-前作までは、彼ら3人とイヴシュキン収容所内での場面が丸々カットされていたため、分からない部分があったが、今回観て腑に落ちた。
特に1941年、ともにイェーガーと戦ったステパンは、イヴシュキンがナチスドイツに協力していると思い、怒りに満ちた目でイヴシュキンを睨みつけ、ヴォルチョクは唾を吐いたのだ。イオノフは、信心深さを買ったのだろうと、勝手に解釈。
イヴシュキンも事前に捕虜の中の戦車兵の資料をイェーガーから渡されていたが、”この目で見てから決める”と言ったのは、彼らの闘争心を確かめたかったのだろう。選ばれなかった戦車兵は、イヴシュキンから目を逸らすか、項垂れていた・・。
2.ニコライ・イヴシュキンとイェーガー大佐とアーニャの関係性が、場面追加によりより鮮明になった点
-イェーガー大佐が、そしてニコライ・イヴシュキンが、それぞれ、アーニャに対する思いを口にする場面。前作までは、アーニャが地図を盗んだ後、大佐のベッドに寝ていた理由を”自己犠牲”と思っていた・・。
3.イヴシュキンがT-34-85で逃走中、ドイツ人たちに、”ドイツ語で”、”これが、文化だ!”と銅像を指差し、”君たちは、子孫に何を残すのか!”と戦車上から話すシーン。そして、ナチスの残虐行為が流されるシーン。
-とても、沁みた場面である。-
4.ニコライ・イヴシュキンとイェーガー大佐の一騎打ちの後の、お互い手を差し伸べ、固い握手をするシーン。
-前作から薄々思っていたのだが、二人の”ニコラウス” ”ニコライ””クラウス” は1941年の闘いから、お互いの力量を認め、ライバルとして相手の存在を捉えており、それがあの握手のシーンになったと思う。イェーガー大佐があのまま手を離さなければイヴシュキンも彼と共に落下したはずだが、イェーガー大佐は自分から手を緩めている。
イェーガー大佐は強烈な悪役ではあるが、潔い軍人であり、漢である。ー
<このロシアの戦争戦車作品は、この連続3作で、”面白きエンターテインメント戦車映画”から昇華して、”傑作”であったという事が分かった。
レイトショーで一人静かに鑑賞し、大満足で家路についた。>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ー下記、オリジナル版、ダイナミック完全版のレビュー。ー
ー下記の途中までは2019年10月31日 の鑑賞レビューである。オリジナル版を観た方は飛ばして下さい。ダイナミック完全版レビューはその下に記載。ー
<1941年 独ソ戦 Ⅲ号戦車 VS T-34-76>
イェーガー率いるⅢ号戦車団にたった一騎のT-34-76で挑むイヴシュキン戦車長達。彼の的確な指示により次々にⅢ号戦車団を撃破する・・。
冒頭のこのシーンで、”この作品は間違いなく面白い”と確信。
唸りを上げる戦車砲弾、鋼鉄の戦車でも弾が掠るだけで物凄い衝撃が戦車兵を襲う。
砲弾の飛んでくる様の映像が素晴らしい。ストップモーション技法も駆使して戦車戦の迫力を観る側に伝えてくる。
<1944年 独ソ戦 ハンター戦車 VS T-34-85>
捕虜になっているイヴシュキンを偶然見つけた因縁の相手イェーガーはある提案を”死にたがり”イヴシュキンに突きつける。
ここからは、一気呵成にラストまで突っ走る。
独逸の通訳になっている捕虜、アーニャとイヴシュキンとの恋愛も絡ませながら、自由を求めて疾走するT-34-85。戦車兵たちのキャラクター(特にヴォルチョク)が良い。
イェーガーに代表されるナチスドイツはきっちり悪役で描かれ、(でも人間性もきちんと描かれている)ロシアで大ヒットした理由は良く分かる。
が、ロシア人でなくても充分に見応えのある戦車戦をメインにしたロシア製エンタメ作品。
見事な作品である。
-----------------------------------------------------------------------
2020年2月12日 追記
今週末、今作に26分プラスしたダイナミック完全版が公開される。
【重震タンクMix 上映】などと、摩訶不思議なタイトルが被せられている・・。楽しみである。(重低音と振動が凄い劇場なのである・・)
週末は、”1917 命をかけた伝令”と今作と”ドカドカ”映画を満喫しよう・・。
------------------------------------------------------------------------
<2020年2月15日 ダイナミック完全版 鑑賞>
通常版から26分追加したバージョンを鑑賞。矢張り、面白い。
先回、鑑賞時に気付かなかった部分のみ追記。
但し、26分どこが追加されたかは、各自確認したほうが面白みが増すと思うので割愛する(物語に大きな影響はないが、登場人物の深みが出たと思われるシーンが幾つかある・・。)
が、一つだけ・・・
エンドロールに草原で再開した彼らのその後の幸せそうな姿が挿入されている。(個人的には、お腹の大きくなったアーニャがニコライの母と抱き合うシーンが沁みたなあ、勿論ニコライとお母さんの抱擁シーンも・・・。)
・まず、イェーガー大佐の印象が少し変わった。
”イヴシュキンのニコライと自分のファーストネームを掛け合わせて”ニコラウス”と呼び合おうとする場面、後半のクライマックスで効いてくる。
そして、ドイツ軍大佐としての矜持をしっかり持っている男だと分かるシーンも再確認。
あの橋梁上でのT-34-85とハンターとの一騎打ちのあとの、イヴシュキンとイェーガー大佐が対峙するシーンはグッときたよな・・。”
・エンドロールで流れる言葉
”独ソ戦で戦った”全ての”戦車兵たちに捧ぐ”
ここは、初回鑑賞の際、不覚にも余り気にも留めずに読み流した。が、確かに、今作はドイツ兵を”悪逆非道”的な描き方を余りしていない。
そして、ここが今作制作陣の想いと今作の鑑賞後の”爽やかさ”が増している部分だと気づく。
■蛇足 ”パンフレット”について
オリジナルバージョンと違うのかな、と思い店員の方に発行日を確認していただき、装丁も違うと分かり購入。
内容は、オリジナル版+”ニコラウス”の二人のキャストインタビュー及び鑑賞ポイント解説が追加され、映像写真も追加。
購入するかの判断はお任せします。
<矢張り、素晴らしい作品は再鑑賞すると面白さに”厚みが増す”事を確認でき、大満足で劇場を後にした。>
NOBU さん、私が購入したパンフレットもダイナミック完全版でした。個人的には前の時に買ってなかったのでちょうど良かったのですが。
おそらくディレクターズ・カット版はパンフレットないのではないでしょうか?
NOBU さん、抜かれるなら度肝ですよね!
今回のディレクターズカット版でキャラクターに深みが増して、益々好きになりました。
ただパンフレットがちょっと薄かったのが残念😣インタビューとか戦車の解説は面白かったんですけどね。
NOBUさんはじめまして。すばらしいレビューですね!本当にこの作品の追加箇所は自分で探すのがいいですね。この作品だけでも楽しめますが過去作品を見た方のが楽しめます。機会があればもう一度見たいと思いました。