「最初から最後まで相手のことは出てこない そのことが、オータムのどこ...」17歳の瞳に映る世界 yukarinさんの映画レビュー(感想・評価)
最初から最後まで相手のことは出てこない そのことが、オータムのどこ...
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最初から最後まで相手のことは出てこない
そのことが、オータムのどこかに影を落としたような雰囲気をさらに濃くする
未成年者は両親の同意がなければ中絶手術を受けられない
育てられないなら、養子が斡旋される
そして、中絶を匂わせると、それがいかに残酷かというような映像を見せられる
それが当然の世界がオータムのいる世界
そんなどうにも出来ない状況で、お腹を自分で殴り続けるオータムの気持ちが痛かった
男性になにか恨みでもあるのかというくらい、出てくる男性がどうしようもない人ばかり
オータムの父、バイト先の店長?、NYに向かうバスで出会った男性
でも、そのことがオータムとスカイラーが、過酷な選択をするしかない世界を作っている気もした
誰も信じられない、自分たちでなんとかするしかないという世界
何日かかるのか分からず、泊まるところの手配もしておらず、お金も十分に持っておらず、どう考えても邪魔にしかならないスーツケースを引きずって
長距離バスを乗り換えてNYへ向かうふたりの過酷な選択
そして、原題にもなっているカウンセラーの質問
最初は淡々と答えているオータム
それが、相手からの強制や暴行に関わる質問になってくると、言葉に詰まり、涙が溢れる
観ている側は、語られない妊娠の経緯、相手のこと、そういう全てを察し始める
色々な困難を超えて、無事に中絶手術を終え、帰途へ着くふたり
大仕事をやりきって、うとうとし始めるオータムの表情を見ながら、少し安心しつつも、妊娠は中絶という形で終わりを迎えたけれど、実際はまだなにひとつ解決してなどいないのだと気づく
あまりにも過酷な彼女たちの日々がまた始まるだけだと
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