スパイの妻 劇場版のレビュー・感想・評価
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なんとなくみたけど…。
とてもよかった。残酷さもちゃんと描かれていて、時代背景もわかりやすかった。
荒波に揉まれどんどん表情が変わっていく聡子を、見事に演じた蒼井優の凄さがわかる作品だった。
黒沢清監督作品は初めて観たけど、光のあて方や見せ方が絶妙。まるで当時の映画を観ているようだった。
まだ観ていない方は、必見です。
蒼井優の「お見事!」演技なければクソ映画
2013年公開の「リアル 完全なる首長竜の日」というチョークソ映画を見たのを最後に、黒澤清作品は見ていないし、この映画もクソ映画だと思っていた。
しかし、海外で大きな賞も取り、自分の好きな戦中が題材になっているので、ムビチケを購入したうえで映画館へ。土曜日の午後、東京・城東地区の映画見巧者が集まる劇場は中高年を中心にそこそこの客入りだった。
戦中の軍人、とりわけ憲兵が出てくるというのに、アタマ(頭髪)は丸刈りでないし、顔つき、体つき、所作…どれを見ても、当時を再現していない。
高橋一生と蒼井優の浮世離れした夫婦の在り方もおかしい。
蒼井の子供っぽい声、顔、体つき…どれも、この芝居にマッチしないなー、と思いながら見ていた。
しかし、この映画のキモの部分でもある、主役が「反戦」のために取る行動、そのトリックを見て、妙な気持ちがストンと消え、ヒロインともども、「お見事!」と小声で、ささやきたくなる内容だった。
その意味では、戦中の日本の姿をリアルに描くこともなく、731部隊の所業と思しきあれこれなどの題材も、このファンタジー作品を作るための材料にしかなかったのである。
本来なら★2つのクソ映画だが、蒼井の演技に免じて、鑑賞をお勧めしたい、★4つにランクアップしておいてやる。
自虐ネタで賞を貰うのもどうかと思いますよ!❓
結局彼は何者だったのか?
満州から帰国した夫の態度が以前と急変し、真相を知ろうとする妻。
日本のとある行為を告発すべくアメリカに渡り、戦争を煽り日本を敗戦させ戦争を終わらせる?
そんな行為にでる夫。
昭和の品の良い妻を演じる蒼井優は、その昔見た映画(ゆりあんレトリーバーのよくやる古い昭和の映画にでてくる女優の真似のやつ)みたいな話し方をずっとする。
【以下、完全ネタバレ。注意】
アメリカに2人、別れて乗り込もうとするが、オイラは妻はアメリカに着くも夫はいつまでも来ない。となるかと思っていた。がそうではなく
妻側は密告者により事前に確保された。
裏切り者だったのか?愛妻家だったのか?
東出の爪剥がしの拷問が痛々しかった
どっしりとした骨太な邦画として嬉しい作品です。
なかなか骨太な感じの作品で、蒼井優、高橋一生が共演とすると聞き、同じく2人が共演した「ロマンスドール」が凄く面白かったので、結構期待して観賞しました。
ちなみにドラマ版は未観賞。
で、感想はと言うと、観応えアリの重厚で骨太な作品です。
開戦間近の日本が満州で秘密裏に行っていた細菌兵器の研究を偶然に知ってしまった若き貿易商とその妻の物語で、日本が行っていた所業の顛末を世に知らしめようとする為にアメリカに密航しようとストーリーは終始緊迫感が漂う、どっしりとした作品。
ロマンスドールでは何処か頼りなさ気でも妻を純粋に愛する主人公を演じた高橋一生さんが今作では成功した若き貿易商の優作を演じてますが、落ち着いた雰囲気に加え頼れる大人の男の雰囲気を醸し出しているのは様々な作品でいろんな役柄を演じてきた賜物。緩急の付いた演技は観ていても安心感があります。
でも、蒼井優さんの醸し出す雰囲気はそれよりも一枚も二枚も上手。
昭和初期の恵まれた令嬢婦人を演じられてますがもうピッタリ。蒼井優さんの話し方も何処か令嬢っぽいし、品の在る演技と存在感は個人的にはピカイチかなと思います。
…この人があの「南海キャンディーズ」の山ちゃんの嫁か…と思うと、未だになんか納得が出来ませんw
観応えある作品ですが、個人的な難点を言えば、スパイの容疑を掛けられた夫を救うため、坂東龍汰さん演じる甥の文雄に罪を全て被せ、夫の行動を「売国奴」の所業と言いきった筈の聡子が急に夫の行動を支持する様になった部分の描き方が薄いと言うか、解り難い。
聡子が夫の優作の考えを急に理解する所が丹念に描かれていない為、聡子はなにか企んでいるのでは?と終始勘繰ってしまった。
そんなドキドキにクライマックスはいろんな結末を考え、その中の選択肢で「こういうラストもあるかも…」となんとなく思っていても、それを目にするとやっぱりビックリ。
だけど、その結末で言うと些かタイトルと噛み合ってない感じがしなくもないんですよね。
タイトルの意味を深読みするといろんな事を思い巡らせたんですが、意外とあっさりな感じがしなくもないんですよね。
聡子の軍部で優作の真意を知った時の「お見事!」はちょっと演劇チック。
舞台で観ると栄える台詞なのかもなんですが、映画として観た時に聞くと少し違和感が無い訳でも無いんですよね。
その後、気の触れた患者として入院している聡子の没落を観ると「ふりをしているだけ」と分かっても何処かやりきれない虚しさを感じます。
同時に優作の聡子への愛は果たして本当だったのか?と考えます。
自身の信じる正義を貫く為、聡子を裏切り、同時に売ってしまう。軍に聡子に思いを寄せる泰治が居るとしても、聡子の安全は完全では無い。
ドラマ版を見ているとその辺りの説明も補完されているのかもなんですが、映画を観ている限りでは、聡子する裏切ってしまう優作の愛情は何処にあったのだろうか?と言うのが些か難しいと言うか解り難い。
最初から国にも聡子にも愛情が無かったと言う風に解釈すれば良いのかもなんですが、優作が終始、謎の人物に映ります。
でも、これぐらいのミステリアスの方が個人的には良いかな。
黒沢清監督はいろんな作品を撮ってて、結構好きな作品もありますが、個人的に「クリーピー 偽りの隣人」の前科があるのですがw、この作品は十分に楽しめました♪
日本の戦前に行った様々な所業の数々はいろんな形で明らかになっていますが、劇中で描かれた細菌兵器の研究は満州で実際あった「731部隊」の事を指しているかと思います。
日本が過去に行った行為を今更悔い改めよとは言いませんが、国の行いを憂うが為に裏切り行為を行った者。そしてその犠牲になった人。国を正義を信じた為に盲目に人を裁いた者。
それぞれが悲劇的であった事は間違いなく、その犠牲の上で成り立っている今日である事は間違いないかと思います。
そんな事を改めてではありますが、じっくりと魅せてくれる作品です。
久々に骨太の邦画作品がなんか嬉しい。
未観賞の方でご興味がありましたら是非是非♪
申し分ないのだが
申し分ないけど。アメリカに自由を求める様に描かれていて。そのアメリカが原爆を落とすというカタルシスを個人的は描いて欲しかった。
最後蒼井優が海辺で狂気をさらした事が本当に狂った。でそれが描かれたと思いたい。
しかし戦後すぐ渡米する。化学兵器を使った国に憤りは無かったのか?腑に落ちない。
脚本も演技も演出も良かった
まさに「お見事!!」
話は割と単純と言えば単純な映画。
戦前の満洲で、日本軍の石井(731)部隊の人体実験を目撃した人が、周囲の人に影響を与えていく。黒沢清監督にしては珍しい、史実を元にした映画だ。
俳優さんの演技は素晴らしかった。
特に蒼井優。
神戸のお嬢様をめちゃうまく演じていた。
話の中盤で価値観がガラッと変わった後も、いきなりキャラクターの雰囲気を変えている。あれが出来るのはまさに「女優」だからこそ。一般人であんなに人格が変わると逆に怖く感じる。
憲兵隊長であるお酒馴染みの「けんじ」のルサンチマンも良かった。
蒼井優演じる聡子に恋心を抱いている、という設定だが、たしかに相手はお嬢様で、彼は普通の(・・あるいは貧しい?)家の出身だろう。恋心だけでなく、階級に対する恨みもあったはず。その辺がふんわりと感じられた。
これは恋愛映画ではない。
最後、聡子の夫、優作の取った行動は、「愛」よりも上位の価値観(正義)が存在する、人はその価値観をより大事だと考えることを示している。宗教を考えればすぐ理解できる。聡子が心変わりしたのも「愛」が理由ではないし。個人的には当たり前のことだとは思うが、恋愛至上主義みたいな気持ち悪い風潮が日本には漂ってるので、良い反証になるのでは?と映画観ながら感じた。
最後のどんでん返し含めて、ほんとに「お見事」と言える映画でした。
夫はスパイか?1市民なのか?妻の選択は
戦前のハイソサエティな上流家庭の暮らしぶりが映像化されている。古い洋館に戦前の香り。スパイではないが、義侠心から、満州での日本関東軍による捕虜の人体実験をフィルムに収め公開しようとする夫の貿易家。あくまでも夫を信じながらも浮気の恨みから、同期の軍人にその秘密を話してしまう妻聡子。互いが愛しながらも、心の底で疑いを持つ夫婦同志。夫と地獄におちても一緒にいたい妻聡子だが、夫にまんまといっぱい食わされ、軍事機密の証拠フィルムを恋愛フェイルムに交換されて、戦犯疑惑が無実になる。だが、事実を知って、渡米できず、日本に残った妻の行く先は精神病院。夫に裏切られて悲しくてやりきれず、笑いが止まらないからだ。この国(日本)では、わたくしが、狂っていないことが狂っていることなのです。戦時中の病院での聡子の言葉は重い。まるで横山大観の絵画のように雨あられとふりそそぐ焼夷弾が、幻想的に崩れ落ちる建物とともに美しく抽象的に描かれた。遠藤周作氏の海と毒薬を彷彿させる、生きた捕虜の人体実験、731部隊の細菌実験、おぞましい戦争の傷が、スクリーンごしにモノクロ映像で写されると、この映画のもうひとつの顔が見えるようだ。
精神を崩壊させながらもスパイの夫を愛してやまない女の可愛さがたっぷり堪能できる。賢い妻の聡子と夫高橋一生演じるスパイのだましあいも見どころ。重いテーマを扱いながらも絵画的な光と影の美しさにくぎ付けになった。
《表と裏 そして狂気》
狂ってる?狂ってない?
考察なんて出来ません。馬鹿なりの浅い感想です。
序盤で「(金庫の)番号は覚えましたっ」と言っていた妻の前で、妻から奪い返した大切な切り札をその金庫に仕舞った辺りから旦那様の策略は始まってたのかしら?と勘繰ってしまいました。旦那様の釣りじゃない…?
草壁ヒロコを殺害した犯人もあっさり過ぎて勘繰っちゃう。濡れ衣じゃない…?奥様を泳がそうとした憲兵の濡れ衣じゃない…??
奥様が、旦那様と協力するようになった時、(憲兵側について、旦那様を陥れようとしてるのかしら)とも思いましたがそんなことはなかった。
最後のテロップで、「で、この夫婦は結局誰が誰を騙したんや…?」と思ってしまいました。
私には早い映画でした。
陰影の表現は素敵でした。東出昌大の目に光のない役どころは案外合うな…とも思いました。
痛い正義感
じわじわと考えさせられる
題名からスパイサスペンスかと思わされましたが、どちらかというと、妻の心理を追う人間ドラマのようでした。
昭和初期、戦争時代の風景が淡々と描かれますが、やはり不穏な空気を醸し出している映像がよいです。
聡子役の蒼井優の演技も素晴らしく、佇まいや口調は時代を感じさせながらも自然で、天真爛漫で凛とした様子は印象深いです。この聡子の変貌振りが、サスペンスというかミステリーというか、見応えがあります。
夫・優作役の高橋一生も、本心が分からないミステリアスな雰囲気で、仲睦まじい夫婦のやり取りにも妙な緊迫感があります。
憲兵・泰治役の東出昌大は、相変わらず不気味な気持ち悪さ(褒め言葉)が漂い、期待通りで良かったです。
クライマックスの、聡子が捕まり証拠のフイルムを憲兵達が見るという場面。
なぜか無言でスーツ姿の人々が集まりテキパキと上映の段取りをするというシュール過ぎる描写は笑えましたが、並行して聡子の異様な迫力も伝わってくるという、不思議なインパクトのある場面でした。
正直、クライマックスのあたりからは、やっぱり裏切られて悲劇のヒロインで終わりか、と思っていました。
しかし、ラストの字幕で、実はこれは聡子も了解済の計画どおり?計画までとまではいかないが聡子はこうなることは覚悟の上?、と、後からじわじわと考えさせられました。
ラストの慟哭は、裏切られた悲しさかと思っていましたが、共犯者の罪悪感なのか?と。
あんまり賢く無さげな妻にイラッとしたけど、夫が好きでたまらない、何...
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