「リアルとリアルじゃないシーンが同居するボクシング映画。」アンダードッグ 前編 tochi59さんの映画レビュー(感想・評価)
リアルとリアルじゃないシーンが同居するボクシング映画。
タイトル戦で、まさかの逆転負けを喫し落ち目になった
ボクサーの物語を主軸に、売れない芸人と将来有望な若手ボクサーの
話が絡んでいくという構成。前編は、ボクサーと芸人のエキシビジョンマッチ。
後編はボクサー同士の戦いがハイライト。
こういう二部作の場合、中途半端な感じで前編が終わってしまい、
フラストレーションがたまりそうな作品が多いのですが、
アンダードッグは、前編だけで完結する作りになっています。
前後編通して見ると、ストーリーにさらに深みが生まれ、
一番のハイライトであるボクサー同士の戦いへと展開していくという流れ。
なかなか考えられた話だなと思いました。
ボクシングのファイトシーンも、なかなかの迫力なんですが、
ただ、現実のボクシングとして捉えると、全然リアルじゃない。
前編のエキシビジョンマッチも、後編の試合も、ああいう展開には
絶対にならないですよね。
途中でレフリーもしくはセコンドが止めるはず。
「最後まであきらめてはいけない。最後までたたかいぬく姿が美しい」
というようなメッセージを伝えようとしているのでしょうが、
それをボクシングという危険なスポーツで表現するのはダメなんじゃないかな?
試合観戦してる家族の姿もおかしい。「やめてくれ。止めてくれ」というのが
自然なリアクションなのに、感動して拍手を送るシーンは違和感。
ボロボロになった息子を見舞って「感動した」いって去っていく父もおかしい。
全体的におもしろい映画だとは思いましたが、残念な部分も多いですね。
そういえば、テレビ番組のボクサーチャレンジ企画。実際にテレビでやっていた
「ガチンコファイトクラブ」そのままだし、竹原慎二氏が出てたのも驚きでした。