ヤクザと家族 The Family : 特集
「新聞記者」から2年――あの監督&配給が再び生み出す、日本映画の新潮流 伝統を革新する【ネオ・ヤクザ映画】×【限界を超えた綾野剛】に刮目せよ!
2019年の第43回日本アカデミー賞にて、作品賞・最優秀主演男優賞・最優秀主演女優賞に輝いた「新聞記者」の藤井道人監督と、配給会社スターサンズが再び組んだ――。
同作でリアルタイムな社会問題に斬り込み、世間を震撼させた両者が新たに挑むのは、「ヤクザ×社会」という衝撃的なテーマ。ヤクザという生き方を選んだ青年がたどる1999年、2005年、2019年という20年間の軌跡を136分に凝縮した濃密な内容、主演・綾野剛が魅せる渾身の力演……。
1月29日から公開される「ヤクザと家族 The Family」は、間違いなく「見ないと、あとで歯ぎしりする」世紀の傑作だ。
本作は全ての綾野剛を「過去」にする――これが《役を生きる》ということだ ヤクザ一匹、衝撃と慟哭の20年間 あなたは映画を超えた“人生”に立ち会う
当代きっての演技派として、娯楽大作から作家性の強い映画まで幅広く活躍する綾野剛。汚職警官から暗殺者、秘密を抱えた医者等々、次々に難役をものにしてきた彼だが、今作でもって、並み居る役者はおろか、過去の自分自身をも置き去りにしたと言わざるを得ない。
綾野剛という“個人”は消え去り、山本という“人物”にしか見えない「演技の境地」に達した、圧倒的な完成度――スクリーンからほとばしる“生きざま”に、畏怖すら覚えるだろう。
・俳優生活18年 演じられぬ役のない「時代をけん引する」真の実力派
「MIU404」「そこのみにて光輝く」「日本で一番悪い奴ら」……ライト層から超のつくコア層まで、軒並み魅了するのが綾野の恐ろしさ。「怒り」や「影裏」で震えるほどに繊細な内面を表現したかと思えば、「るろうに剣心」ではキレッキレのアクションを披露し、「最高の離婚」では天然モテ男をチャーミングに演じ……役ごとに、“存在感”すらも変化させてきた。下積み時代は自ら懇願して現場を渡り歩き、武者修行に励んだという努力家でもある。
・本人も「渾身の作品」と手ごたえ! 「ヤクザと家族 The Family」は現時点の集大成
役者道を探求し続ける綾野の“演技の体幹”は実に分厚く、崩れない。ともに駆け抜けた藤井監督も、「天才肌に見えるけどめちゃくちゃアスリートですごい努力家」と絶賛する。
その「ポテンシャル」が、かつてない純度まで到達したのがこの「ヤクザと家族 The Family」だ。ひとりの男の20年間を、己が身一つで演じ切ったその手腕は、驚嘆に値する。
本作の共演陣からの信頼も厚く、舘ひろしは「綾野くんは非常に素晴らしい目をお持ちなんですね。山本の愛に飢えたような目がいろんなことを訴えかけてくるので、一緒にお芝居をしていて何度も泣かされました」、磯村勇斗は「綾野さんは“俺が何でも受けとめるから”とおっしゃってくださった」と証言。“先輩”“後輩”関係なく、圧倒されるほどの存在感だったことが伝わってくる。
一体どこまで突き詰めれば、ここまで役を生きられるのだろうか……。
【監督:藤井道人】×【制作:スターサンズ】この組み合わせは間違いない! 社会現象化した「新聞記者」の仕掛人が、列島を再び《衝撃》で包み込む
「新聞記者」は、見た人はもちろんだが、見ていない人も、周囲の反響からその特殊な輝きを感じ取ったはずだ。老舗メジャースタジオの作品でもなければ、大御所監督がメガホンをとってもない作品なだけに、「気鋭の配給・制作会社と監督が、ここまでスケールとテーマ性が突出した映画を作るとは!」と驚いた人も少なくないだろう。
そのコンビがまた顔を合わせるならば、我々の予想など軽く吹き飛ばすのは必定。存分に期待値を上げて、映画館に繰り出してほしい。この作品は、“全て”を超えてくる――。
・藤井道人監督:撮ってよし、書いてよし! 映像&作劇センスあふれる天才
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの人気俳優・横浜流星の魅力をいち早く引き出した「青の帰り道」、山田孝之の初プロデュース映画「デイアンドナイト」、作り手としての引き出しの多さを見せつけた「宇宙でいちばんあかるい屋根」……。
藤井道人監督が手掛けた映画は、いずれも「映像言語力」がずば抜けている。一言で言えば、「カッコよくてエモい」のだ。自ら脚本も手掛け、現代的なデザイン感覚の“映像”と、感情が疾走する“物語”を組み合わせ、心をわしづかみにする藤井監督。近い将来確実に、日本の映画監督のトップへと上り詰める逸材だ。
・スターサンズ:時代や社会に物申す! 攻め続ける映画配給・制作会社
身も心もボクサーになりきった菅田将暉の凶暴な演技が話題を集めた「あゝ、荒野」、映画ファンから断トツの支持を受けた「宮本から君へ」、安田顕が限界突破の演技を見せつけた「愛しのアイリーン」、実在する衝撃事件を、長澤まさみ主演で映画化した「MOTHER マザー」。
これらすべてを世に放ったのが、河村光庸率いるスターサンズだ。常に社会を鋭く見つめた衝撃作を作り続けてきた同社のブランドに、藤井監督が持つ“いま”のセンスが加わったのが「新聞記者」であった。続く「ヤクザと家族 The Family」では、互いの個性がよりがっちりと融合し、かつてない練度と熱量で観る者を呑み込んでいく!
・綾野剛、舘ひろしにmillennium paradeまで! このタッグだから実現した最強布陣
そんな両者の組み合わせだから集まった、豪華メンバーにも注目だ。座長として引っ張る綾野に加え、舘ひろしがヤクザの組長を渋く熱演。さらには尾野真千子、北村有起哉、市原隼人、磯村勇斗といった面々が、これまで見せてこなかった極限の表情をスクリーンに焼き付ける。各々のフィルモグラフィの中でも、重要な作品として認定されることだろう。
そして主題歌アーティストは、大人気バンド「King Gnu」の常田大希率いる音楽集団「millennium parade」! 綾野の呼びかけにより奇跡のコラボが実現したという。物語が幕を閉じても、最後の最後まで観客を魅了し続けてくれるのだ。
前半はシビれる娯楽作、後半はエグる社会派作――これぞネオ・ヤクザ映画! 予想をことごとく覆す怒涛の展開…万感の衝撃ラストに、あなたは何を思う?
日本映画界において、長きにわたり押しも押されもせぬ人気ジャンルとして君臨し続けるヤクザ映画。近年でも、Vシネや「アウトレイジ」「孤狼の血」等々、多くの映画ファンから愛されてきた。
仁義のために命を燃やす漢たちの花道はロマンであり、日本古来のヒーロー映画でもある。その題材に挑むにあたり、「ヤクザと家族 The Family」が選び取った道は「温故知新」。つまり、“伝統”を重んじたうえで、今だからこそ描ける“時代性”をプラスしている。
物語の前半は、血湧き肉躍るヤクザ映画だ。父を失い自暴自棄になった青年・山本(綾野剛)が、ヤクザの親分・柴咲に拾われて親子の盃を交わす――。タイトルにもある「家族」を象徴する、疑似親子のドラマにはグッとくるものがある。そして組の幹部へと成長した山本が、対立する組織との抗争に挑んでいく際の疾走感と高揚感たるや、「やっぱりヤクザ映画は最高だ!」という思いにかられることだろう。
だが本作はそこで終わらない。後半に突入すると、全く別の物語かと絶句するほどに濃厚な社会派ドラマが展開。「反社(反社会的勢力)」と蔑まれ、携帯電話の契約も銀行口座の開設も断られ、職すらもありつけず、社会に抹殺されていく男たち。前半の勢いは鳴りを潜め、這いつくばって生きざるを得なくなった山本たちは、どんな人生を送っていくのか……。
そしてクライマックスには、前半の「ヤクザ映画」と後半の「社会派映画」がひとつに収斂していく。見る者の感情をかき乱し、涙をあふれさせる“これ以上ないラスト”――。こみ上げるのは、例えようもなく深い余韻。どうか劇場で、心ゆくまで味わっていただきたい。