劇場公開日 2021年1月1日

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新感染半島 ファイナル・ステージ : 映画評論・批評

2020年12月22日更新

2021年1月1日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにてロードショー

鉄道パニックから、国家崩壊の黙示録映画へ。そして恐怖は激情に変わる。

新感染 ファイナル・エクスプレス」(16/以下:「新感染」)の続編と聞き「次はジャンボ旅客機で感染が蔓延するのか!?」と思った人は「デッド・フライト」(07)という既存作があるのでそちらを当たって欲しい。軽口はさておき、今回は前作から4年間を経た、パンデミックによって孤立した韓国の惨状が描かれ、映画は鉄道パニックを主体とするものから、国家崩壊の黙示録ものへとフェーズが移行している。なので新幹線に引っかけた邦題「新感染」が成立しないほど、シリーズは広義に拡張されている。

もちろん続編の流儀として「新感染」と接点を持たせた描写は少なくない。感染者が雪崩れのように襲撃してくるダイナミックな視覚表現や、連中以上に恐ろしい人間の本性を暴き出したりと、それらは前作と同じく顔を覗かせる。なにより前作も「新感染半島 ファイナル・ステージ」も、どちらも目標点に向かって高速車両が疾駆する「暴走アクション」という点で同譜を奏でている。その激速バトルのハイボルテージなさまは、観る者のアドレナリンを前作以上に爆上げしていくのだ。

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そう、今回の主人公ジョンソク(カン・ドンウォン)は、半島に遺された巨額金を陸送する元軍人で、身内を救えなかったことから自暴自棄となり、グレーな生き方をしている。映画はそんな彼が現地で生存者と遭遇し、やがて自身を苛み続けてきた“悔い”と向き合うことになるのだ。前作では仕事で家庭を顧みなかった主人公が、感染者との戦いを通じて娘との“絆”を強めていったように。

封鎖された都市が無法地帯と化し、主人公がそこに赴きミッションを遂行するという設定は、ジョン・カーペンターの名作「ニューヨーク1997」(81)を強く連想させる。しかし感染パニックを熱い人間ドラマへと換言していき、観る者の激情を高めていくスタイルは、こうしたダークスリラーや限定空間サスペンスというサブジャンルを越え、韓国映画らしい精神性が何ものにも増して主張を放っていく。

感染をめぐる避難者の排他的な扱いなど、フィクションを通じて見えてくるのは、まさに新型コロナウイルスがもたらす現実の様相。なのでエンタメと割り切りがつかない部分もあるが、観る者が最も高揚感を覚えるであろうシチュエーションで、あのジョージ・A・ロメロのクラシックホラー「ゾンビ」(78)を思わせるところ、ゾンビ映画としての本気と仁義が感じられ、涙腺の決壊を抑えられない。

尾崎一男

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