「14歳の目に写るもの。」はちどり(2018) だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
14歳の目に写るもの。
かごの中のはちどりに例えられるのは、主人公のウニなんでしょう。
力もなく、翻弄される、14さい。
鳥のはちどりは、蜂のように音を立て羽をはばたかせて宙に浮くのではちどりというらしい。
wiki先生によると体重2~20g!!はかない生き物なんですね。
1994年で14さいなのだったら、わたしより一つ上なのかな。
90年代を10代(若者)として生きた作家たちが、内省ののちにその時代を描く年頃になったということですね。
94年は、阪神大震災と地下鉄サリン事件の前年。
わたしは13さいになる年で、不仲の両親に4人目の子どもが生まれた年でした。
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父、母、兄、姉、ウニという5人家族
ソウルのマンションに暮らす
父母はお餅屋さんを営んでおり忙しい
学校ではちょっと浮いてるのかな?
漢文塾に一緒に通う子が友達
彼氏がいる、後輩女子にもモテる
お兄ちゃんは、長男だから両親(父)からの立身出世へのプレッシャーがきつく、ウニを殴る
お姉ちゃんは、夜遊びしたいお年頃で、父に隠れて出かけて、見つかって殴られたりしてる
お母さんは、家事と家業に疲弊。いろんなことを見て見ぬふりしている感じ
お父さんは、説教こそが父の役目と思っている感じ
ウニの境遇は、よくもないけどすごく悪いわけではない。
両親がすごく愛情深いとかってわけじゃないけど、衣食住に困ることなくそこそこちゃんと子どもらしくいさせてもらえる。
学校も面白くはなさそうだけど、そんなもんといえばそんなもん。
ただ、14さいの日々に起きる小さな不満や疑問を全く無視して世界が進んでいて、ウニは何をどう生きればいいかわからないという感じ。
そのぽつんとした感じがよく伝わってきた。
世界の中にぽつんといる、はちどりに例えられるほどか弱いウニが、漢文塾の女性教師と出会い、世界の中にぽつん、である現状を、分かるよと言ってもらえてすごくうれしかった、でも先生は事故で帰らぬ人になった、というお話。
25年くらい前の雰囲気、10代のぐらぐらした気持ち、家族に大事にされない不安、友達も彼氏も水物過ぎてあやふや…そういう知ってる世界が密度濃く描かれていて、夢中になってみた。
1986年の韓国の政変について、ぜーんぜん知らないので、先生のバックグラウンドがわからなかったです。
他の韓国映画をみても、1986年は大きな転換点のようなので勉強した方が鑑賞に奥行が出るのだろうなと思った。