「本当に狂っていたのは誰だ」狂武蔵 MAKOさんの映画レビュー(感想・評価)
本当に狂っていたのは誰だ
本来なら新宿武蔵野館位でしか上映されない作品だったと思うが、(「RE:BORN」がそうだった)この状況下のためだろう。イオンシネマで上映されていてびっくり。
言われがちな言葉だが、コロナも悪い事ばかりじゃない。
殺陣は本来手順を決め、動きを考え、どう撮るかを考えて、練り上げながら創るものだ。無論坂口拓はそんな事は百も承知でこの無謀な企画に挑んだのだろう。何が彼をそこ迄駆り立てたのか、当人以外知る由もない。
やはり彼が1番狂っていたのか?
正直そんな勢いだけで作られた映画、もっとグダグダになっているだろうと思っていたが、以外と観られる作品になっていたのに驚いた。これは効果音と付け加えられたCGの血糊と、やはり劇伴に依る処がかなり大きいと思う。ちょっとサントラ欲しいなと思うくらい。
しかし77分延々と刀を打合せる音と斬られる音を入れ続けた音響監督は、それこそ頭がおかしくなる思いだったはず。
音響監督の柴崎憲治氏はアニメ、ゲーム、ドラマ、勿論数々の実写映画とほとんどこの人1人でこの国の作品全て担当していると云って過言ではない音効界の大大御所だが、流石にこんな映画は初めてだったであろう。やはり気が狂う思いをしたはずだ。
音楽はカワイヒデヒロなる人で、これ迄の作品は知らないのだが、実に格好いい劇伴を付けてくれている。この人のお陰で77分保ったと云っても言い過ぎでは無い。映画の半分以上は音楽で出来ていると言ったのは押井守監督だったか。実際この映画のゼロ号試写なんて観れた物ではなかったろう。この人のこの作品への功績はかなり大きい。
カワイヒデヒロ音楽監督。覚えておこうと思う。
撮影監督の長野泰隆氏は「いかレスラー」とか「かにゴールキーパー」とかB級作品の多い人だが(笑)、何しろあの「HIGH&LOW」シリーズの撮影監督だ。
CG編集無しであのアクションシーンの長回しを撮れる手腕はこの映画で培われたのではないだろうか。主人公のアップ越しのハレーションなんて、きっとこの監督のアドリブのはず。雨降らしのシーンで乾いた地面がチラッと写ったからどうだというのだ。
77分間、たとえデジタルとはいえカメラを構え続けるのは、それこそ気が狂う思いだったはずだ。
そして9年の間に散り散りになった権利を買い纏めた太田誉志プロデューサーも、死に物狂いで東奔西走したはずだ。
狂人達が作った狂った映画、それがこの「狂武蔵」の正体だ。後にも先にもこんな映画は二度と作られないだろう。
とはいえ、しっかりと殺陣を練り上げ予算を掛けた謂わば「狂武蔵・完全版」を観てみたいと思うのは自分だけでは無いはず。
だが坂口拓氏の頭の中にはちゃんと次の時代劇の構想が有るようだ。ファンならばそれを気長に待つしかないだろう。
先ずはせっかく大スクリーンで観られる機会を得た本作。劇場で観ずしてどうする。
DVD出たら買うけどね。
おまけ
やっぱり坂口拓カッコイイ。てかハンサム。美男子。美青年?
頼むからもう少し痩せてくれ!(笑)
イングロリアス・バスターズにコメントありがとうございます。レビュやコメント書いて下さる方、大体決まってくるもんなんですね。あと、あ、この人はこういう系の映画が好きなんだな、などわかるし教えて下さるのでとても楽しいです。
MAKOさん、ビンボンにコメントありがとうございます!いい映画に出会うとその監督の作品を全部と言わずとも見ようと思ってしまうことが多いので!園子温もそうです!エスパーも前売り券まで買って楽しみにしてましたが、直前で見るの辞めました。主人公の男の子はいい役者さんですけどテーマが…。
MAKOさん、勢いボタンありがとうございます。「楽園の瑕」ですね。トニー・レオンもマギー・チャンも出ているんですね!ありがとうございます。探します!「地獄でなぜ悪い」の全身黄色タイツ…。あ、思い出した!映画バカ達の仲間になってしまった子ですね!気の毒にと思いながら見てました!今度は武蔵でやっこいい役でよかったですね。だから園子温がスタッフに入ってる訳ではないとしても、そっか~!
MAKOさん、コメントありがとうございます。あの映画の高評価はご祝儀です。私はもっとずっとクールです。ところで、坂口拓って誰?山崎なんとかって誰?というレベルなので、私が見ても豚に真珠の映画かな。
MAKOさん、おはようございます!「エビ ボクサー」大好きでした。行った映画館に水槽があってエビ居ました。変な映画館だなと思った記憶があります。音響がテーマの映画に行ってから狂武蔵も見てみようかな、と思います。