ミッドサマー ディレクターズカット版のレビュー・感想・評価
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少数民族の文化を「怖い」と感じることについて考えた
これはホラー映画なわけだが、少数民族の文化はこのグローバル時代にいかに護られるべきか、あるいは護ってはいけないのか、ということを真面目に考えてしまった。
あのスウェーデンの村の伝統文化は、現代社会の価値観では認めるわけにはいかない野蛮なものだろう。しかし、あの村ではそれを文化として護ってきた。それをグローバルな価値観でジャッジしていいのかどうか。
この映画は、そういう議論をホラー体験として語ることで回避している気もする。しかし、あの若者の一部があの文化に取り込まれていくのを見ていると、回避はしておらず、むしろその問題を真っ向から描いているとも解釈できる気もする。
そもそも、この村を怖いと思うのは、どんな視点で見た時か。僕らはなぜか、当然の前提として、近代人の価値観でこの映画を観てしまうが、そもそも、なぜその価値観の正当性はあるのかと疑問に思う必要もある気がする。
僕はこの映画を怖いと思った。しかし、これを怖いと感じることには、自分の中に、ある種の傲慢さがあるようにも感じた。
ダニーとクリスチャンの関係により踏み込んだ、狂気がぶつかり合う完全版
20年2月に上映された通常版のわずか4週間後に公開された23分長い完全版。アッテストゥパン当夜の狂言じみた儀式と、その流れからのクリスチャンとダニーの言い争いが丸ごと追加されている。その他は性器などの該当表現がゆるかったり、既存シーンが少しずつ長くなっていたりするのだが、強調されるのはクリスチャンの人間性と、ダニーの病んだ部分。ペレの里帰りは外部の種の取り込みが目的だけに、クリスチャンが標的に値するような、仲間や恋人ダニーに対する胸糞演出が機能している。このカップルによる息詰まるすれ違いは、監督が参考にしたと言われる「ある結婚の風景」の影響か。逆に想定外とも思えるダニーの同行とクイーン選出によって、より深まった彼女の闇がホルガ全体を飲み込む可能性をも感じられた。夏至祭の残りの日々が気になる。
「ヘレディタリー」の前に監督が撮った7本の短編(全てネット公開中)も、「息子から性的虐待を受ける父」「息子の未来に嫉妬し凶行に走る母」など、身近な人がもたらす恐怖がモチーフの作品も多く、本作と比較するのも興味深い。
美しく奇妙な村
主人公のダニー不慮の事故で家族を亡くし悲嘆に暮れている所、彼氏の仲間達にスウェーデンの田舎で90年に一度の祝賀祭があると誘われる。
その村で起こる奇妙な出来事に巻き込まれて…
オリジナル版でカット部分を入れ2時間50分と長編だ。
とにかくこの映画の特徴的な部分景色が美しい。
ホラー要素が感じられない白を基調にしている事。
異質な作品が際立つ。
初めのシーンで村に入る所映像が反転して空の映像が映ります。
そこから、映像酔いと言うか気持ち悪かった。
オリジナル版と2度目の鑑賞になりますが。結末を知っていても楽しく鑑賞出来る。
もうダニーは、初めから村の標的になっていた。
完全に依存体質、ナルシストな気質、情緒不安定で洗脳しやすい人物である事。
ダニーの彼氏の友人ペレはホルガ村出身でスパイいや勧誘?的な存在でちょうど良いタイミングだったのか,仕組まれていたのか?本当に偶然だったのか?
胸糞ではありますが、よく出来たストーリーだと思います。
村の儀式に使用する人間は72歳と高齢者が対象となり、命の循環と崖から飛び降り自ら命を捧げる、また絶命出来なかった老人をハンマーで叩き割る。
そして村の女子は気に入った男子には、狙い撃ちとして食事の中に自分の陰毛を入れる。
ここまでくると笑いの域に達して来ます。
そして中盤クリスチャンは小屋に呼び出され、陰毛を入れた赤毛の女子がペレが見せた写真を見た時から気に入っていたと告げられる。
いやいや、ペレは種探しもする役割かいと。
まぁクリスチャンはまんまと犠牲になってしまいますが…
女性に囲まれてセックスさせられているシーンはまさにコントです。
そんな中、ダニーはもう祭り挙げられ持て囃されて夢見心地でクイーンになちゃった。
クリスチャンのセックスシーンなんか見せられたもんなら悲劇のヒロインど真ん中ですね。
ラストはダニーが村の生け贄を選び焼かれて笑顔のカットで終わる。
果たしてダニーは今後幸せに暮らしていくのか?
いろんなカルト要素があり姥捨山やカムイの儀式やウィッカーマンなど連想してしまう。
この村での奇妙な風習や儀式が絵に写し出されて答えの要素的な部分もあり、ある意味謎解きゲームの様な。私には理解出来ない所も多くあった。(笑)
ルーン文字とはなんぞやと調べると『神秘』『秘密』『囁き』古代ローマの神秘文字らしくまぁ、魔女の儀式的なことは絶対秘密なんですよ。よって村に入ったら絶対に出られない。
とにかく美しい景色に土から足が出ていたり、村の住人はみんないい人なのでそんな住人が簡単に殺害する様子は奇妙で不快な恐怖でしかない。
アリアスターは天才・鬼才の監督に名を残すだろう。
かなり好き。
ヘレディタリーより断然好き。通常版に続けてこちらも観てしまった。全体的に嫌~な雰囲気なのに、映像が美しく幻想的で、そこがまた良い。花の飾りもいいし、衣装もいい。通常版は思ったより評価低かったけど、こちらの方が評価良いのは好きな人が観るからでしょうね。私もかなり好みです。あと2回は観られそう。
好き嫌い分かれる傑作
アリ・アスター監督ならではの緻密に構築された作品です。初見では「うわぁ」でしたが公式サイトで予習し再鑑賞したところ一気に評価が変わりました。エログロ胸糞要素もありますが最後の笑顔に全部持っていかれた気がします。ディレクターカット版は彼氏のクズっぷりとこの作品では珍しい夜間シーンが追加されており更に楽しめる内容になっています。来月から期間限定で祝祭上映決定の嬉しいニュースをみたので再鑑賞後に投稿してみました。精神状態良好のときに見ていただきたい個人的傑作です
不思議な空気感
意味がよくわからなかったし、意味を求めるのも野暮なのでは、と途中から思い始めました。伏線らしきものがたくさん散りばめられているのはなんとなく分かったけれど、難解すぎる、、、非現実的な空間とスリルを味わうもの、と割り切っても面白かったです。この監督の作品は初めてみましたが、豪勢なBGMがふんだんに使われていたのが印象的でした。大事な場面で登場人物たちの生活音が消えて爆音のBGMのみになるシーンが結構あったので、それも非日常感を強めているような。
わくわくする展開
2度目の鑑賞。
1度観たけどなんとなく気持ち悪い内容なのと展開の面白さがあったなーとうろ覚えでディレクターズカット版視聴。
2度目の方がより面白く、笑えさえした。いやすごい。これ作った人たち俳優含めどれだけ楽しかっただろうかと。
誰しも興味のあるカルトの最奥、それをおかしいと思わないどころか心酔している信者たち、感情を表す言葉が見つからない程の異様な儀式に次々巻き込まれて完全に翻弄される自己開放感。
こんなものを作ってくれて、観せてくれてありがとう、くらい言いたい。
暗闇背景の一切ない白夜のホラー、幽霊も悪魔もなんなら悪人すら出てこない。ただただ純粋に突っ走っているもとは普通の善良な人々。
狂気が当たり前の世界では当たり前が異端となり、結局この世には当たり前と狂気を明確に区別する基準はなく、自分(私)が今いるところが常識だと盲目的に信じている、このコミューンの人たちとなんら変わりはないのかもしれないな、とか思ったり。
素晴らしいシーン(=自分にとって新鮮な感覚を湧き起こさせるもの)はありすぎる程で、絵的にも新鮮さと神聖さもあり(音楽も相まって)、彼らが真剣であるがゆえの滑稽さ、種付けのシーンはまさにクライマックス!(ゾッとするのと笑えるの両方)
主人公の彼氏、クリスチャンがただただ可哀想。優柔不断で流されやすい、常識を持ち合わせているけど小狡いところもあるごく平均的な男。
悪人がいない。だれも悪くない。それなのにこんなに恐ろしい、、もう最高。
家族を失い、最後女王となった主人公は居場所をみつけたのでしょうか。
ナンセンス=(エロ+グロ)✕カルト
※通常版は観ていません。
レビュータイトルの通りです。鑑賞者側を試す、選別する作品だと言う感想です。
・伏線がトラップの如くあちらこちらに。それを全て回収するのは困難。結構複雑。観終わってから「あ~~~!」「なるほど」とか気付くとこが多数。
しかし、以下の理由でまた観たいかという観たいとは思わない。
・ストーリー展開が読める。大体、観ていて予想した通りになっちゃうので(お約束の連鎖?)、驚かない。ホラーという評価を多々見るがホラーかどうかは疑わしい。
・ストーリー終盤に向けていくとエログロが加速する。いや、グロは中盤からちょいちょいやってくるけれども終盤のはちょっと気持ち悪いを通りこして笑ってしまった。
・クズキャラが際立つが原罪という概念から考察すると納得はできる。
・好奇心、探究心とかは人を滅ぼす場合がある。
・結局、みんな死ぬんだろうな。
・やたらに長い、、、
・多分、4ch、5chあたりから流れてくる微妙なBGM?とかが耳障り。場面に合ってない。(シネプレックス幕張の問題?)
劇場版と完全版両方見ました!
まんまウィッカーマンな村カルト生贄ホラーでした。
ずっと明るい中での不穏な空気感が異常で静かで上映時間も長いですが楽しく拝見できました。
クライマックスはカオス過ぎて大爆笑で思い切り笑わせてもらいました。
最近はこういう作品モザイク無くてモロに見えたりしてるけどアリなんですね。
まあヘレディタリーの監督らしい超ヘンテコなホラーでした。
でヘレディタリーもミッドサマーも宗教で救われる話ですねまあカルト教団と悪魔崇拝の邪教ですが!
あと思うのがこんな作品面白いって言う人絶対に少ないでしょ普通に!
美しい村の美しい夏至祭、でもディレクターズカットは長い
以前、映画館で観たけれど、ディレクターズカット版がNetflixに上がっていたので再視聴。
美しい村の美しい夏至祭。そして徐々に明かされていく夏至祭の異常性。
家族を失い、精神が不安定になっている主人公ダニーが、段々夏至祭に馴染んでいく様子が印象的。
劇場版が2時間強で、ディレクターズカット版は3時間弱。
私は劇場版で十分だったので、ディレクターズカット版は長く感じた。
不穏も過ぎれば笑えてくる
ヘレディタリー観たから、アリアスターの作品の視聴方法はわかってる。冒頭の絵からダイジェストを想像するんだ。ちゃんとその通りになる。
とは言え、こんな白夜でのどかな村。不穏さも振り切れると、笑えてくる。終盤ほぼ笑ってた。
ホントこの監督の作品はどこに連れて行かれるのかわからない感がたまらない。毎度出てくるカルトな風習が楽しすぎる。しかも、近年稀に見る、見事なハッピーエンド。
鑑賞後、「よかったね。」って言葉が漏れた。
ユーモア満点の素晴らしい恋愛映画
ホラーが得意ではない自分は、この映画がホラーだと聞いて、相当覚悟して怖がりながら見たのですが(確かに怖かった)この映画は相当素敵な恋愛映画だと思います
いわば主人公ダニーが不実な恋人(本当にサイテー)から目覚め、真に自分が求めていた愛情と共感を得るまでの物語なのです。ダニーへのペレのストレートなアプローチがとても良い。
とはいってもアッテストゥパンのシーンとか、生贄が妙なやり方で殺されていくのは思わず目を覆いたくなります。しかし、それもスウェーデン伝統に対する自虐的なギャクなのかもしれません!!!
生贄がそれぞれ殺されるのに真っ当な理由があることがちゃんと描かれていて、それも見所かもしれません。最後の方で、どう見ても死体がはりぼてで、手を抜いてるだろう!とツッコミをいれたくなるところもご愛嬌です。
唯一、ペレの両親も「目の前で焼かれた」ということは、ひょっとしてこの儀式だったのかと思うと、背筋が寒くなりますが…
やはり傑作でしょう
2020年3月頃?劇場鑑賞
DC版の公開時期とコロナがぴったりと重なってしまい、中々観に行けず終わらないか冷や冷やしました。
通常版から2回目の鑑賞とあって、色々な部分に気付き・見えてくるのが最大の面白さでは無いでしょうか。
「9」で区切られた世界、壁に描かれた絵、そして前回でははっきりと見えなかった「妹」の顔など、それらに気付く楽しさがありました。
DC版で増えた部分は、主にクリスチャンの人間性の部分でしょう。
ダニーに対する態度がより細かく描かれており、見ていてより嫌悪感が増すようになっています。
これは死んでもしょうがないな…といった感じでしょうか。
それと解禁になったボカシですが、わかり切っていたのであまり印象にはありませんでした。
このように答え合わせのような部分も多く、通常版が興味深く観れた方にはおすすめです。
やはり傑作でしょう。
んー
ミッドサマー自体久しぶりに鑑賞したのですがディレクターズカット版は初めて。
久しぶりなのでどこが追加されたのかよくわからない笑
主人公と彼氏のくだりが少し増えたような?ってくらいで残念。
あいもかわらず見終わったあとのもやもやした感じは健在。
押し付けられた文化にイライラ。なんだかんだノリノリな主人公の女にもイライラ。
ミッドサマーinランボーとかやって欲しいわ。
村人皆殺しにして欲しいと言う気持ちが湧き出してきます。
ごめんなさい
※元々興味があったわけでもなく、いきなり「一緒に見よう」と誘われて見てしまった人の(あくまで個人的な)感想です。
時間の無駄過ぎる…しかもいろんな気持ち悪さを集めて煮詰めた感じがして、すごく不愉快な時間になりました。
しかも長い…
私は理解できませんでした。
理解しようと思ったところでもう一度みるかと言うと…
好きなジャンルではないということもきっと大きいとは思いますが、私は嫌いな方でした。
進められて見てしまった自分を過去に戻って止めたいです…。
せめてもの救いは映画館で観賞しなかったことですね。
今後みることはないでしょう。
しばらく変な夢をみそう
それが怖いです。
後半は、笑うしかなかった…トホホ
90年に一度の大祭という設定には矛盾を感じます。
アッテストゥパンを何度も見たという証言や、ペレの両親の死や、そもそも去年のメイクイーンとは?
???
作品内の嘘にしては上手くない感じがする。
アリ・アスター監督の世界
Netflixで配信開始したので出遅れて初鑑賞。ヘレディタリーはトラウマ級のホラーで良くも悪くも印象に残る傑作でした。
本作はホラー映画と呼んでいいのかわかりませんが巷のホラー映画よりよっぽど怖い。ゆっくりしたカメラワークにヴァイオリンの不協和音が聴こえるともうアリ・アスター監督の世界に引き込まれます。
よくわからないところ、ちょっといらないんじゃないかというシーンもありました。それでも全体に漂う不気味さや怖さは他の監督には出せないと思うなぁ。早く監督の新作観たいです。
フローレンス・ピューさんはブラック・ウィドウでブレイクしそうですが、こんな役もやってたんですね。演技力あるわ。
もう見ない
恋愛映画だけど、彼氏と見に行くと別れるとかいう噂を聞いたのでわくわくして見に行きました。
確かに恋愛映画。しかも結構リアルでロマンチックさなんて1かけらもない恋愛。そこら辺にありそうな感じ。(だから別れるって噂されたのかなって思った)
男は男の良くないところ、女は女の良くないところがまんま見えるような感じです。
最後のシーン、良かったね!と悲しいな…に分かれると思ったんですけど、私はディレクターズカット版なのでちゃんと彼の悪いところが見えてるのにもかかわらず悲しいと思ってしまいました。
メンヘラなのかもしれない…
とにかく疲れます。映画館で見たんですけど、本当にずっと画面が明るいし、
急にグロテスクだしでええええうわあああまぶしいしいいいいってなって
最後頭痛かったです。頭痛薬のみました。
お話し的には本当に作りこまれていて、「ここおかしくね?」ってところが見当たらなかったので、本当にお話し的には面白いけどもう見ません。疲れました。
究極の解放
ディレクターズカット版を公開初日に鑑賞。
不穏な雰囲気の中、花々や衣装など彩りの美しさに心を少しずつ乱される。
話が進むほどに足元からぐらぐらと揺らされるような感覚、主人公達が口に運ぶ、何かのハーブを混ぜた妖しげなティーを自分も飲み下している気すらしてくる。
観終わってから暫くは、自身もトリップしたような心持ちが続いた。鑑賞後にこんな気持ちになったのは初めて。
アリ・アスター監督ならではの意味深なカメラワークが多い。グロなどショッキングなシーンもあるが、ホラーというよりは「別離と再生、一種の希望」を描いた(特殊な人達の)ヒューマンドラマのように感じた。
ホルガ村にとってはどの死も意義のあるもので、強盗殺人や通り魔・銃乱射のテロ行為などで理不尽に命を奪われることはないんだろうな…少なくとも今回犠牲に選ばれなかった村人達にとっては。
2時間50分の尺でも長いと感じる事はなく、ぐいぐい引き込まれる。むしろもっと長くてもいいから、ホルガ村の人々が普段どんな暮らしをして穏やかに幸せな日々を送っているのかを見せてほしかった。
カルトなりの歪んだ幸福…そんなものはないのかな…?
常時トリップして正気を失い続けていないと、
カルト集団の中では暮らせないのかもしれない。
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