Summer of 85のレビュー・感想・評価
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【1985年のひと夏の、”In Between Days"。美青年二人の出会いと別れを、情熱的且つ、衝動的に描いた作品。】
ー 冒頭、アレックス(フェリックス・ルフューブル:新星だそうである。)は、警察署らしきところで、沈痛な表情で、警官と座っている。
が、次のシーンでは、フランスの陽光が降り注ぐ海岸で、アレックスが友人のヨットで海に出て、くつろぐ姿が映し出される。
(『太陽がいっぱい』へのオマージュであろうか・・。)
急な嵐の中、救世主のように現れたダヴィデ像の様に端正な顔をしたダヴィド(バンジャマン・ポワザン:セルゲイ・ポルーニンに似ている・・。)は、的確な指示でアレックスを救出する。
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バックに大音量で流れるのは、The Cureの”1985年”に発売された、6thアルバム『The Head on the Door』の劈頭を飾る名曲”In Between Days"である。
思わず、”気分は1985年!”となるが、実はこの曲は当時、ロバート・スミスが言っていたように、失恋ソングなのである・・。ー
◆昨日はすごく年を取って
今にも死にそうに思えたよ
もう何も出来なくなった
そんな気がして泣きたくなった
ああ勝手にしろよ
さっさと行っちまえよ
もう心は決まったんだろ
構わないから
どこでも行けよ
そのままここから
出て行けよ
だけど今は後悔してる
あんなこと言うんじゃなかった・・・
ー 私は最初、この曲はアレックスの心情を考え、フランソワ・オゾン監督が使用したと思っていた。
だが、ストーリーが進むにつれ、この曲は”ダヴィドのアレックスへの想いを代弁しているのだ”
と思ったのである。ー
・エンドロールで、再び”In Between Days"が大音量で流れる。
ヒヤリングでも良いが、ここでは、是非、字幕を読んで欲しい・・。
<悲嘆にくれるアレックスが、ダヴィドと関係を持ったケイトの協力の元、ダヴィドの死を現実として受け入れ、彼に対する想いを文章にする事で、深い哀しみを乗り越えて行く。
ラスト、アレックスがダヴィドと共に、酷く酔っていたので二人で介抱した青年と再会するシーン。
アレックスは、且つてのダヴィドのように、青年をダヴィドのヨットに誘い、二人で海に出る。
”ダヴィドの墓の土の上で踊った”アレックスの表情は、且つての自由奔放で大胆な、ダヴィドのようである。
16歳の少年は、たった6週間だが、深く愛した18歳の青年の死を乗り越え、再び人生の一歩を歩み出したのだ・・。>
ちょっと纏まらない
139本目。
君の名前で…みたいな作品、まあひと夏の的かなと思ってたてら、途中迄はね。
多感な10代、危うさ、脆さが同居してるし、どんな行動とるかなんか分からない。
でも、そっかなぁ?って疑問があったりで、友達のお母さんにズボン降ろされ時は、違う方を想像してしまったし。
なんか上手く纏まらないのは、次に観た作品のせいで、印象が掻き消されてしまった。
甘酸っぱくて、メランコリック
フランスのこんなお洒落な感じではなかったけど、
あたしもこういう恋愛をした。
心から大好きで、いつまでも一緒にいたかった。
「楽しい時間だけど、君に100%のお返しができない」
そう言われて別れたっけ。
あのアルヘンティーノ元気かな。
年を重ねるとなんともないんだけど、
あの苦しくて切なくて、
男同士の話ゆえ、どこにぶつけたらいいのか
分からない感情。
甘酸っぱくて、メランコリック、そして苦しかった。
ちょっと変わってるけど今週(8/20~)本命な筋
今年101本目(合計165本目)。
まず、タイトルから誤解しやすいのですが、この映画、フランス映画です。英語も一応出てくるところはありますが(ガールフレンドのところ)、全体でみれば95%以上がフランス語です。
また、原作が存在するので(「特集」で書かれている通り)、「墓場で踊る」という一見すると???な行為も、元ネタがあるのだという点をちゃんと理解しないと意味が分からなくなる展開は結構多いです(知っているだけでも全然違います)。
内容は多くの方が書いている通り、ある夏を描いたBLもの。ただ、BL(ボーイズラブ)といっても表現は緩めで(だからPG12扱い)、実際にはBLものでもなくても本筋自体は成立はするはずです。ただそこをそうしたのは原作を参考にしたから、なのでしょう。そのため、その観点でそれ(いわゆるLGBT問題)を提起しているシーンはないか、ほぼないというところです(辛うじてあるかなと思えるセリフが数か所あるのみ)。
私にとっては、高校生の夏休みなんてもう何十年前の話だし、ましてやフランスの海岸がある町(?)を舞台にした海岸ものの夏休み映画なんて本当に羨ましいなぁ…というところです。自然の描写もきれいだし、PG12だからといって「意味もなく」変なシーンも存在しませんし、フランス映画って時々こう、「何を伝えたいか、各自に考えさせる」映画が多いように思うのですが、これもその類型かな、と思います。
いろいろな解釈が可能だし、またこの問題はいろいろな考え方の方もいますので、この話はそこまでにしておきましょう。今週(8/20~)は新規の映画の放映数が妙に少なく、よって本命か準本命に来てしまうと思うのですが、観て損はない映画かと思います。
評価は下記を考慮して満点にしました。
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(減点0.3) この映画はフランス映画です。
タイトルこそ Summer of 85 (意訳すれば、1985年の夏、くらい)ですが、映画内ではただ単に ete 85 と出るだけです(ete(仏)=夏)。フランス映画を多く扱っている映画館もあるので(大阪市だと、テアトル梅田さんなど)、混乱するかなぁ…という気はしました。
また、字幕が一部抜けている部分があり(物語の序盤~中盤にかけて出てくるお店。お店のドアにある表示を「裏返すと」「閉店」と表示されることから、字幕が「ない」ほうは、「開店」だということがわかりますが、このように字幕がなく各自で類推しなければならない点が結構あります。フランス映画は、日本では一つの映画のカテゴリですが、かといって誰でも仏検1級とか準1級とか持っているわけではないと思うので(少なくとも、英検1級、準1級持ちとは桁のレベルで数が違うはず)、字幕がもっと丁寧だと良いかなという印象です。
(加点0.2) よくある「最後に映るQRコードを読み取って、映画の感想を投稿すると何とかプレゼント」とかやっている映画は多いですが、この映画は三密回避なのか、そのチラシ(QRコードが刷ってある)が先に配られます(ほか、プレゼントにクリアファイルがありました)。この工夫は地味ながら今の映画館の事情を鑑みればよいなと思います。
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目まぐるしい夏の日々
広告から気になって観に行きました
冒頭や映画ホームページサイトからダビットが死んでしまうことはわかっていましたが、アレックスの感情の爆発の演技が凄くて好みでした。
現代と夏の6週間交互に描かれて物語が進んでいきますが、わかりやすくて美しい映画だったな〜!!
概念と現実と
ノルマンディーの海辺の町に越してきたばかりの16歳の少年と海で彼を助けた18歳の少年の出会いと別れとその後の話。
借り物の小さなヨットで海に出て転覆させたアレクシと、彼を助けたダヴィドが「理想の親友」になって行くストーリーを、被告として裁判を控えるアレクシが振り返る体でみせていく。
ちゃんとみてれば問題ないけれど、ちょいちょい時系列が違うシーンがミックスされるので、序盤はボーッとしてるとこんがらがるかも。
恋愛部分に関しては、恋愛映画にあまり興味がない自分的にはまあそうですかねと言う感じで、特段引っ掛かるものは無し。強いて言えば、結構早い段階で登場したケイトがなかなか出てこないな~程度w
青春映画としてはまあまあ面白かったけど…。
ダヴィドが母親にどの様な話し方をしどこまで話をしたのかわからないけれど、彼女のリアクションがちょっと狂気で、それがなければ成り立たないけれど、だからこそ引っ掛かってしまった。
BLの恋愛物語といえばそうだけど、アレクシが理解されない想いを書く為の切っ掛けとしてその方がストーリーにしやすいから?それとも単にBLが描きたかった?
個人的にはその辺に偏見はないけれど、何か狙っている感じがして鼻についた。
それにしてもフランスの刑罰って厳しいっすね。
“愛”と“死”がテーマなのに爽やか
フランスノルマンディー地方のノスタルジックで風光明媚な風景とともに奏でられる美少年達の恋と失恋と死。
魅力的な舞台と美少年達の恋といえば、ティモシー・シャラメ主演で北イタリアを舞台にした『君の名前で僕を呼んで』に似ているかなと思ったけど、本作は“死”も描いているから、また違った瑞々しさとディープさが味わえる。
ダヴィドの束縛されたくない、自由にしたいといった気持ちも共感するし、一方のアレックスの片時も離れたくない、二人っきりの世界にどっぷり浸かりたいという重い気持ちも分かる。二人の関係を見ているとかつて自分も経験した10代の頃の恋愛を思い起こさせてくれる。
死体安置所での女装シーンや、墓の上で踊るシーンはコミカルかつシニカルでシュールでもある。
“愛する人の死”を乗り越え自分の物語を生きるというテーマが奇しくも同日公開された「ドライブ・マイ・カー」と同じ。
苦しみを乗り越えて自分の物語を生きるしかないのだ。それにしてもダヴィドのモテっぷり、守備範囲の広さに脱帽だわ(笑)
こんなに切ないオゾンのダンスシーンは初めて
個人的に近年のオゾン作品は不発が多かったのですが、本作品は青春の瑞々しさが繊細に描かれており、脇を固めるキャラクターも丁寧に描かれていてとても良かった。
中でも大音響のクラブでウォークマンで聞くロッド・スチュアートの『セイリング』はとても印象深く、オゾン映画の中ではベスト10に入る名シーンだったw
久しぶりのヘンテコダンスも健在…しかし、こんなに悲しく、切ないオゾンのダンスシーンは初めて、そこに円熟したオゾンを感じた。
BLブームの影響なのか?いつもの客層とはかなり違い若い女性が多かったけど、彼女達にオゾンの魅力が伝わると良いのですが。
友情のような男同士の熱ラブストーリー
時代は85年のフランス。今最もトレンドな80年代設定が何ともお洒落に映る。映像も正に'80s‼️
普通の少年がある日海で遊び慣れた彼に助けられた。
そこから友情のような恋愛が始まる。
観てて共感できる楽しい、愛に満ちた日々が一転、、、
男同士でも、女性側にたつと同じだなっと思った。
凄く理解できたし、辛さも分かった。
この映画は、流行りのタイのボーイズラブといった感じではなく、決してLGBTQの恋愛設定でもなく、フランスのお洒落な濃厚ラブストーリーって感じです!!
特に女性にお勧めします!
先ずは内容、次いでキャストの男子2人がとても綺麗で美しく映えます。
凄く良い映画でした。
80sらしい空気 × 監督らしい題材 = 一夏の青春映画
フランソワ・オゾンの描く死
どこから始めれば?死に興味がある。死体でなく"死"そのものに。正直、途中で予想だにしない部分もあったけど、監督の今までの作品や作家主義的なものを考えると頷ける。文才のある主人公といったら『危険なプロット』を思い出す。『彼は秘密の女ともだち』はじめ突然ふりかかる大切な人の死もついて回る(ex.『婚約者の友人』『ぼくを葬る』)。そんな影を落とす出来事と向き合うカミングオブエイジ/成長への船出。
彼から誘った。人を助けるのに理由が必要か?友達か?いいやつだと思った。友達だと思ってた。友達以上だろ?執着と束縛されたくない自由な魂。若さゆえの燃えるような恋と嫉妬の炎に身を焦がすような362万8800秒。スピードの彼方へと生き急ぎすぎて、もし死んだら墓の上で踊ってくれ。一人が先に死んだらそのときはもう一人が墓で踊る。ダヴィドは確かに男が惚れる男で格好良くセクシー、まさしく一瞬で永遠の輝き。近づく者をひきつけて焼いてしまうような。
一夏のできごと。80年代を舞台にしたピュアネス映画にザ・キュアー(インビトゥイーン・デイズ)あり!海辺に映画館そして遊園地、ロマンチックの粋を集めたような舞台設定とサントラ。最高すぎて嫉妬。こういう夏限定青春映画、あるいはヨーロッパ映画のサスペンスでよく見るような展開か…なんて思っていたらまさかの衝撃の展開。
Sailing/ロッド・スチュワート
↓以下ネタバレ↓
彼ともう一度また会うには自分が死ぬか、物語を書くかしかない。ならば君の物語を書け。自分自身の物語を書くことで一歩踏み出す。その先に何が待っているか分からないけど、まだ始まったばかり。彼の生きてる姿を思い出したい!カリプソってヨットで海に出ないか?にしても終盤、怒涛のように本作のメッセージを言葉で言っちゃうのは少し説教臭くて如何かなものかとも
透明感!
オンライン試写会にて。
不思議な透明感と悲しみに包まれた作品。
美しいノルマンディーの海辺&美青年で夏気分いっぱいになれるかと思いきや、何とも言えない喪失感がいっぱい。恋の相手が男性でも女性でも、愛する人を失うのは悲しくてやり切れないですよね。。
1985年のフランス
2021年7月22日
映画 #Summerof85 (2020年仏)鑑賞
#感想
オンライン試写会
フランスを舞台に10代の少年?青年?ふたりのひと夏の激しい恋と悲劇的な別れを描いた作品
#フランソワ・オゾン 監督作品なので恋の描き方は上手だなと思いました
85年当時は今よりもLGBTQへの風当たりは厳しかったろうな!
ひと夏にして大きすぎる経験、台風のような衝動を16歳で浴びる
16歳にして、その台風はあまりにも大きくて甚大な爪痕を残していった。序盤に少し引いてしまって、やや引いて観てしまったが、かなり衝撃は大きい。
フランス映画に少し苦手意識をもっていたのだが、今作はすごくフレッシュで繊細。アレックスはこの6週間で大人よりも感情を知っていく。そのダイナミックさが少しばかり鬼畜な運命さえに感じる。
初めに、ダヴィドの母が服を脱がすシーン。あそこで軽く引いてしまって、やや距離を置いてしまったのだが、こうして考えてみると、父が亡くなってバランスの取れなくなったのだから、アブノーマルな行動に走るのも分からなくはない。それでいて、仲良くなったからといって働けるものか、とも思ってしまった。
とは言え、作品自体は濃密で無駄が一切ない。こうして見渡すといかに純度の高いラブストーリーだったのかと思う。最初に抱いていた、BL的な感情はどこにもなく、寧ろ愛を育んだ二人が男だっただけなのかもしれない。特別に上げることもなく、社会の受けを担うこともない、85年の幕間に同情する。
時代が時代だけに、出てくるクルマも懐かしいものが多く、シトロエンやアウディもまだ角ばっている。ビスタに滲む時代のノスタルジーを感じながら、ビーチに吹く風と痛みを胸に受ける。
少しばかり文化の違いや理解に苦しむ点はあったものの、淀みない真っ直ぐな二人の愛は、スピードの彼方になったに違いない。
素晴らしかった。
冒頭アレックスは「君の物語じゃない」と言う。
しかし、その後THE CUREが流れた瞬間これは良い映画に
間違いないと思い、見終わって僕のための映画になった。
10代の夏は特別に思う。
夏の度に男の子は少しずつ成長して大人になる。
そこに友だちが居れば最高だ。
アレックスの場合は10代で何度も経験する夏を
一夏で経験してしまう事になるけど、
どこが自信無さげだった少年は最後には一人の男になってた
と思う。
見始める前はキラキラした10代の恋愛映画なのかな?
と思ってたけど、後半はとても辛かった。
アレックスの絶望が画面を通して伝わってくるようだった。
ダヴィドの実態が薄れて来て自分と向き合わなきゃならない
姿は隣で抱きしめてやりたい気持ちだった。
墓場のダンスシーンではダヴィドが一緒に笑って踊ってる
姿が見えたのは僕だけじゃないはず。
過去と向き合ってだけど前に進まなきゃと思える、
僕の物語ではないかもしれないけど、
僕に寄り添ってくれる「さぁ行こうか」と背中押してくれる
とても良い映画でした。
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