「萌の笛(杖)が壊れちゃった・・・パオ、パオ、パパパン」いのちの停車場 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
萌の笛(杖)が壊れちゃった・・・パオ、パオ、パパパン
金沢駅から近江町市場の前を通り、犀川方面へ。桜橋を渡り、桜坂と新桜坂の間に位置する石伐坂(通称W坂)を上る。上りきった直後に見えるのが白石先生(吉永小百合)の自宅のようだ。ただし、タイトルにもなっている停車場は井原台(知らない。どこ?ネットで調べると栃木県のようです)。北陸中央バスも知らない。金沢の住民にとってはストーリーよりもロケ地が気になってしょうがない。本当にあった停車場は『ゼロの焦点』(1961)に出てるかも。
診療所近くにあるスタッフのたまり場“STATION”。みなみらんぼうがマスターをしているこの店は主計(かずえ)町の中ほど、久保市乙剣宮に通ずる五木寛之が命名した“暗がり坂”の片隅にあるようだ。その他東茶屋街、観音坂、武家屋敷、兼六園などなど、犀川と浅野川の数々の橋も効果的に使われていました。
珍しく、原作を先に読んでいたため、違いがかなりあることもわかり、死と向き合う患者や家族を優しく描いていた印象が残りました。これもプロローグである東京の城北医大救急センターの阿鼻叫喚ともいえる救急医療の戦場にも似たシーンと対照的だったこと。さらに、原作にあった白石がスケッチブックに書いた“死を迎えるにあたって”家族に説明する項目もカットされていて、今年観た『痛くない死に方』とは表現方法も異なる優しい映画となっていました。
ちなみに原作のゴミ屋敷に相当する部分は泉谷しげる・松金よね子夫婦にまとめられていて、芸妓役の小池栄子や女流棋士の石田ゆり子パートが追加になっている。石田ゆり子は好きな女優さんだけど、ちょっと余分だったかなぁ。そんなゴミ屋敷で驚いたのが、金沢市指定ごみ袋がそのまま使われていたこと!こだわりだ・・・
伊勢谷友介のエピソード。ガラス張りの建物は金沢パークビル。原作では富山の再生医療クリニックへ移送するときには江ノ原のラグビーチームの“ハカ”で見送るシーンがあり、期待していたのにカット・・・これは残念。入れるとしたら、どこかをカットしなければならないのかも。
柳葉敏郎のエピソードは改変があるけど、これはこれで良かった。せん妄や下顎呼吸など、死を目前にした患者を上手く演じていました。
泣き所のメインとなる小児がんを患う萌ちゃん。母親は南野陽子で子役は佐々木みゆ。けっこう演技派で、『万引き家族』以来、いくつかの映画に出ているようです。原作では、車で海岸を走れる千里浜海岸が舞台となっているのですが、違ってました。どこなんでしょう?金沢近郊だとしたら内灘海岸だと思うのですが・・・
モンゴルのパオと食べてみたい饅頭パオ。人は最後には家に帰る。在宅医療、終末医療にとっても自然な形。延命措置は本当に必要か?国民皆保険を圧迫していないか?などなど、さまざまな医療問題が浮彫りにされる本作。白石先生の何がなんでも命を救う救命救急医の立場から、自然な形で看取っていく方針へと変化する様子や、野呂くんがもう一度国試にチャレンジする成長ぶりなど、人間模様も感動的。ただ、父親の安楽死に関しては原作のほうがよりシビアです。
南杏子の小説では、麻世は卯辰山(近所)の小さな旅館の娘だったので、広瀬すずが家の近所に来ていたのか?!などとショックを受けましたけど、改変されていたのでホッとしました。その他、俳優では南野陽子と柳葉敏郎の演技が最高、泣ける。
コロナ禍の中、大変なこともよくわかる。エンドロールではcovit19対策なんて項目もあり、これが現実なんだと改めて感じた。YouTubeで舞台挨拶の動画を見たけど、本編よりもこの動画に泣けてきた。吉永小百合と金沢といえば、『男はつらいよ柴又慕情』、そして122本目にして初の医師役。中途半端なサユリストとしても感動的でした。
最後に残念だったところ・・・金沢弁がまったくなかったこと。小説は金沢弁まるだしだったのに・・・治部煮がちょっと出てきただけ。あの店はあそこだろうなと想像できる。だけどラーメン屋は全然わからん!どこやいね。
kossyさんは金沢の方でいらしたのですね♪
近江町市場は、近江町市場寿司、いきいき亭、あと大口水産にて串焼きや肉団子など頂いた事があります。
自宅土産は、ここで加賀野菜を買って帰るのが1番リーズナブルで楽しいですね。
海のシーンは千里浜かと思いましたが、なぎさドライブウェイを走った時の記憶とは様子が違ったので、他に砂浜にあれだけ近づける場所があるのかなぁ?と考えながら観てました。原作は千里浜だったのですね。
千里浜は2度ばかり訪ねましたが、どちらも焼き貝のお店に出会えなかったのでいつかまたリベンジに伺いますw
東山のヴィレ・デ・クロケットもお気に入りです。
コロナで暫くお伺いしていませんが、治部煮のお勧めのお店があったら教えて下さいね。
あれ?なんだか食べ物の話ばかりになってしまった?汗々w
あ!そう言えば本家とんとん亭のコスパも素晴らしかった!
(食いしん坊か!私は?)
20年前、主計町の小さな旅館(木津屋)に泊まり、東茶屋街を浅野川を渡って散策しました。木津屋のなかはいかにも昔の遊郭でした。朝食付きで3500ぐらいでした。白石家からの川を挟んだ町のカットが度々ありました。犀川?浅野川?kossyさんのレビューとても楽しみにしていましたよ。
今晩は
流石にお詳しいですね。
劇中で、頻繁に街中を走っていたレトロスペクティブなフォルムの黒色のタクシー。運転手はどなたかなあ‥、と思いながら観ていましたよ。
吉永さん始め、松坂さん、西田さんの怒りを抑制した舞台挨拶も身に沁みました。
kossyさん
金沢愛を感じるレビューありがとうございます。
金沢弁無かったんですか?
広瀬すずの話し方が少し変わってたから、あれが方言かと思ってました。
地元で撮影された作品を観ると、ロケ地巡りしたくなりますよね。
すごくわかります。