「冬の花火はきれい」名も無き世界のエンドロール フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
冬の花火はきれい
幼馴染二人の立身出世物語
ラスト20分の真実とはなんだったのか
多分、大半の観客は落ちが予想できるストーリーなのになぜ作品のあおりに使ってしまったのだろう。
劇中でドッキリを仕掛けまくるので、最後は観客に対してのドッキリを期待していたのに肩透かしを食らった感じ。
え?これが真実?あまりにストレートなので最後までドッキリ(どんでん返し)があるのかなと思ってたのに。
主演二人は流石に映画なれしてるし魅力たっぷりでいい感じでした。
中村アンの高飛車自己中っぷりもいい
柄本明のアウトサイダー感もいい、この方はホントに何でもできますね。
メインヒロイン山田安奈は・・・画的にも演技的にも主演二人と失礼ながら釣り合っているとは言えなかった。
運命に身を任せることが必ずしもハッピーエンドとは限らないのだと思える作品でした。
真剣裕の資金調達とか、事件をもみ消すために学校や自動車修理工場を消し去るのに意味が有ったのか、警察の無能っぷりなど、ちょいちょい引っかかる点があり、物語にリアリティが感じられなかったので残念。
「押しボタン式信号のボタンを押さなきゃボタンが可哀そうだよ」ってセリフが2回くらい出てくるのだが、そうなると爆弾も爆発しなきゃ可哀そうだよな、人の生死に関わらず。
「さびしいんじゃなくて、さみしいなの!」
すみません国語の時間にその違いを習わなかったのですが・・・
「これは復讐じゃない、あの二人に恨みはない」
いやこれ復讐でしょどう考えても。
納得できないよ。そしてそんな奴に爆弾渡すなよ。
まさか本気じゃないよな?とか思ってたのか?幼馴染の親友の行動を予測できなかったとは思えないのだが。
などなど、見ている間ずっとくだらない上げ足を取りたくなる意地悪な自分がいました。
そんな考えを巡らす程度に隙間のあいた映画だった様に思います。
隙間だらけでしたが話の展開が早いし、回想などを挟んだりしつつ観客をミスリードに導く(成功したかは別)のはよかった。
作品のテーマの一つに「忘れ去られるのは怖い」があると思う。
ヒロインが一番恐怖しているのが忘れられることだから。でもそれだったら男二人とつるんでないでもっと友好の輪を広げようよ、存在感と忘れ去られない努力を見せてほしかった。
それでも理不尽に記憶から消されていく過程が有ればもっと同情できたかも知れない。
同時期に上映された「ヤクザと家族」「花束みたいな恋をした」「名も無き世界のエンドロール」には共通している部分があります。
「ヤクザと家族」は家族に構築のラブストーリー
「花束みたいな~」家族構築手前のラブストーリー
「名も無き~」家族崩壊ラブストーリー
思い出、記憶についてそして愛と家族が共通してます。
本作が一番家族と愛要素が薄かった、そして内容も薄かった。
余談ですが、押しボタン式信号が「花束みたいな~」と「名も無き~」でかぶったのにはシンクロニシティを感じましたね。
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劇中セリフより
「住む世界が違うんじゃない、世界が分かれてるだけだ」
住んでる世界は一緒、車、船、飛行機、パスポートが有ればどこへだって行ける。手段と目的があればどこにでも行ける。
行動に移す意思の強さを身に着けたいものです。