劇場公開日 2020年10月9日

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「望んだ結末とは?」望み MARさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5望んだ結末とは?

2020年10月17日
PCから投稿

泣ける

ケガでサッカーを挫折した高校生の息子持つ両親と受験を控える妹。行方不明になり、殺人事件に関与していると疑われる息子に対する、家族それぞれの望みを描いたドラマ。

親しかった少年が殺害され、その加害者と疑われる息子。しかし間もなくして、もう一人少年が殺害されたとの情報が入る。行方不明の息子は本当に加害者なのか、或いは…。

実力派キャストで彩られるサスペンスドラマ。
加害者か被害者かわからない行方不明の息子に対する、父親、母親、そして妹と、家族それぞれの思いがズッシリとのしかかってくる作品。

当然、本当に本当の望みは家族皆一緒のはず。
しかし、浮かび上がってきた状況からは、どう転んでも最悪になることは粗間違いない。

そうなったときに、息子がどうなっているのがせめてもの最善となるか、この点での家族それぞれの望みの違いが、なんとも言えず心を締め付ける。
勿論父親だってそんなことは望んでいない。しかし確かに、現実的に目を逸らせない問題が山積みになるし。。

妹さんもね。「わからない年齢じゃないでしょ」って、確かにわかりはするだろうけど、それは14、5の女の子が背負うには重すぎる。一番可哀そうだったかな。
車内で父親にぶつける本音はリアル。ベストシーンを挙げるなら敢えてここかも。

…等々、様々な人物の望みが微妙に異なっているので、少しずつ事実が浮かび上がってきても、それが好転なのか悪化なのか何とも言えず、どんな気持ちで観ればよいのか…。
良い意味で混乱させられっぱなしだった。
殺害された少年の葬式に行こうと家を出て行ったシーンとか特に。二人の表情が対照的。

そしてマスコミはまた意気揚々と…。
映画じゃなくて、リアルの世界でも本当にこんななんですかね?

とにかく、涙なしでは観られない良作でした。
映画でそんなに泣く方ではない自分も、友達のお爺さんと建設の社長さんが来たシーンで遂に崩壊。場内もすすり泣く声がちらほら。

私は子供はいませんが、もしいたならば、それでも間違いなく友達思いで勇気のある子になってほしいと望むでしょう。

邦画はホラーとコメディしか名作はない、なんて思っていた私も、もっと邦画を観ようかなと思わせてもらえた作品だった。

MAR