「ラストに全て持っていかれる作品」佐々木、イン、マイマイン yookieさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストに全て持っていかれる作品
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今も頭の片隅に佐々木コールとクラクションの音がこびりついている。
瞼を閉じれば、あの線路脇の道路を駆けていく悠二の姿が浮かびあがる。
この作品の素晴らしさはラストシーンに詰まっていると思う。
佐々木の葬儀の場面からエンドロールまでの一連の流れは、日本の映画史に残ると言っても過言ではない程、胸が張り裂けそうになるような演出だ。悠二が学生だった頃に佐々木、多田、木村と4人で走っていたあの道を、逆走することで前進する姿、走るスピードが増すに連れ、そこに重なるように響くラップのような台詞も次第に力強くなる。彼がようやく過去の自分を消化し、佐々木に言われた言葉を噛みしめ、前を向き走っていく、その姿に胸が熱くなった。
私もクラクションの音にかき消されながら、泣いた。マスクがびしょびしょに濡れた。
最後に、舞台に上がる瞬間の、真っすぐに前を見る悠二の表情が眩しかった。ずっと俯き加減で前髪で顔を隠していた彼が、明らかに成長した姿を描き、朝井リョウ原作の「何者」のエンディングにも通じるものがあった。
「好きな事やれよ、お前は。」
今からだって遅くはない。私達は生きている限り、何でもできるのだ。
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