43年後のアイ・ラヴ・ユーのレビュー・感想・評価
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わかりにくい点もあるが、隠れた問題提起もはらんでおりお勧め。
今年12本目(合計79本目)。
実話に基づくお話ではないようですが、アメリカに限らず日本でもあっておかしくはない話。これから高齢化がどんどん進んでいくからですね。
お話の内容としては非常に単純明快で余計な描写(どうでもいい趣味的な描写)もなく、しかもエンディングもだいたい想定はつくので(そしてその通りになる)、そこへどう収束させるか、そこが見ものにになりますが、それをどうこう書いてしまうとネタバレになっちゃいますからね。
さて、この映画ですが、いわゆるこれからの高齢化社会に向けて、高齢者自身の考え方(自宅で過ごしたいor老人ホームに入りたい)、子供たちの考え方(自分たちで介護したい or お金はかかるが老人ホームに入れて自分は自由にしたい…)といったことが背景に隠れており、要は「高齢化社会となった、近い未来の家族の在り方」を問うている部分も一部にはあります(ただ、それを表立って問題提起している部分は少ない。辛うじて読み取れるかという部分)。
「特集」にある通り、シェークスピアの作品の一部が引用されていますが、それ「だけ」のためにその作品に触れたりすると大変なことになるので(そっちの量のほうが多い)、そこは触れなくても良いのでは、と思います。
減点要素・加点要素を踏まえて、下記で4.9で切り上げて5.0にしました。
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(減点0.1) 施設の中で「こんなミュージカル・映画に出ただろう?覚えていないの?」と問い詰めるところ。一部は日本語訳されていますが、「エンブレイス・ミー」の部分はそのまま。要は、 embrace me で、訳せば「私を抱きしめて(抱擁して)」の意味。embrace には「抱きしめる」の意味があるのですが、これはそれこそ英検準1以上の単語で(TOEICで出てくることはほぼもってない)、そこはもうちょっと字幕に工夫があっても良かったかなぁ…とは思えます(英語力の差で理解に大きな幅が出てしまう)。
(減点0.1) もちろん、資格がないのに老人ホームに偽って入るのは犯罪ですが、さらにそれが進んでいくと、それは「felony(重罪)だ」という表現が登場します。felonyは「重罪」と訳されますが、日本でいえば強殺や2人以上の殺人などで、それは海外でも文化の違いはあっても、対象とされるものはだいたい決まっています(州によっても異なる。felony level 1~6の6段階制だったり、A~Cの3段階制だったりするが、概して日本では重罪といえうるものか、それに匹敵するものが入っている)。ただ、「だまして施設に入る」のは、どう見ても「行政の施設か民間施設に演技で入って数か月お世話になっただけ」であり、死刑や無期懲役になるような「重罪」事案ではありません(行政がやっている公的サービスだと、行政側にも見抜けなかった落ち度ありと解釈され、仮に起訴されても執行猶予がつきうる)。
この部分はおそらく、「犯罪よりももっとひどいことになるぞ」という意味合いで使いたかったのだと思うのですが、ちゃんと felony という語を知っていると「???」ということになってしまうので、少し、うーん…という気はしました(もちろん、舞台となるアメリカでも、いわゆる「量刑相場」というものは存在するので、殺人などでなくただ単に「詐欺行為でサービスを数か月利用した」だけであるなら、起訴猶予になってもおかしくもない)。
(加点0.1) 上記のように、ストーリーの筋としては非常にわかりやすく、しかも変に「どうでもいい描写」(何ら無関係な大人の営みが突然描写されるなど)もない一方、よくよく考えれば「高齢化社会となったときの、高齢者の自分の老後の暮らし方、子供たちの親(=老人)への介入のしかた・ありかた」といった部分が背後に隠れており、それを全面に出さず、「よく考えればそういうテーマがあるよね」という点が明確に読み取れる(通常の理解であれば読み取れるかと思います)点は、「隠れた問題提起」という点であり、そこは良い点かなと思いました。
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素敵な作品
クロ-ドのリリィに対する思いがよく伝わりました。
孫娘にベットの上での自白、その後のやりとりとってもよかったです。
演劇でのリリィへの交代、孫娘への交代よかったです。
ラストのコーヒーよかったです。
【最後から○番目の恋】
シェイクスピアの冬物語は、紆余曲折はあるけれども、悲劇で終わらない。
運命の再会を果たし大円団で終わるのだ。
悲劇が有名すぎるシェイクスピア劇としては珍しい話のように思う。
たとえ、いけない恋だったとしても、好きになってしまうことは…、恋に落ちてしまうことはあると思う。
たとえ、別れたとしても、本当に好きだった人に再会したいという気持ちを僕は否定できない。
こんなエンタメの世界の恋ほどドラマチックじゃなくても、みんな、そうじゃないのかなと僕は思うのだ。
年齢を重ねたからといって、恋愛から遠ざかる必要はないだろう。
恋愛の仕方や、気持ちの表し方が若い頃とは違っても良いじゃないか。
長年連れ添った夫や妻が亡くなったからといって、殻に閉じこもる必要もないだろう。
前に、最後から2番目の恋というドラマがあったが、これは、差し詰め、最後かもしれない恋というところだ。
最後でも、もしかしたら○番目でも、恋をした方が、認知症にだってなりにくいはずだ。
最近薬が必要なくなったと言ってシェーンが見せた女性との写真。
健康にだって良いはずなのだ。
クロードは、なんちゃってアルツハイマーを始める前に、用意周到に文献を漁り、過去を思い出す方法はないのか彼なりに入念に研究していたのだ。
自分のことを思い出して欲しいという動機はあったけれど、本当は、リリィに、在りし日の自分の華やかな舞台の姿を思い出して欲しかったのだ。
だから、その目的を果たして、クロードはケアハウスを離れ、家に戻ったのだ。
なんか、とても潔くカッコいいじゃないか(あんなジジいだねど)。
クロードは、もともと雨に打たれるのは嫌いだったのだと思う。
これからは、敢えて雨に打たれることもないだろう。
お茶目でキュートなクロードに乾杯
主役のクロードがなんとも魅力的ですごく心温まる作品でした。
実らなかった昔愛した人の為に再度愛を与える。なんとも羨ましく素敵。叶わない恋をしたことある人は共感する部分も多い。
クロードみたいにファンキーでチャーミングな老後を過ごしたいなって思う。
大人ファンタジー。
病気をあまくみないで、ったせりふがあったけどファンタジーとしてみると良作。初恋の彼女のアルツハイマーから記憶を戻すなんてなんと幸せ。それぞれの作り上げた人生もからめながらブルースダーンはじめ老齢になって俳優の演技にこころ温まる。幸せ気分。
ウルウル
10本目。
アンチ・ライフを観ようと思ったら、ん?完売?なんかよう分からん。
でも幸いに上映開始が同じだったんで、こちらに変更。
別の作品でも思ったけど、お年寄りだけど可愛いし、作品も面白い。
でも最後には、きちんと落とす。
ウルッといや、ウルウル状態。
欲を言えば、義理の息子との絡みがもう少し欲しかった。
儚い夢
初恋の人は、今でも自分の事を想ってくれている。
そんな、誰もが持つ希望を叶えさせてくれた映画。
だから、そんなに仲間思いには見えないブルース・ダンが出ていく際に、皆から惜しまれながら去るのも、夢物語だからだ。
【”我が愛を疑う事なかれ” 男は初恋の女性は幾つになっても忘れない生き物なのである。そんな頑固で偏屈だが、心優しき男をブルース・ダーンが、絶妙に演じています。】
■冒頭、妻を亡くし、独り自由に暮らすクロード(ブルース・ダーン)が、タブロイド紙の囲み記事で、「名舞台女優、リリイ、アルツハイマーのため、施設に・・」と言う記事を読んだ際の彼の表情。
- このシーンで、二人の過去の関係が直ぐに分かる。-
■序盤、クスクス笑ったシーン
・クロードが、リリィの施設に入るために、隣人でクスリ競争をしている友人、シェーン(ブライアン・コックス)の協力の基、施設の面接に臨むシーン。
- 良い年をして、おバカである・・。又、二人のクスリ競争(どれだけ、クスリを服用しているか競争・・)も、ラストに絶妙に効いてくる。-
◆巷間で屡、言われているように、歳を重ねても、女性は概ね元気だが、男性はみるみる精気が無くなる人が多い・・、という事は、この二人にはないね!
幾つになっても、何でも言える親友の存在は大切だなあ、とふと、思う。
■印象的なシーン
1.クロードが、漸く会えたリリィを見る優しい眼差し。話しかける際の、柔らかな口調。 入所時のドタバタ騒ぎとは別人である。
又、彼が彼女に無理に過去を思い出せようとしない所も良い。
施設の庭の二人掛けの椅子に座り、昔の写真を見たり、クロードが大切に保管していた手紙をリリィが読む姿を見るクロードの、嬉しそうな顔。
- さりげなく送る百合の花束、お気に入りのCD。リリィが身に纏う、薔薇の花柄が印象的な数々のワンピースも素敵である。-
2.孫娘タニアの協力により、起きた奇跡
イロイロと手を回し、本来慰問に来るはずの劇団をキャンセルさせ、タニアが密かに思いを寄せる青年が主催する劇団を呼び、リリィの且つての十八番であった、シェイクスピアの「冬物語」を演じさせるシーン。女性がセリフに詰まった際に、リリィが”自然に”舞台に立ち、スラスラとセリフを口にする姿を、客席から驚きの表情で観るクロードの姿。
そして、万雷の拍手の中、幕が閉じられ、クロードが舞台に上がり、リリィの鼻先にそっとキスをするシーン。
- リリィには、夫がいる事を施設内で目撃していたクロードは、唇ではなく鼻先にキスをしたのである。紳士である・・。ー
<且つて愛した初恋の女性への想いを、ブルース・ダーンが絶妙な演技で魅せる作品。
序盤はコミカル要素を塗しながら、後半は心に沁みるシーンに移行していく作品構成も良い。
ラスト、クロードが施設を去る際の、人々とハグするシーンや、リリィの夫と交わす会話もとても良い。>
◆クロードの娘セルマの愚かしき夫が、クロードの男としての器の大きさを見せる反面教師として、効果的な存在でもある・・。
■蛇足
・私の初恋の女性は元気かなあ・・。私の転校で、離れ離れになってしまったけれど、夢だと言っていた婦長さんに、なれたのかなあ・・。
等と小学生の時の彼女の事を思い出し、それ故に、クロードのリリィへの優しい眼差しが染みた作品。
30年近く経っても、初恋の女性は忘れ難いのである。
私だけであろうか?
優しい愛に溢れた作品ではあるが…
主人公のクロードは十数年前に恋が実る事なかった舞台女優のリリィがアルツハイマーを患い施設で生活をしている事を新聞で目にする。
クロードは彼女の治療の役に立ちたい事を願いアルツハイマーを装い同じ施設に入所しリリィの記憶を戻す手伝いをしていく作品だ。
予告の段階だと恋愛作品なのかなと勝手に解釈していたが、恋愛要素ももちろんあるが彼らが若い時のような男女間の恋愛というより友情よりの愛が溢れた作品に思えた。
もちろんクロードはリリィをまだ愛してるからこそ彼女のためになる事を必死にやるわけだが、リリィは既に旦那がおり決して今更一線を越えてまで彼女との関係を強く求めてるわけではない。この辺はクロードの優しさも感じられる。
これらの様に優しい愛に溢れた作品ではあったが、同時に展開が少し早くクロードとリリィの過去の関係をもう少し丁寧に描いて欲しくも思えた。またリリィが記憶の一部を戻す展開も薄く感じてしまった。
彼女が好きな花を送り、好きな曲を送り、そして彼女が最も輝いてたシェイクスピアの劇を見せたりとありきたりな展開でそれらの描写に深みもあまり感じられなかった。その為リリィが記憶の一部を戻したシーンでもあまり強い感動を感じる事ができなかったのが少し残念だった。
ただクロードの優しさ、そしてリリィに対する愛は終始描かれており、温かい気持ちにさせてくれる作品であることは間違いないだろう。
ほっこりする作品
ゴズリングの「きみに読む物語」をコメディタッチに描いた様な、ほんわかした作品でした。主人公の老人クロードが考えた作戦がお茶目でかわいい。43年前の恋愛を覚えているって素敵ですね。元女優リリィさんのご主人がまた寛大な方で...私なら昔の恋愛の思い出はあの時の記憶のまま大切に残しておきたいな。
愛は勝つ
ブルース・ダーンの存在感で満足できる小品。今年の「男と女 人生最良の日々」と同様なモチーフ。古くは「君に読む物語」でもある。こういった記憶喪失、アルツハイマー症などなどから「呼び戻す」ための必須アイテムが「愛」であるという、最大公約数な解答が待っている。まあ模範解答をみせていただいて、ご同慶な気分にさせられる。
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