「女性の権利がまた一つ覆された!!」17歳の瞳に映る世界 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
女性の権利がまた一つ覆された!!
2022年6月25日。
アメリカの連邦最高裁が人工妊娠中絶を認めた過去の判断を覆した。
この映画は望まぬ妊娠をした17歳のオータム(シドニー・フラナガン)が、
秘密裏で妊娠中絶をするために、親の同意なく中絶できるニューヨーク市を
目指して従姉妹のスカイラー(タリア・ライダー)とペンシルベニアの住む田舎町から、
ニューヨークまで乗合バスを乗り継いで旅するの珍道中を、シリアスに描いた
映画です。
若い女子ふたりのはじめての都会ニューヨークの旅路。
2人に会話はほとんど連絡事項のみの素っ気なさ。
目的が目的ですから、楽しい訳もなく、オータムは不安でいっぱい。
お金だってギリギリ。
そして想定外のことが起こる。
妊娠10週とペンシルベニアのエコー検査で医師に告げられていたのに、
ニューヨークでの再検査では妊娠18週と判明したのです。
そのため危険を回避するため、中絶には2日間が必要と言われる。
費用も健康保険を使うと親に医療費の明細書が送られる。
オータムは、頑なです。
どうしても親に知られたくない。
ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した本作品は世界中から高い評価を受けています。
2021年(アメリカ)監督:脚本:エリザ・ヒットマン
アメリカの田舎町のどこにでも居そうな17歳の少女ふたり。
感動したのは従姉妹で親友のスカイラーの頼もしさ。
予期せぬ出費がかさみ、オータムに、
「お金どうしよう?」と聞くと、
帰ってきたオータムの言葉は、
「うるさい!!」
(オータムの言葉、ちょっとショックでしたね!!)
でもスカイラーの機転と優しさなしに、このニューヨーク2泊3日(0泊3日かなぁー?)は、
成立しなかった。
友情と思いやりの深さ!!強さ!!
スカイラー本当に頼もしい!!
そしてニューヨーク州の望まぬ妊娠中絶を支える福祉(費用を補助する民間基金やボランティア)
の手厚さ。
そしてカウンセラーのケリーの優しさ。
この映画の原題は、「N ever Rarely S ometime A lways 」なのです。
つまり「一度も!めったに!ときどき!いつでも!」
カウンセラーのケリーの質問票にその4つの言葉で答える様に言われます。
「暴力を振るわれたことが、ありますか?」
…………R arely(滅多にない)
「コンドームは付けてもらえないことがありましたか?」
…………S ometime(ときには)
「相手に脅されてsexしたことはありますか?」
…………オータムの瞳に涙が溢れて、答えられない…………
本当に辛いことは言葉に出せない。
福祉のお世話にはなったけれど、17歳ふたりがチカラを合わせて、
世界中どこにでも起こりうる《女の子たちの危機》に《女の子だけ》で立ち向かった映画です。
闘う価値は立派にあったと思います。
前述の通り、
2022年6月25日。
アメリカの連邦最高裁が人工妊娠中絶を認めた過去の判断を翻す判断を示した。
どうして女性の権利は守られないのか?
中絶は女性の悲しい権利です。