「酒飲みの言い訳が万国共通だと言うことが良く分かる一作。」アナザーラウンド yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
酒飲みの言い訳が万国共通だと言うことが良く分かる一作。
マッツ・ミケルセンが「全く華のない」中年男性を演じた本作。酒飲みの言い訳は洋の東西を問わず同じ、ということを実感させてくれます。
しがない中年教師達が、「血中アルコール濃度を0.05%に保つと仕事もプライベートもうまくいく」という(かなり都合の良い)論理にすがって、実験(単なる職場飲酒)してみよう、となるのだが…、というあらすじから大体想像が付くような展開に。
ジャンルとしては「コメディ」とのことで、確かに単なる飲酒を、まるで科学的検証であるかのように言い合っているところは笑えるんだけど、飲酒の歯止めのきかなさ、そしてそれによって崩壊していく人間関係…、といったところまで至ると、もはや笑っていられなくなります。とはいえ終盤までは、大きな起伏もなく、笑いといたたまれなさを織り交ぜた人間関係が丁寧に描かれていきます。
終盤、ある事件が物語に大きな波紋を作り出し、そこで描かれる人間模様は感動的な部分もあるんだけど、これまでの経緯を考えると、これを「いい話」にして良いのか…、と、この部分だけちょっとひっかかりました。
インテリアはもちろん、食事も「ザ・北欧風」で、をお伴に舌鼓を打つ様子を見ていると、作品のメッセージとはまるで逆に、一杯引っかけたくなります。論文執筆に使うワープロソフトも、黒バックに白文字のみ、というこちらもみごとなミニマリストデザイン。使ってみたい…。
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