ストレイ・ドッグのレビュー・感想・評価
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愛する男と娘のために戦う女の姿
因縁の犯人を追う女刑事エリンを、ニコール・キッドマンが演じる。
老け&死にかけのメイクを施しているので、キャッチーさは皆無なのだが、若い頃の回想シーンではやはり美しい。
内容はといえば、昔のパートナー(娘の父親)を殺された個人的復讐と自らの犯罪の隠匿のため、相棒の刑事をふりきり、1人で非合法捜査を行うエリンの姿を追うもの。
刑事の姿と並行して、非行に走りクズ男とつるむ娘との関係修復に奔走する母の姿も描く。
身も心も捧げた男と、その男との間に遺された娘への「愛」を描こうとしていたのは伝わってきたが、常に怒りと暴力に支配されたエリンの姿は、刑事や母というより、アウトロー・犯罪者のそれに近く。
感情移入しにくかった。
紫の毒
17年前に未解決となった銀行強盗事件の後始末をする為に、当時の主犯格を追う女性刑事の話。
首の後にタトゥーのある身元不明の射殺体、遺体の傍らにはゴースト銃と紫色の染料がついた100ドル札が見つかる事件から始まり、17年前の事件当時、FBIの潜入捜査官として事件に絡んでいた主人公の元に、紫色の染料がついた100ドル札が届きと続いて、17年前の経緯と現在の捜査とを、織り交ぜながらみせていく。
フラフラなのに荒っぽい単独行動の主人公のやさぐれ感が、重々しくて非情に良い雰囲気。
並行してみせる潜入捜査時代の様子も、どっぷりアウトローに染まっていてこれまた危なっかしく良い雰囲気。
話が進行して17年前の結末と、現在のボスへの距離が近付いて行くと、それまでの伏線がしっかり回収されていき結構意外な結末に。
まあ、もしかしたら程度では感じてはいたけれど。
サスペンスとしてみたら、ツッコミどころも結構あるけれど、ノワールドラマとしてみると、重々しさと、危なっかしさのあるストーリーに、家族の話までもが繫がって、なかなか面白かった。
キッドマンありき。
贖罪、例えば愛。例えば『ハートブルー』のように(意味合いはまるで違...
贖罪、例えば愛。例えば『ハートブルー』のように(意味合いはまるで違うが)葛藤し、例えば『レザボア・ドッグス』のように時間軸は入り乱れる複雑な語り口…かつ、親切設計。他にも様々な《L.A.ノワール》や70年代の刑事ドラマ等が頭を過る瞬間がある。直射日光下と夜、撮影や音楽(選曲)面での明確・明暗な《差》。圧倒的メイクも手伝って《ニコール・キッドマンの素晴らしい演技》・圧倒的熱演が引っ張る。セバスチャン・スタンも良い。宿敵・長髪のトビー・ケベルは若い頃 = ニルヴァーナ時代のデイヴ・グロールに似ていた。僕の好きなスクート・マクネイリーは思ったより活躍しなくて残念だった。ブラッドリー・ウィットフォードは流石の薄気味悪さで「エルボー!」と絶叫していた。正直、始終面白かったやすごく魅せられたというわけではないかもしれないが、脚本家チームやカリン・クサマ監督の手腕、そしてスタッフやキャストの熱量・献身によって、実に見応えのある作品に仕上がっている気がした。
P.S. オフィシャルサイトに監督の長いコメントまで翻訳して載せているのに、邦題変えちゃう辺り、笑っちゃうな。
勝手に関連作『ヒート』『ユージュアル・サスペクツ』『タクシードライバー』『預言者』『ナイトクローラー』『コラテラル』『フレンチ・コネクション』『セルピコ』『L.A.大捜査線/狼たちの街』『ハートブルー』『ロング・グッドバイ』他
今年映画館鑑賞58本目たぶん
スパイスが足りないかな
ニコール・キッドマン主演の「ストレイ・ドッグ」を見てきました。
本作品、さすがニコール・キッドマンと言う感じで、彼女の入魂な演技や役作りには脱帽しましたが、正直、私としては映画の内容としては、少しスパイスが足りなかったな・・・
色々な面で、お話の内容に意外性やそういう事だったとか、感心する部分もありますが、どうもな・・・・話が淡々として・・・・
また、シーン毎に、何とももう少しスパイスを加えて貰いたかったな・・・・
何とも、駄目な女刑事なのか・・・・どうして敬遠されるのか・・・・内容を深堀すれば分かるんだけどね・・・
私的には、見ていてなんか勿体ないな・・・・
絵の方も大変に良く出来ていたので、私としては決して内容が悪いと言う訳ではないないですが、もう少しメリハリが有っても良かったかな・・・
世界一ギャラの高い死体役
私は特殊メイクだと思ったけど、すっぴんだと書いていらっしゃるレビューも散見されますねぇ。見たことあるんですかね。すっぴん。実際、55歳での作品。30歳代と50歳ぐらいのひとり二役みたいなもの。酒浸りのおばさん刑事エリン。よれよれでした。それもそのはず。特殊メイクの死化粧。
娘は16歳。事件は17年前。娘の実父(クリス)が死んだのが、娘が7歳の時で、9年前。8年間ものあいだ植物状態だったのでしょうね。今の別居中の旦那のことも説明不足。ただの事実婚?クリスが死んだ時、気が動転して、親子で真冬の山に行ったらしいです。無理心中ですか?心の準備には充分な時間あったと思うし、変ですよね。この親子の唯一内容のある会話のシーンもとってつけたみたいで、ちょっと不自然でした。
子供の頃から悲惨な人生だったらしいが、そんなシーンもとくに挟まない。刑事だから立派な公務員です。喰うには困らないはずですね。囮捜査で悪党のアジトに潜入する。それも、いとこディフランコが仲間にいる。いとこは彼女が刑事なのを知らないのかなぁ?銀行強盗して金を横取りする計画。しかも、潜入中に相棒の後輩の若い刑事と仲良しになって、妊娠する。カラーインクボール爆発して、使えなくなった金に腹を立てたギャングのボスが銀行に戻ってしまったので、予定と異なる事態になった場合は刑事として行動するという打ち合わせ。追った相棒は簡単に返り討ちにあい、キレイな銀行員も撃たれてしまったのは・・・自業自得ですよね。アホか? しかし、懲戒にもならなくて、毎日二日酔いというか、酒の切れ間がないのに、クビにならないばかりか周りが気遣ってくれる。絶対、お気楽地方公務員ですよね。そして、ギャングのボスがカラーインクのついた紙幣を送りつけて来たからといって、単独で復讐しょうとするのもよくわからない。復讐するならもっと前でしょ。そうこうするうちに、再び銀行強盗が起きてしまう。
服役中に癌になって、情状酌量で出て来た従兄弟のベッドサイドのシーンも、奥さんが買い物に行ってる隙に何しとるんじゃ。さむーい。
アクションシーンもとくになし。
いい歳して銀行強盗しているおばはん(ペトラ)は憐れだったけどねぇ。
原題は Destroyer 、破滅型人生を描きたかったと思いますが、脚本がむちゃくちゃですよ~ よくもまあこんな映画作ったものだし、大女優が主役やるもんだ。
完全に晩節を汚しましたね。
邦題はストレイ・ドック 野良犬ですか。 なかなか苦心したんじゃないでしょうか。
冒頭にダイアーストレイツの曲がかかってたので、ストレイが閃いたのかも。
残念ながら、今のニコール・キッドマンには荷が重かった。
厳し過ぎる?
迷いと戦う姿に途方もなく涙が溢れた
辛口の評価はしたくないのですが…
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※ 25日 12時17分 誤字脱字修正
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今年43本目。
中には160本目という方もいらっしゃるのですが、通算でしょうか…。
1年で160本行っているとするとすごいですね。
tohoさんの鬼滅の刃推し推しはいつまで続くんでしょう…(この調子だと、来週公開分まで巻き込んで本数が極端に少なくなりそう)。
さて、この映画。いわゆる刑事ものに銀行強盗を絡ませたもので、ストーリー性として新しいような要素はなく(確立化されているので)、それだけに、「あっと言わせる新しいアイデア」であるとか、「音楽が素晴らしい」といったものでない限り、「出る人もストーリーも多少は違っても全部一緒」になっちゃいます。すでに同じようなストーリーの筋の映画はもう数多くあることは周知の事実なのに、この工夫があまりなかったのが残念です。
さて、それよりも。
私は基本的には下限は3.5でつけています。あまりに低すぎる評価は(積極的悪意がある映画でない限り)失礼ですし、どんなにまずいかなと思える映画でも「ここは良いところだな」という点は見つけられるからです。だからこその下限3.5です。
ただ今回は、その3.5を割らざるを得ない…と考えたのですが、加点要素を考えて何とか3.5まで持っていきました。
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減点1.0 … オープニングから10分ほど。「ストーリーに関係せず」突然に「大人の営み」が描写されます(ストーリーには一切関係しない)。それも「夜の営み」ではないのがポイントで(実際、日が差していることからするとお昼っぽい)、「夜にやるものではない」「ただのキスではない」と書けば、まぁだいたい何かわかりますよね…。
この映画自体はPG12なので最低限のグレードはついているのですが、土日の「コロナ特例解除」(全席座れる)もあり、家族で見に行くと確実に凍りますね、これ…。
しかも、「夜にやる営み」ではないので、お子さんが「映画でやってたあれ、僕/私にもやってよ」って言われると、親は苦労しそうです(「夜の」営みなら、「大人になったらね」で逃げられるので)。
なんでこう、ストーリーに関係のないものを入れるかなぁ…(入れなきゃいけないルールでもあるの…?)。
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減点0.5 … この映画、洋画で、元タイトルは「destroyer(破壊(者))」。これに対し、日本の映画は「stray dog(「のら犬」/慣用表現)」で、まったく違っています。この日本の映画のタイトルをつけたのは翻訳したほうの日本の会社のほうだと思うのですが、どうして全然違うタイトルにしちゃったんでしょうか…。
※ 外国・日本の文化の違いで、日本人が見てタイトルが理解しえないと考える場合に妥当なタイトルに差し替えることはあっても、今回はそれに該当せず、しかもこの2つは全く違うので…。
これ、数か月前だったか、フランス舞台で知的障害をお持ちの方を介護する無資格施設に政府が介入するという内容の映画(名前忘れた…)でも、「タイトルと日本語訳タイトルが乖離しすぎ」と言われましたが、そのときはフランス語だったので指摘する方がここでも少なかったのですが、今回は英語なので…。ちょっとこれ、いいんでしょうか…。
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減点0.2 … 上記に書いた通り、よくある「刑事もの」「銀行強盗もの」であるため、パターンは多少変わってもだいたいにおいて「パターン、展開」は似ているので、ややもすると他の方が指摘した「ニコール・キッドマンを見に行く(応援しにいく)映画だ」と言われても仕方がないように思えます…(しかも、上記の大きな減点要素もかなり痛い…)。
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加点0.2 … とはいえ、それでも「よくあるストーリー・パターン」で、そのままコピペして監督と主演だけ入れ替えましたではなく、ちょっと筋を変えたり物語の大筋(特に、クライマックスにかけて)を工夫したり、というのは見えました。これは評価できます。
また、英語表現(当方、準1持ち)もしっかりしていて(実は、一貫して文法ミスを含んで話す人がいる。これはそういう文法で育った、ということを意味するのでしょう。日本の国語に「言葉の乱れ」があると指摘されるように、文法ミスをする人はずっとするので)、その点は自然さを感じられました。
ただ、これ以上に上記の1.0の減点(突然、大人の営みが出てくる…)から、10分でまずドン引きするんじゃないかと思います…。
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全体的に見ると、日本では「鬼滅の刃」が放映され「すぎ」なため、それに飽きた人が(まぁ、やりすぎでしょうね…)見に行くことになると思うのですが、「積極的に」勧めるか…というとちょっとこの評価では…という印象です。
主人公に嫌悪感を覚える
既視感がある。ボロボロになりながら執念深く犯人を追う姿はダーティ・ハリーに似ているし、朱に交わって赤くなるストーリーは沢山の映画やドラマで観たし、思春期の娘が不良と付き合うシーンはもう観飽きた。
という訳で本作品の唯一の見処はニコル・キッドマンが推定三十代の女盛りとその17年後の更年期障害か始まっていそうな年増刑事をどのように演じ分けるか、ということになる。
しかし残念ながら上手くいったとは言い難い。若作りのメイクがそれほどでもなかったから、コントラストを際立たせるために逆に現在の見た目を酷くした感じなのだ。キッドマンにとってはチャレンジだったのかもしれないが、観る側にとっては醜いものを見せられただけである。
邦題の「ストレイ・ドッグ」は聖書の「迷える仔羊(ストレイ・シープ)」に因んで付けたのだろうが、典型的な思い込み先行のタイトルだ。原題の「Destroyer(破壊者)」の方がずっとマシである。
主人公エリン・ベル刑事は独善的で暴力的なクズ人間である。当然ながら感情移入できず、どちらかと言えば主人公の独善に振り回される周囲の人たちに同情する。これほど主人公に嫌悪感を覚える作品も珍しい。2時間がとても長く感じた。
良い映画
ニコル・キッドマンのやさぐれ振りが、なかなか魅力的な作品でした。
アクションが少なめなのが、ちょっと残念でしたが、そこは彼女の演技力でカバー…(笑)
キッドマン演じる主人公の過去は、なかなか訳ありで過酷そうなんですが、実際どんなもんだったんでしょうね…その反動振りがすごいだけに、そこ、気になりました(笑)
主人公をはじめ、各キャラの心理描写というか心象風景をもう少し丁寧に描いてくれれば、もっと深みのあるストーリーになったと思いました…物語設定が面白いだけにちょっと残念(ストーリー展開が少々安易な印象でした)。
最後のオチはややあっさり目でしたが、ちょっとびっくりでした…。
*ロッテントマトの評価は、2020年10月現在、73%フレッシュと高評価。ちなみに、一般の評価は50%とあまり高くない。
*予告編で、車のトランクに放り込まれて高笑いしていたの…キッドマンじゃ無かった!えっ?(笑)
っぽくない
ニコールキッドマンありきな作品
ニコールキッドマンが初の刑事役作品ということで少し期待して鑑賞したが、ニコールキッドマンの新たなる挑戦作品といった以外特に面白味を感じることはなかった。
冒頭から体に限界をむかえ心身ともにフラフラな状態のニコール演じるエリンの姿が描かれる。
そんな中身元不明の死体と出くわしその犯人は知っていると意味深な発言をし作品はエリンが犯人を追う展開から始まる。
その事件の背景には何やらエリンがいまだ尚トラウマとして苦しめられるなにか事件と関連してる事を匂わせられる。
このトラウマこそがこの作品の肝となるのだが、ありきたりな展開で非常に退屈に感じてしまった。
その内容も潜入捜査でともに捜査する捜査官に恋をし勤務内で殺されてしまう。それがトラウマの根であり、その恋人を殺した犯人を復讐する事に囚われている。
金を盗んだり、娘との関係性やエリンを苦しめる追加要素は他にもあるが、それらも非常にありきたりな印象を受ける。
結局描かれているトラウマ描写にそれ以上もそれ以下もなくそれらを2時間近くダラダラと描かれているように感じてしまった。
最終的に冒頭の身元不明の死体はエリンの恋人を殺した犯人で、その犯人を殺したのはエリンであった。
まぁこの最後の最後に時系列をいじる展開は予想はしてなかったが、特に驚かされる事もない。
ニコールキッドマンの迫真の表情や演技には一応それなりに惹きつけられたが…作品全体としては個人的には退屈な作品であった。
ニコールで驚愕し、ジェイドに惚れた。
いつもの美しさをかなぐり捨てたニコールの狂演が凄まじい
ロサンゼルス。河べりで射殺体が発見される。襟首にタトゥーのある被害者の身元は不明、死体のそばには凶器の拳銃と塗料の滲んだ訳アリの紙幣。LAPDの刑事エリンはギャングのボス、サイラスが街に帰ってきたと確信、単独で捜査を開始する。その執念は17年前に担当した囮捜査に端を発していた。
ポスタービジュアルではほぼ判別不可能ですが主演はニコール・キッドマン。この間観た『アクアマン』では超絶キュートだったのに、本作ではすっぴんで皺だらけのやさぐれたアラカンのお婆さん。そんな姿でLAの街を彷徨う現代に17年前の物憂げで美しい姿がフラッシュバックする構成で、ニコールを知らない人は同一人物が演じているとは気づかないかもってぐらいの別人。そんなニコールが過去と現在であんなことやこんなことを臆せずやってのける姿に『デイズ・オブ・サンダー』の昔からニコールに焦がれ続けている者としてはお願いだからそれはやめて(;´༎ຶД༎ຶ`)!と叫びたくなるくらい切ない。そんな感じで心を掻き乱されながら物語に引き込まれているところに1つ2つと伏線が放り込まれて、それはどういうこと?と首を傾げているところでドカーン!と卓袱台が盛大にひっくり返されるとんでもない展開に・・・この脚本書いた人、天才ちゃうの?先のあらすじは勝手に観客が想定していることで、いやいやそれはあなた達が勝手に決めたことでしょ?とばかりにシレッと叩き捨てる、これはスゴイ。これはしてやられた!と呆気にとられているところに訪れる静寂なラストシーンがセリフでは一切語られないエレンの決断を暗示して終幕、これはとんでもないです、傑作です。
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