「静かな映画。観て感じよう考えよう」17歳の瞳に映る世界 CBさんの映画レビュー(感想・評価)
静かな映画。観て感じよう考えよう
田舎の高校生が妊娠してしまったので、親にも秘密のまま、いとことふたりで親の許可なく人工中絶できるニューヨーク州に出かけていって堕胎する話。日帰りでできると思ったのに、いろいろな妥当な理由から2泊3日がやむなき状態になって、苦労する話。
会話は、きわめて少ない。「彼女の "瞳に映った世界" をカメラを通してあなたたちも観てくれ」ということなのだろう。自分も任せて、たゆたった感じ。
男性として観た方がいい映画だったなあとも感じた。彼女たち二人に関わってくる男性たちのあからさまな性的欲求(バイト先店長、露出狂、ナンパ青年)。そういうものに常日頃から晒されているんだという立場を共有することから始めよう。相手を理解するってこんなことから始まるんだろう。
とくに印象的なのは、中絶手術に割く時間の長さ。そして手術の前後でのカウンセラーとのやりとり。その一言一言が、「『子は宝。中絶なんかするな』なんて簡単に言うな」という気持ちを自分の中に生まれさせる。「それがあなたの選択ならば、どんな理由でもいい」という言葉。しみる。「なぜ妊娠した」という謎解きなんかではないことに、ほんとうに大切な意味があると感じる。
田舎(ペンシルベニア州)と都会(ニューヨーク州)の考え方の大きな違いを際立たせ、どちらであるべきかを俺たちに考えさせる。
う~ん。とにかく観たままをこちらに提示し、こちらが考えることを強要するわけではないが静かに期待しているような感じがする映画。
老若男女、すべての人に一度は観てほしい映画。エンターテインメント性は期待しないでほしいけれど、普通に最後まで観られると思います。
おまけ
おお、アメリカでもカラオケボックスは当たり前なのか!
CBさん
コメントを有難うございます。
「老若男女」そうですね。中でも今恋愛関係にある人、これから恋愛をするだろう若い世代の子達に観て感じて貰いたい作品でした。
多くを語らない少女の瞳に溢れた涙が印象的な作品でした。