ディエゴ・マラドーナ 二つの顔のレビュー・感想・評価
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マラドーナとは一体、何者だったのか。
フットボールについて無知な自分は、マラドーナに関しても、メディアが報じてきた少々エキセントリックな言動だけが知識の全てだった。そんな私が言うのもあれだか、このドキュメンタリーは何もフットボールの専門的な知識を必要とする作品ではない。かと言って、私のような素人に彼の偉大さをゼロから啓蒙するものでもない。作り手が注目するのは、マラドーナがナポリに移籍してからの数年間。前人未到の快挙、W杯で生じた摩擦、さらにはマフィアとの親交や薬物依存など、熱狂と喧騒に身を晒しながら疾走した期間を、臨場感あふれる記録映像や証言と共に紡ぎ出す。そこを貫くのは「人間ディエゴ・マラドーナ」を真摯に見つめる視点だ。光と影、栄光と挫折のイリュージョンを取り払うことで、そこには笑顔の愛らしい一人の「人間」の姿が浮かび上がってくる。映画が終わる時、彼の人生をもう一度じっくり紐解いてみたい気持ちが初めて、純粋に込み上げてきた。
神と崇められたスター選手の光と影。その素顔に迫る貴重な映像
思えば、1986年ワールドカップ・メキシコ大会の対イングランド戦でのゴール前ハンドによる「神の手」の1点目と、爆発的なドリブル突破による「5人抜き」の2点目は、マラドーナのダークサイドと栄光という二面性を見事に象徴していた。本作はマラドーナがイタリア・セリエAのナポリに在籍した84~91年の時期を中心に、その波乱万丈の生涯と知られざる素顔に迫ったドキュメンタリーだ。監督は「AMY エイミー」でアカデミー長編ドキュメンタリー賞受賞のアシフ・カパディア、製作国のイギリスをはじめ欧米では2019年に公開された(マラドーナは昨年11月に死去)。
マラドーナの代理人だった人物が80年代にカメラマン2人を雇って撮影したフッテージなど、500時間にも及ぶ未公開映像から選りすぐりの場面を編集。ゴール裏から神業を間近にとらえた迫力満点のシーンから、ガールフレンドとテニスに興じるリラックスした姿をとらえたオフショット、さらにはドラッグの影響をうかがわせるうつろな表情まで収められ、本人の協力を得ながらよくぞここまで踏み込んだと感心した。マフィアとの交友や薬物使用などのダークな部分は反面教師として受け止められるべきとはいえ、やはり悲しいものがある。
天才の宿命
個人的にはクストリッツァ監督のドキュメンタリーの方が好きです。世界で有名になる天才は、天才であるが故に、周囲から色々とたかられすぎて(周囲はたかっているつもりはないかもしれませんが)お金、才能、人間関係、まともなメンタルを無くしてしまうのかな。マイケル・ジャクソンもそうですが、天才の宿命を感じました。
僕はこの「寸止め感」はWELCOMEです。
サッカー好き(観る方)、マラドーナのプレーには魅了されるけどファンというほどではない、けど観ないわけには行かないドキュメンタリー。ってことで鑑賞。
題名のディエゴとマラドーナの間の線、フォントの違い、色違いはそー言うことですよね。
非常にわかりやすく構成されている作品です。二つの顔、確かにね。確かに光と影がありますよね。
この作品からは、稀有な存在であったディエゴ・マラドーナへの敬意しか感じませんでした。
ある時期に焦点を合わせて描くことにより、非常に濃密なドキュメンタリーとなったと思います。
今まで聞いたこともないような本人肉声や関係者の話、見たことがないような写真や映像。それらがマラドーナの人生を深掘りしていき、ストーリーを浮き彫りにしていきます。
マラドーナが「神」になった期間に焦点を当てているからこそドラマティックになっていると思います。そりゃぁ神様扱いされるよなぁってすっごく納得します。
大体知っているけど、細かなことを知らないマラドーナの入門編にもってこいの作品です。
マラドーナの人生のドキュメンタリーですが、イタリア サッカー文化の凄まじさ、熱さをバシバシ感じることができます。ナポリのスタジアムに初めてマラドーナが来た時の熱狂は凄まじいです。ピッチに行くまでの映像、ピッチに立った時の映像が使われていますがすごいです。
映像見ただけで、僕は押し潰されそうになりました。ただごとじゃないです。なんとおそるべき世界に、境地にいたのか、と驚きます。このプレッシャーに彼はどう太刀無方のだろうか?なぁんて考えちゃいました。彼を取り巻くサッカー文化の環境というところも観れますから非常に興味深いです。
マラドーナのフィジカルトレーナーのセリフが全てを物語っていました。
けど、そうならざるをえなかったのでは?とも思います。
ディエゴ・マラドーナは神様じゃなくって人間ですから。
15歳で家族の大黒柱になった男が、中身そのままで大人になって、大好きなサッカーやって稼いでたら、いつのまにか神様扱いに。。。どんどん辛い表情が増えていく映像を観ていると辛くなってきます。そりゃ、バランスとれなくなるよなって、やったことはよくないけど同情します。
その辺りはぜひ劇場で観て欲しいなぁて思います。
本作は前述したように「ある期間」に焦点を当ててます。マラドーナの人生の約6分の1の期間です。
選手時期の晩年、人生の晩年のマラドーナの醜聞は沢山あります。そこを描いてこその「ディエゴ・マラドーナ」という作品なのかもしれませんが、僕は「ディエゴ(と)マラドーナ」が生まれた時期を描いた作品だからこそ大きな意味があると思いますし、最高の光と影の始まりを作品としてまとめた本作は素晴らしいと、とても意味がある作品だと思います。
秀作ドキュメンタリーです。
これこそドキュメンタリー
・対象に密着
・充実した内容
・独自の資料をもつ
という点で、非常に優れたドキュメンタリーだと思う。
何度もマラドーナ本人からのコメントが入るし、話をナポリ時代に限定しているので内容がとても濃い。
時系列に沿っていて分かりやすいし、最初から最後までダレるところもなく、一気に観ることができる。
事情通の人にとっては、「誰も知らない」人生でも何でもないはずだが、セリエAやプライベートの映像を含めて、自分としては初めて観る映像に満ちていた。
映画は、バルサ退団と1984年7月のナポリ入団から始まって、6シーズン半の後のナポリ退団で終わり、そこに幼少の貧困時代と後日談が付け加わる。
このナポリ時代は、アルゼンチン代表も含めて、マラドーナの絶頂期である。
庶民派のマラドーナには、お高くとまったバルサよりは、ナポリという土地によほど水が合ったのであろう。
「10番」が活躍して、W杯優勝と、「イタリアの下水」と侮辱された弱小チームが欧州制覇をなしとげるという、絵に描いたようなストーリー。
同時に、マフィア(カモッラ)とのつきあいとコカイン摂取、認知拒否の子の誕生という凋落期でもある。
サッカーの映像を観ると、身体がどんどん肥満してくさまが克明に分かる。
そして、W杯準決勝でイタリアを破ったために、“情実主義”のイタリア社会からの攻撃にさらされてしまう。
英雄が一気に転落していくという、これまた、絵に描いたようなストーリー。
そのすべてが、映像を伴って紹介される。
もっと評判になって良い映画であるが、もうマラドーナも“過去の人”となったということだろう。
ガッツポーズがこれほど似合うサッカー選手もいない、と思った。
マラドーナ。あんた分かり易すぎ。(サッカーファンで無くても鑑賞に耐えうる。ただ少し長いかな?)【最後、尻切れトンボ、すみませんです。】
ノンフィクション記録映画、80年代の人々の鼓動が聞こえそうだ。ただ観客が土曜日午後にもかかわらず大スクリーンで5名だったのが悲しい。パンフレット値段の割に薄すぎる。コレも悲しい。
映像上。若い人、テニスルックのパンチラおねえさんも、今は爺さん婆さんになってしまっているねぇ。そう考えると感慨深い。
記録映像として普段サッカー見ない私も、(年齢バレるが)ペレとマラドーナとベッカムくらいは知ってるので興味深い。
サッカーを見るというより、マラドーナの生き様だねぇ。今はいいお爺ちゃんみたいだが、決して立派な人生とまでは言えない。そこがこの記録映画のいいところ。ただ、プレーでは低身長にもかかわらずよく頑張った。
あと当時の熱狂というか風俗というか独特の80年代を思い出した。後述の憎しみの垂れ幕なんか、明らかに道徳的に今じゃ通用しない。
で今でもやってるのかなぁ?
マラドーナ。アルゼンチンの超貧困地域出身。地元のクラブを経て
スペインのバルセロナの後イタリアのナポリに所属。セリエA優勝に導き、
それ以前のメキシコワールドカップでは明らかなズルのインチキ「神の手」ハンドゴール
と、超人的な「5人抜き」ドリブルゴールの表と裏で大活躍し、アルゼンチン優勝に貢献。
まあ全てこのイングランド戦の「神の手」のスポーツマンらしからぬズルと、5人抜きゴールの超人的な活躍が
彼の全てだねぇ。象徴している。
当然、豪華な住まいに車、いい女とSEXもし放題。美酒美食酒池肉林のあとは、マフィアとヤク、コカイン。
これは土地柄もあるのだろうけど、クラブチームの方で教育しとらんのやね。映像見る限り。
あと欧州のサッカーファンは今は知らんけど、映像ではちょっとモラル低すぎ、
この作品、昔の映像の組み合わせだから、映像が、それぞれバラバラに劣化している。逆にいい味出している。
それとこの人の人生程わかりやすい人なかなかいない。英雄であり嫌われ者。
元の貧乏なアルゼンチンの子供時代を思い出せばいいのにと思うがそうもいかんのだろねぇ、特にコカインとかヤクは超気持ちいい、高揚するらしいからねぇ、一度手出したら最後だね。
熱心なサッカーでの努力と裏腹に、若すぎるうちから世に出た人にありがちな、ゆるさ、自分への甘さが見えすぎ。
イタリアでのワールドカップ、しかもナポリ?でイタリア相手に戦って勝ったのはしんどかったろうけど、言い訳にならない。罵声を浴びてもね。
良くも悪くも人間臭いというかわかりやすいねぇ。落ち込み方が。
この作品、昔の映像の組み合わせだから
ドキュメンタリー映画としてはつまらない
アルゼンチンだけでなく世界中のサッカー選手のレジェンド、マラドーナのドキュメンタリー映画。
一応現役で活躍しているマラドーナを知ってはいるが、サッカーをちゃんと観るようになる前だから印象はやや薄い。むしろ悪い話が聞こえるようになってからの印象の方が強いくらい。
だからバルセロナからナポリに移籍したときの歓迎ぶりや大騒動は初見だったので度肝を抜かれた。実際のサッカープレーは細切れなので若干わかりづらいが、それでもその凄さは伝わってきた。今と違いディフェンスのプレスが甘いのでゆったりした感じだけど、それでも凄かった。弱小のナポリをセリエAで2回も優勝させたのはマラドーナなくしてはあり得なかった。実際優勝はその2回しかないのだから、ナポリで神扱いされるのもわかる。
ただ、ドキュメンタリー映画としては序盤と終盤が退屈すぎた。サッカー少年としてのディエゴと、プロサッカー選手としてのマラドーナの2つの顔?コカイン依存や女性との浮名は全員のプロサッカー選手がやってるわけではないし、言い訳にもなっていない。だから社会復帰したとか家族との関係性とか、そういう部分で心に響くものはなかった。
神と悪魔に愛された天使
プラティニが好きでしたが、シューズはPUMA。そんな中学生のサッカー部時代。日本はまだまだサッカー発展途上だったので、マラドーナは現実味の無いバケモノの様な存在でした。丁度そんな頃のドキュメンタリー。
程々に知っている前提で観るものだとは思いましたが、推したり推されたりの狂喜乱舞は昔から変わらずあり、その圧力に己れ自身が変質してしまうのもまた不変。絵に描いた様な天国から地獄への紆余曲折に触れて思うのは、「全てを押し付けるのは如何なものか」だった。物悲しいというよりかは、憤りを禁じ得ない感じ。勿論、見せられない弱さから繋がってしまった関係を、良しとは言えないのだけれども。
まぁ、そんな事も思ったりではあるのだが、単純に一人の人間が果たした栄光と発展の一時代を眺める物語としても凄い。ドキュメンタリー映画としての完成度云々ではなくて、やっぱりバケモノなんですよねこの方は。凄すぎて笑ってしまいます。
地球レベルのカリスマに触れてみて、日本を振り返ってみるのも一興かもしれませんよ。
―合掌―
マラドーナ全盛期の貴重映像集!
マラドーナの幼少期から94年W杯までを膨大なVTR映像でふり返るドキュメンタリー。
スター選手「マラドーナ」としての顔と近親者が呼ぶ「ディエゴ」としての顔、というテーマはなかなか面白いが、結局は試合映像およびパパラッチやジャーナリストが撮ったスター選手としての映像が大半。
近親者から提供されたと思しき映像がもっとあれば「二つの顔」的テーマも成立するだろうが、残念ながらタイトル一人走り的印象は否めず、せめてマラドーナが元気な時に撮影された本作の為の映像などがあれば、また違った印象の作品にもなったかも知れない。
それでも130分ものボリュームで彼の全盛期であるイタリアSSCナポリ時代を中心とした映像がふんだんに観られるのはファンであれば至福の時間だろうし、なんなら「プライベート映像など要らないから良かった」という人も間違いなく存在する訳で、これはこれでいい。
また、93年のJリーグ誕生まで各学校サッカー部員以外、国レベルで全くサッカーに関心が無い時代を経ての90年代にわかサッカーファン日本人としては、映像中あれだけ蜜月を築き全盛期を迎えたナポリとの溝が鮮明になっていく過程におけるマラドーナのコメント映像など、リアルタイムでは見られなかった貴重映像ばかりなので、観ているだけで非常に興味深い。
そして、ずっと破天荒なだけの人だと思ってたけど、誰よりも家族思いだと確信出来たし、誰よりも優しい人。
浮気で子供が出来てしまい凹むマラドーナの表情は正直者そのもの!!
亡くなる前から本作公開を楽しみにしてたし、観たあとスポーツニュースか何かを観て「マラドーナ元気だなぁ!」って思いたかったが、今は、ただただ、合掌。
裏も表も伝説
今観ても、1986年のW杯5人抜きは、芸術的ですごかった。
わくわくしたね。
本当に伝説級のすごいプレイヤーだったと思う。
一方、依存症を治療後のマラドーナ自身が語り、また当時のトレーナーなどの証言を交えているので、シャブ漬けになった経緯が生々しいったらありゃしませんでした。
スペインでコカインを覚え、ナポリのマフィアにビジネスの広告塔として利用されつつ裏でシャブで操られたと。
事細かに追われていて、なるほどと。
ただ、監督のディエゴ愛が強いのか、ナポリを辞めたあとは引退したみたいな美しめな終わり方で、突然2004年の精神治療後に飛ぶのは、どうかとも思いました。
ナポリはイタリアではない?!
ミュージシャンのドキュメンタリー、伝記映画と同じく、栄光と堕落、隆盛を交互に描き、ナポリでの活躍、「神の手」と言われたワールドカップなど未公開映像を含む映像。
まぁ、薬物やってたのもニュースになってたし、知られざる顔を描くまではいかなかったか。母親の言葉に「ディエゴは有名になりたいといった子じゃなかった」はもっと深掘りしてほしかったかなぁ。とにかく時系列でのアーカイブをインタビュー音声とともに流しているが、あまり説明がないところにも不満が残る。
でも神の手は何度見ても凄い!フォークランド紛争とも絡めていたところもいいし、ブラジル代表がイタリアと戦ったときのブーイングの凄まじさも描いていた。惜しくも2020年に亡くなったが、俺は嫌いではなかった。そこまで憎まれるべき存在なのか・・・イタリア人の感情もよくわからん。
ひとりの天才をとおした教訓。
天才であるがゆえに、最短距離でつかんだ成功。人間的成長を追い越し、その手にした栄誉。
ペレが語った「彼には、まだ覚悟ができていない」という言葉が、‘’ディエゴ・マラドーナ‘’という若者の危うさを、よく表わしている。
誰か、その純粋にサッカーを愛する若者に、言ってあげられる人はいなかったのだろうか。
誰か、‘その若者を諭してあげられる人はいなかったのだろうか。
天才の挫折といえば、よくある話かもしれないけれど、やはり天才は多くの人の、夢であってほしいと願う。
「‘’マラドーナ‘’よ、栄光の代償はある。それを君は払うつもりがあるか。」
誰か、それを彼に言ってあげられなかったのだろうか。
成し遂げた偉業という強い光がつくり出した影が、彼を心を覆っていく姿を見ることに、感情移入できない自分がいる。
天才の気持ちは、永遠に、天才しかわからないものなのかもしれない…。
栄光と挫折
ディエゴ・マラドーナが1984年にイタリアのナポリへ移籍してから91年に去るまでをメインに描いたドキュメンタリー作品。
86年にアルゼンチンのワールドカップ優勝に貢献し、次の年は弱小ナポリをイタリアのセリエA初優勝に導き、ナポリで神とまで崇められてた頃から数年が彼の人生で最も輝いていた時期なんだろう。
90年ワールドカップでアルゼンチンとイタリアの準決勝がナポリ開催だったのは運命の巡り合わせか?そこでPKを決めイタリアが敗退した事で憎しみ100倍、イタリアで最も嫌われ者になっていく。
そうなると元々バルセロナ時代からコカインに手を出していてナポリではある意味マフィアの奴隷となりコカイン中毒にされていたので、捜査の手が入るとイチコロ。出場停止処分を課せられ、イタリアでは試合に出れなくなり他国へ移籍となるが、もううまくいかなくなってしまう。
彼の人生、60年と短かったし、成績もメッシほどリーグで得点を取っていないが、ワールドカップ86での神の手と5人抜きドリブルゴールが余りにも有名で、メッシを遥かに凌ぐアルゼンチンNO1の選手だったとも言える。
秘蔵映像も多く観れて感動した。
サッカーファンは必見の作品です。
定番のドキュメンタリー
言わずと知れたサッカー界のスーパースター・ディエゴ・マラドーナの波瀾万丈な人生を描いたドキュメンタリー。栄光の部分にあたる前半はかなり見応えがあったが中盤から徐々に失速し物足りない印象を受けた。ドキュメンタリーの定番である栄光と挫折を描いているが特に目新しい内容も無く一般的な作品。
2021-21
8万5千人の出迎えで街に来て誰にも見送られずに街から去ったサッカー選手の物語。
アルゼンチンが生んだ稀代のサッカー選手の毀誉褒貶の物語。
1984年から1991年のイタリアのナポリの時代を中心に描かれています。
ナポリに来るときは8万5千人の出迎えられますがナポリから去るときは誰にも見送られずに去ったそうです。
彼の活躍で所属するナポリがリーグ戦で優勝し、また、アルゼンチンチームがワールドカップメキシコ大会で優勝し、彼は絶大な人気を得ます。これが光の部分なら、コカイン使用やマフィアとの交際は闇の部分になります。この闇に部分のために彼はナポリを去ることになります。
ワールドカップでの神の手ゴールや五人抜きシュートのことは知っていましたが、それほどサッカーに詳しいわけではないので、知らない豆知識がたくさんあって楽しかった。
ただ、映画鑑賞後に調べてみると情報が偏っていて、映画においてナポリ退去後に引退したように映っていますが実際はその後も選手を続けていますし、コカインはナポリ前のバルセロナ時代からやっていたそうです。
この作品を作成するにあたり、本人に都合の悪い描写もありますが、本人がインタビューに対応していることから、真に都合の悪いことは描かれていないでしょうね。
真実を追及するドキュメンタリーではなく、ある種のファンムービーであることを前提に楽しむ作品でしょう。
なお、2019年製作のため2020年暮れの本人死亡には触れられていません。
神でもあり悪魔でもある
マラドーナは世代ではないからあまり知らないけど、これ一本でSSCナポリ時代のイタリアでのマラドーナを知ることが出来る。
サッカーに真面目に向き合う『ディエゴ』とカリスマとしての『マラドーナ』を二つの顔と表している。
マラドーナはコカインを使用していたが、マラドーナが薬物使用するのも分かる気がする。というのも、マラドーナの周りには人が群がってくる。スーパーにも行けない。映画も観れない。家に居ても外から声を掛けられる。熱狂の中心にいたわけだ。これで、まともな精神状態を維持出来るだろうか。
貧しい家庭に生まれ、親に家を買ってあげたいという、よくある夢を実現しようとした事、そして、実現したことに好感出来る。また、15歳で大黒柱になって家族を支えなければいけないというのも、大変だったのかなと思う。
映像は貴重なものが多いようだが、ボールを蹴る音は後付けかなと思った。でも違和感はない。そう思っただけでリアルなのかもしれない。
映画冒頭の入団会見のスタジアムの様子には圧巻させられる。
映画は⤵︎ ︎の感じ。
マラドーナはアルゼンチンブエノスアイレスの貧民街出身だ。非常に貧しい。5人兄弟で男はマラドーナだけだ。
マラドーナは15歳でプロになり、その後スペイン強豪のバルセロナに加入するが、そこではあまり活躍できなかったそうだ。映画は、バルセロナからイタリアセリエAの弱小チームであるSSCナポリに移籍してくるところから始まる。このシーンが衝撃的だった。マラドーナはスタジアムに入ろうとすると熱烈なサポーター達に迎えられる。スタジアムの一室でマラドーナが入団会見をするが天井からはサポーター達の声援が響いてくる。会見を終えスタジアムに行くと、スタジアムはサポーターで一杯。8万5千人だ。
SSCナポリの本拠地である街ナポリは経済的に危機的だそうだ。ナポリ市民は子供の話よりSSCナポリの話をする程にSSCナポリを愛している。SSCナポリはセリエAでは弱小チームであった。そんな所に、恐らく既にスーパースターであるマラドーナがやってきた。彼への期待は非常に高い。
加入一年目、SSCナポリはセリエAで最下位に終わるが、元々の目標が降格しないことであったので、そこは切り抜けたようだ。
加入二年目、チームは3位になる。
加入3年目、この年にW杯メキシコ大会があった。大会前にマラドーナにはイタリア人クラウディアとの間に子供が出来たが、彼は認知しなかった。
マラドーナには15歳の時から交際している女性がいて、イタリア人クラウディアとは浮気(遊び)だ。マラドーナには日常的に多くの美しい女性が集まってくるので、女遊びは沢山していた。
W杯メキシコ大会でマラドーナが率いるアルゼンチンは優勝した。そして、SSCナポリもセリエAを制覇した!
SSCナポリにとっては悲願がついに叶ったので、街はお祭り騒ぎだ。ナポリ市民はユニホームを着て旗を振り酒を飲んで大声で叫ぶ。このお祭り騒ぎが二ヶ月続いたというのだから驚きだ。
元々、マラドーナの周りには人が多かったが、SSCナポリを優勝させた後は、スーパーに買い物にも行けないほどに人々が集まるようになった。ナポリ市民はマラドーナを神として崇めた。映画では神以上とも言っていた。
マラドーナはSSCナポリ会長に退団の移行を伝えた。静かな所で生活がしたかった。だが、会長は手放すつもりはなかった。
一方でマラドーナはコカインを使用してきた。公になることはなかったが、近くの人間はコカインの使用に気付いていた。マラドーナが捕まらないのも周囲の人間が守っているからと言って過言ではない。マラドーナを愛するナポリ市民はマラドーナを守っていた。
W杯イタリア大会で神のいたずらか、アルゼンチンはイタリアとナポリ市で戦うことになる。結果、マラドーナ率いるアルゼンチンがイタリアを倒した。
イタリアでこれまで神と崇められていたマラドーナがこの対戦後に一変、悪魔となる。
守りを失ったマラドーナは、検査により薬物使用が発覚する。さらに処分はこれまでよりも重くなっていて、一年間の試合出場禁止。
マラドーナはイタリアを去った。
現役引退後テレビ番組で涙を流しながら家族などに支えられたと訴える。
クラウディアとの子供とも会ったようだ。
今でもナポリ市ではマラドーナを神のように崇める人はいる。
多少気になる点はあるが、今週の中では比較的(サッカーに興味がない方でも)お勧め。
今年23本目(合計90本目)。
映画というよりドキュメンタリー映画というものに近いでしょうか。また、マラドーナ氏を語るにあたっては色々な切り口が考えられるのですが、本映画は他の方も書かれていた通り、イタリアでの活躍と代表(アルゼンチン代表)としての葛藤を描いたものです(内容は史実通りで、W杯でイタリアvsアルゼンチンというカードになったため、国中で意見が対立した。この点は後述)。
なお、私自体は日本のJリーグの1チームのサポーターくらいです(そのくらいの知識量)。
内容として上記のような事情もあり、淡々と当時の画像が挟み込まれたり、関係者の証言なども入っています。そのため、本当に純粋なドキュメンタリー映画としてみたほうが良く(「スタンドウーマン」に類似する)、「超久しぶりのサッカー映画だ」と思って見に行くと肩透かしを食らいます。それこそサッカーに興味がない方でもお名前くらいは知っている方かと思いますが、知られざるところも結構あり、サッカー好きでも嫌いでも良い映画かな、と思います。
※ もっとも、今週に限っていうと、先週に先行公開されたとあるホラー映画(日本モノ)があまりに支離滅裂なので(ここでも評価が無茶苦茶低い…)、大して難がある映画でもない以上、相対的に評価は高くならざるを得ないでしょうね。
内容としては史実を描く以上に「映画というよりドキュメンタリー映画」なのでストーリーというストーリーが存在せず、「描き方の好きこのみ」という論点くらいしかないかと思います。もっとも、だれしも知っている有名選手ですが、どのような人生を歩まれたか(ご存じの通り、最近亡くなられています(2020/11/25)が、元の映画がどうもそれより前に公開されたものです(PROの方も書かれている通り。「この映画を亡くなられたマラドーナ氏に捧げます」みたいな内容は一切出てこない)は、最低限何かの情報源(有名な選手なので、サッカー雑誌でも何でも本でも色々出ています)見たほうが良いかな、と思います。
評価は下記を考慮して4.5としました(4.6を七社八入で4.5まで切り捨てています)。
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(減点0.2) 今ではあまり表立ちませんが、マラドーナ氏が活躍していたころのイタリアでは、また北イタリアと南イタリア(日本のように縦長な国です)の対立がかなり大きいです。これは結局、イタリアの成立史(イタリアが国として成立したのは、19世紀にさかのぼるほど新しい)を把握している必要があり(国として統一はされたが、そのあとも北イタリア(地域)と南イタリア(地域)とでは別の国か?というほどバラバラだった)、そこは説明があってよかったのでは?と思います。そして、それこそが上述した、W杯のイタリアvsアルゼンチンで国内での対立を招いたものであり(当時、ナポリは低くみられていた(それでも、当時でも人口70万ほど))、この点の説明がないと、「せいぜい、どっちを応援しようかな」程度で、モノの投げ合いになったりブーイングになったりというのは理解しづらく、説明がいるかな…とは思います。
(減点0.2) 途中で「この試合に勝利するとナポリの優勝が確定する」といった説明がでますが、今の一般的なサッカーリーグの理解なら勝ち点の考え方があるので、「勝利ならもちろん、引き分けなら他チームの結果次第」ということになるはずです。
どうもこの点、当時(マラドーナ氏が活躍していた時代)、セリエAで勝ち点の概念は今とは違ったようです。
(参考) 2回目のナポリの優勝(勝ち21、引き分け9、負け4)で勝ち点51? →おそらく、「勝ちの勝ち点2」「引き分け1」「負け0」。前後でもこの計算だとつじつまがあう
(参考) 2019年のデータ(勝ち18、引き分け8、負け12)で勝ち点62 →計算通り(現行のルールの通り)
この部分はさすがに説明がいるのでは…と思いました(さもないと、単純な勝ち数「だけ」で決まる、というようにしか考えられなくなる。実はおそらく上記のような計算方式で、だからこそ「他チームの結果次第で」ということが勝ち点2と3の違いでは単純に言えなくなる。いわゆる直接対決は勝ち点6の価値があるといわれるが、このルールでは勝ち点差4の価値にしかならない、「他チームの結果次第」という等、大きく解釈が変わってしまう)。
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