「この世界をあなたの瞳にも映してくれ」17歳の瞳に映る世界 デブリさんの映画レビュー(感想・評価)
この世界をあなたの瞳にも映してくれ
17歳の瞳に映る世界、めっちゃ過酷。夜が夜というだけでハザードで、朝が来るとほっとした。
出てくる男性キャラがそろってクズなので、いくらなんでも極端な描き方だと思う人もいるかもしれない。でも私の瞳に映る世界も、わりとこんな感じだ。ここまで高密度にひどいことがつまった日常ではなかったけど、似たようなことがもうちょっと少ない頻度で起きる日常を、私も若い頃には送っていた。
バスで乗り合わせてしつこくライブに誘う線の細い若い男。こういう人は本当にいる。結構いる。金に困った“女”を見つけるとラッキーと思う人。金に困った“人”を見てそんなふうに思うのがどうかしているってことに気づく日はきっと来ない。自分が何をしたのか永遠に知ることがない、幸せな畜生だ。
駅の丸い柱を挟んだオータムとスカイラーのシーン、いろんな感情がかき立てられて泣けてくる。
スカイラーが不自然なぐらいオータムを助け寄り添うのは、彼女自身が誰かに助けてほしい寄り添ってほしいと何度も願ってきたからだと思う。彼女に彼女がいてくれて、本当によかった。パン屋でパンをちぎって分けて食べながら「ダンゴムシみたい」と笑い合うシーンも、心に残る。
原題の「Never Rarely Sometimes Always」も秀逸。
NEVER
RARELY
SOMTIMES
ALWAYS
とスクリーンに縦に並んで表示されて、後でこのタイトル通りのセリフが出てきたとき、この無機質な選択肢を目の前に並べられた17歳の回答やリアクションに、歯がみした。
好き、というのと違うけど、忘れがたい映画。
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