ザ・ターニングのレビュー・感想・評価
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は?
雰囲気だけで終わり
タイトルなし(ネタバレ)
時代は90年代。まだスマホなどはあまりなかった時代。
ケイト(マッケンジー・デイヴィス)は、田舎の古い屋敷の住み込み家庭教師として雇われる。
都会で十数人の子どもを相手にするよりは・・・という安易な思いからだった。
屋敷には家政婦と幼い娘フローラ(ブルックリン・プリンス)がいるだけ。
フローラの兄マイルズは学校の寄宿舎で暮らしているという。
ふたりの両親は事故死し、その後、何人か家庭教師を雇ったが長続きしなかった・・・
というところからはじまる物語で、典型的なゴシックホラーの雰囲気。
しかし、程なくしてケイトは、妖しい男女の睦事の声を聞くようになる。
交わされた内容から男の名はクイント、女の名はジェスル。
妖しい声を聞いたその真夜中、フローラの兄マイルズ(フィン・ウォルフハード)が突然、寄宿舎から舞い戻ってくる。
そして、クイントとは死んだ馬丁の名、ジェスルとは突然姿を消した前任の家庭教師の名だということが判明する・・・
ということがわかると、なぜ男女ふたりの幽霊が屋敷に取りついているのか、興味はそこいらあたりに移っていくが、映画はどうにもこうにもまだるっこしい。
ま、ヘンリー・ジェイムズの原作小説「ねじの回転」では、幽霊が実在するのか、それともケイトの妄想なのかは明確になっておらず、映画もその「曖昧さ」を表現しようとしたらしく(同時収録の監督のインタビューからわかる)、ケイトの母親が精神疾患で長らく入院したままになっていることが途中で描かれる。
しかしながら映画としては、「曖昧さ」というよりも「中途半端」になってしまった感がありあり。
個人的には、「ねじの回転」の前日譚として創作された映画『妖精たちの森』のエピソード(クイントとジェスルの幽霊の原因は子どもたち)を挿入して、「わかりやすい幽霊物語」にした方が良かったのではないかしらん、と思いました。
マッケンジー・デイヴィスは『ターミネーター:ニュー・フェイト』の闘うヒロイン・グレース役の女優さんですが、大幅なイメージチェンジ。ただし、今回は大幅魅力減でした。
なお、「ねじの回転」の他の映画化作品には
1961年 『回転』 ジャック・クレイトン監督 デボラ・カー主演
1971年 『妖精たちの森』(前日譚) マイケル・ウィナー監督 マーロン・ブランド主演
1992年 『ホワイト・ナイトメア』 ラスティ・レモランデ監督 パッツィ・ケンジット主演
2009年 『回転』(BBCテレビムーヴィ) ティム・ファイウェル監督 ミシェル・ドッカリー主演
があります。
結果的に不発
原作ヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』は、「幽霊物語」と言われる作品群の中でも代表作と言われるもの。豪邸に雇われた家庭教師が幽霊を目撃するようになるが、どうやら子どもたちにも見えてるようで……みたいな話。
原作はこれまで、幽霊が実在する超常現象の話なのか、それとも主人公の心が創り出した世界なのかという2つの読み方がなされてきた。そういう意味では、主人公ケイトの母親が精神を病んでいること、幽霊の登場シーンが基本夢の中であることなどを通して語り手の信頼性のなさをきちんと描けていると思う。
なので、話の核(幽霊が誰なのか)などは変わっていても、原作をよく現代風にアレンジできたサイコホラーだと思う。
ただ、結局は「全部思い込みかも」という話なので、中々映像向きの作品ではなく、映画としては面白くできなかった。残念。
中途半端
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