「Never Rarely Sometimes Always」17歳の瞳に映る世界 よしえさんの映画レビュー(感想・評価)
Never Rarely Sometimes Always
わたしは妊娠した経験がない。
ないから分からない、とまでは言わないけど、この映画を見ても当事者感は薄いかもしれない。ただ、望まない妊娠をしたかもしれない、という不安感はよく分かるし、その先も想像はつく。特に自分の行為に責任を負わせるほどにはまだ大人になりきれていない少女にとって、それがいかに大変なことかと考えた時、男という生き物の無責任さと併せて、空恐ろしくなる。
『17歳の瞳に映る世界』この邦題は、この映画が描き出す現実に対してあまりにも詩的すぎはしないか。原題の"Never Rarely Sometimes Always"が突きつける現実性に対して、やや逃げのような、と言って悪ければ斜に構えたカッコつけ感がある。
映画はいつの時代もそれほど違いはない、10代のセックスに対するリアルを嫌というほど描き出している。男はいつだってヤリたいだっけの生き物だし、なお悪いことに「女も同じはず」という共犯者めいた幻想を抱いている。女はともすればそれではすまない、場合によっては不可逆的に人生が変わってしまうかもしれないリスクと隣合わせだというのに。
願わくば、望まない妊娠という過酷な現実の中で、この映画のように少しでも救いがあらんことを。
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