「心のど真ん中に突き刺さった」砕け散るところを見せてあげる R41さんの映画レビュー(感想・評価)
心のど真ん中に突き刺さった
集団 誰かの言動に違和感 どっちのグループに入りたいのか どこでも目にするいじめのようなものの数々…
小中高と、一体どれだけのいじめのようなものを見て、見ぬふりをして、時に参加して…自分に嘘をついてきたのだろう…
この物語の前半で、ようやくこれは拓海くんの父の人生を再生していることに気づく。
父である主人公と似たような年代は皆幼いときはヒーローが大好きだったし、ヒーローになりたいと思ったものだ。
高校の時も、現実というお化けにおののきながら、逃避の感覚でヒーローへの憧れを抱くのは、当時では一般的なことだったのかもしれない。
作品のストーリーはかなりヤバイ展開へとなるが、そのプロット上のことや父の人生を描くうえで必要なことだとは思う。がしかし、個人的にはただのDVと義母の監禁を発見した程度でやめても良かったのかなと思った。
心の物語から現実の物語となってしまうところで、熱くなった気分が引いてしまうのだ。
遺伝なのか、拓海くんもまたヒーローになりたいと思っている。それがどんなことなのか彼自身まだよくわかっていない。母から見ればちょうど当時の父と同じ年頃だ。
彼の変化を父と同じ状況として描くのか、また別のことで描くのか、そのヒーローへの入口を描いてほしかった。
私が冒頭で書いたことは、あの時、大多数のひとりとして何もしなかった自分自身だ。些細な勇気が、できなかった。
暇先… そんなしっぺ返しを予想して、何もしないことを選択した自分がいた。
いまそれは出来るのだろうか?
この自分への問いかけと同時に涙が溢れてきた。できなかった自分への許しと些細な勇気を出すことへの誓いの涙だ。
小さな勇気、あの時必要だったこと、その他大勢になりすましてしまったこと…
UFOは玻璃が現実逃避で使っていた例えだが、主人公はそれを上手に逆手に取ったことで、彼女の日常は変化する。自分の力を取り戻してきたのだ。
蔵本玻璃という名前を捨てたとき、実際にはにそれはもっとあとだが、あの彼女の家での出来事の中に蔵本玻璃という人間も置き去りにしてしまったという主人公の謎の勝手な思いが、独自のヒーロー像となって河の中で砕け散ったことを描いている。
しかし、そのことは息子にも妻にも誰にも知られていない。
では、タイトルは誰に向かっていっているのだ?
知ったのは、視聴者だ。
彼の生き様は、アニメのタイガーマスクの伊達直人に重なる。
つまり主人公は我々に、この物語を通して、ヒーローとして全うするとはどういうことなのかを教えているのだろう。
そして私も「ヒーローになりたい」 そんな生き方をしたい。