MOTHER マザーのレビュー・感想・評価
全346件中、321~340件目を表示
うーん、不幸な親子でどうにか...ならないのか
ちょっと見ていて辛くなる感じ、ヤキモキもしたし、ハラハラする場面も多くあった。手加減なく展開も進んで、母親と息子の歪んだ親子関係で息子が可愛そう。あっという間に見終わった感じで引き込まれた!
長澤まさみさんが嫌いになりそう…
実際に起きた事件をモチーフにしているということで、覚悟はしていましたが、最初から最後までとにかく重くて暗いお話でした。冒頭からラストまで一貫して、金を手に入れるための道具のように息子を使う、胸くそ悪い毒親の姿がこれでもかというほど描かれます。そして、そんな母親から逃げ出すこともなく、しがみつくように生活を共にする息子の周平。まさに絵に描いたような共依存の姿がそこにありました。
それでも、幼いうちは、生きるすべを持たない周平が、ろくでなしの母親でも頼るしかないという構図は、十分に理解できます。しかし、思春期を迎えてもなお母親に依存する姿にはやや違和感を覚えました。これが最終的には祖父母の殺害にまで至るのですが、その心理は、第三者の自分には理解しがたいものがありました。
「母への愛」という名の依存が、周平の根底にはあったのでしょうが、これはもう不幸としか言いようがありません。「子は親を選べない」とはよくいいますが、この親のもとに生まれた時点で不幸が約束されてしまったようで、いたたまれない気持ちになります。ただ、周平自身はそれさえ感じてはいないのでしょう。本能的に母を慕う気持ちと、その気持ちを利用するかのような母からの洗脳が、彼の心を狂わせてしまったように感じます。
終盤で、周平が「どうすればよかったのか」と問いかけるシーンがあります。諸悪の根源である毒母との決別が、正解の一つだと思います。それが頭でわかっていても、心から決断できないところに、この問題の根深さがあるように思います。わが子への虐待が最悪の悲劇へつながったような事件がニュースで取り上げられるたびに、その前に何かできることはなかったのかと思います。しかし、実際には親子の問題に踏み込みにくいのも事実です。身近にもネグレクトが疑われる家庭がありますが、何か事件でも起きなければ、強制的に介入することはなかなかできません。本作でもそのようなシーンが描かれ、社会福祉の難しさ、もどかしさを垣間見た気がします。
主演の長澤まさみさんは、体当たりの演技で毒母を熱演していました。序盤は、彼女の人柄がにじみでて、毒母を必死に演じてる感がありましたが、物語が進むにつれて、彼女のことが嫌いになりそうなくらい、違和感なく受け入れられるようになりました。それを真っ向から受け止める息子役の奥平大兼くんの演技が秀逸でした。オーディションで抜てきされた新人だそうですが、今後の活躍が楽しみです。ちなみに、幼少期を演じた子役の子の演技も光っていました。
不快指数においては、邦画史上No.1かも
人間社会では、どんなことにおいても、常識派(たぶん多くの場合、多数派)からみたら、あり得ないような人が、一定数は存在します。
アメリカ映画によく出てくるような〝サイコパスの猟奇的な凶悪犯〟などは極端だとしても、会議になるとすぐ居眠りしてしまう(私のような)人、遅刻の常習犯、あからさまに上司に媚びる人、コロナ禍の状況になってもトイレ後に手を洗わない人(男子トイレでは結構目撃例が多発…自分の◯◯◯は別に汚くないと思ってるらしい)など、まあ、それなりにいます。
もちろん、常識派、多数派が必ずしも正しいわけではありません。なので多くの人が、ことを荒立てず、相応の不平不満をお互いに抱えながらも、アシタカのようになんとか〝ともに生きていく道〟を探りつつ(或いは諦めて)折り合いをつけながら日々を過ごしています。
この映画に出てくるような、〝さしたる考えもなく目先の享楽のために、お金は欲しい、でも働くことは嫌い〟という人、そして短気で暴力的な人(大声で叫ぶことも暴力です)も現実的には、一定数存在します。
ただ、このような人たちを放っておくことは、社会の不安定さにつけ込む裏社会の拡大(闇金融やドラッグなど)や犯罪の増加に繋がるリスクが高まるし、DVや児童虐待が発生することにも繋がるため、生活保護や児童相談所などの社会システムがあるのだと思っています。
社会システムの側に権限があり過ぎると、自由と私権が損なわれるリスクもあるので、とても難しい問題ですが、周平君の将来を考える視点でこの映画を観ると、もっと早い段階で、秋子の親権を制限するルールがあってもいいのではないかと私は思ったのですが、どうなんだろう。
子どもが社会の安定化、すなわち平和な世の中に寄与する構成員として、自立できるようにするのが、教育の本来の役割のひとつであることを考えれば、その機会を奪う親の言動は平和な社会を作ることにおいては犯罪なのではないか、という理屈も成り立つ。
私の場合、一定数のあり得ない人がいる、という前提に立っているので、〝どんな形であっても親子の愛だから〟という考え方自体を受け入れることはとてもできませんでした。
愛という概念や文脈で理解したくないと思ってるからです。
愛情の形
犬は飼い主の良し悪しは選べない。
犬にとって飼い主は自分の全て、愛情を注ぐべき唯一無二の対象である。
そこに、理屈はない、極めて原始的な愛情で結ばれている。たとえ虐待と思えるような行動さえも犬には掛替えのない愛なんだ。
ある意味、周平君もそんな感じなのかもしれない。
何故、そこまで母に従順なのか?
疑問に思うかもしれないが、文化的な、知的な人間らしい側面に触れずに成長してしまった周平君には、そんな素朴な疑問さえわかなかったと言えまいか?
ただ母が好きだ、行動の動機なんてそれで充分だろう。
母には僕がいないと駄目なんだ。
懲役12年の代償なんてなんてことはないのだ。
大きな失望や喜びなんて、いろいろな経験を経て感じるものであって、母しかしらない周平君にはそういう感情はない。
ただ母が好きだ、それだけなんだ。
救いたいけど救えない人々の葛藤
金曜レイトショーは、長澤まさみ主演じゃなきゃパスしてたコレ!
先週のランボーとは別の意味で、救いようのない悲惨で後味の悪いストーリー
海街diaryの姉妹再びとか、虫コナーズの姉弟共演とか楽しむ間もなかった(-。-;
実話が元になってるだけあってリアルながら・・・
どんなにクズでヤサグレて、汚くても長澤まさみちゃんが、綺麗すぎる(^◇^;)
それとは逆に、ホスト崩れの阿部サダヲさんは無理あり・・・
殺人まではいかないとしても、振り返ると・・・
こんな感じの家庭環境って身近にもあった気がするし、救いたいけど救えない人々の葛藤描写が切なかったです。
息子を演じた2人の役者さんは、今後期待ですね。
私的にこの役なら安藤さくらx要潤とかならまさみちゃんにブレる事なく物語に入れたと思う^^;;;
長澤まさみさんが凄かった!
救い様の無いストーリー。
途中で観た事に後悔しそうだったけど、役者の皆さんの演技が凄すぎた!
秋子役の長澤まさみさん。
ダメダメな母親役なんだけど適役。
演技と美しさが唯一の救い(笑)
彼女無しでは本作は成り立たない印象。
一方、ダメダメ男の阿部サダヲさん。
彼も適役だった感じ。
子役の方々も凄かった。
特に17才位の子供を演じたの奥平大兼さん。意外とイケメン。
丸坊主の姿は可愛い(笑)
本作は母親の偉大さを表現したかったのか?
そんな事が伝わって来た感じ。
長澤まさみさんは主演女優賞間は違い無いかもしれません。
彼女は凄い女優さんと言う事を再認識。
阿部サダヲさん。ダンスが予想外に上手くて唯一微笑ましかったです( ´∀`)
圧巻の演技。
終始見ていて辛かった…
こんな関係って本当にあるんだ。
母が全て。
途中に別の道を選べる瞬間が来たけど母の一声で押さえつけられる。
母の為にどうしてそこまで?
なんてぬくぬく育った私には理解できるわけがない。
こんな家庭があれば手を差し伸べたい!と劇中思ったけど、
現実は、善意につけ込まれて厄介な事に巻き込まれてしまいそうで近づけませんね…
生半可な気持ちでは関われない。
長澤まさみはもちろん、息子役の奥平大兼、幼少期の息子役の子の演技が本当に凄く、
幼少期からずっと続く周平の悲しそうな顔を見ているのが辛かった。
現実
周平役とその子役もどちらも素晴らしかった。
そういった演技を引き出せた監督の力量も感じられた。
実際の事件に基づき作られたようだが、長澤まさみや阿部サダヲが知られた役者過ぎて、現実感が薄れてしまった。現実はもっと現実なのだろう。
うーん。。。もう一味欲しい…
実話を元にしたと言われると、
いたたまれなくなる話。
自分がいかに恵まれていたかと思う。
ただ作品的には物足りない…
少し退屈に感じる。。。
屈折した親子愛と
恵まれない環境を描くなら、
母親側の生い立ちまではいかなくても、
自分の母を息子に殺された心情は
もう少し描いて欲しかった。
何も感じて無いというのが狙いならば、
なんかもう少し出来なかったのかなぁと…
息子が母親を思う感情(半ば洗脳に近いが)、
その母親が自分の親を思う感情の対比など、
もう少し味付けが欲しい。
ドキュメンタリーでは無いので、、、
また、息子が働ける年齢までいかない方が良かったのではとも思う。若しくは、働きたくても働けないカセがあるなど。若しくは年齢詐称で働いて逆切れなど。
働けている環境や生活保護を捨てるなど、
最後の選択肢に至る過程が少し弱いかなと。
まぁ、その思考が無いからああなる、
と言われればそれまでだが。。。
あと、
画から外れて声だけで表現するカットが
多すぎるかなぁと…
個人的に好きな表現方法なのだけど、
ちょっと多すぎて生きていないし、
逆に作り手の側の写さないエゴを感じる…
あと、
sexに関しては、
ただやりたかったのか?
気を紛らわして逃げてるのか?
色仕掛けのつもりなのか?
なんなんだろう???と
なんか勿体ない…
息子の演技は
幼少期も青年期も◎◎◎◎◎
圧巻の長澤まさみ
本当に途中から死んでくれと思って見てしまうほど、長澤まさみが凄すぎて、、、虫唾が走るほどのクズっぷり。最初長澤まさみがキレイすぎて話入ってこないなぁ〜っと思っていたけど、その美貌も途中の馬鹿な男たちの行動原理につながっていると思えば納得できたし、だんだんと顔が醜く見えてくるのは長澤まさみの演技力がなせる技だろう。子供たちを初め、周りを固める俳優たちも、もう文句なし。
強いて言うなら、時間経過がやや強引かなと思ったけど、まぁ、そんなことはどうだっていいほど、演技と話に引き込まれた。
心が疲れてる時には絶対に見ないほうがいい映画。引きずり込まれる。あぁ、秋子の最後の目が忘れられない…トラウマになりそう…
【自分勝手な”孟母(毒母)三遷”と幾つかの”共依存”が引き起こしてしまった哀しき出来事を、演者の方々が渾身の気合を込めて演じた作品。】
ー鑑賞中、秋子に共感する事は全くなかった。だが、私はこの2時間越えの作品を飽くことなく鑑賞した。-
■今作の不可思議な魅力
1.長澤まさみさんが、天真爛漫な笑顔を一切封印して演じた秋子の得体の知れぬ男を引き付ける身に纏う淫猥感と無気力な姿。
2.秋子と共依存関係になっていった軽重浮薄な男、りょうを演じた阿部サダヲさんの駄目男の存在。
3.彼らの理不尽な行い、指示に時に逆らいながらも”ビールダッシュ””ババアダッシュ”を健気に行う周平の幼き姿と少年になった姿。
何故、周平は秋子の理不尽な指示に従ったのか。
ラスト近くに周平から語られた一つ目の答えは余りに切ない・・。
<だが、その後に周平の口から出たもう一つの言葉には、参った。
彼の言葉を聞いた時、腑に落ちた。
周平は幼き時、父から”俺のところに来ないか”と言われても断り、秋子から理不尽な指示を受けても17年間従ってきたのだ・・。
”気骨ある男”は、いつでも母を想い守るのだ。守るべき価値のない母親であろうとも・・、許される事のない、罪を犯してでも守るのだ。周平の哀しい決意が、遣るせない・・。
ー以下、2020.7.5追記ー
今作は、哀しすぎる物語だが、”あるレビュアーの方のレビューを読み、確信したのですが” 今作は全ての演者の方々が与えられた役を、渾身の気合を込めて演じたからこそ、見応えがある作品になったのだと思いました。>
ずーーーっとつらい
とにかく、最初から最後まで、ずーーーっと辛いです。お金がない、住む場所もない、お腹いっぱい食べれることがない、安全がない。
でも、愛はあると本人たちは思っている。
それがまた辛い。
この不幸を目の当たりにして、私は何を思えばいいのか、まだ分かりません。
_φ(・_・途中退場したくなる秀作
途中退場したくなるような秀作です。本当に腹が立ちました。
実在の事件をモチーフにしてるんでしょう。なんか聞いたことがあります。
母子の共依存がテーマです。ゲロゲロな母親に育てられた子が結局は離れられないでいる様は耐え難く、離すまいとする母親はほんとに許せないですね。またそこに禍々しい愛情が存在するのほんとに気持ち悪いです。最後に母親から出された命令はほんとに許せないですね。子供はそれに従っちゃうんですよ。かーっ。
長澤まさみは天才女優。狂った母親を演じながらそこに女の色気と子供へのわずかの愛情をかもし出しているのはホントに怖い。あの虚ろな目は狂人です。スゴイの一言。
子を助けようと色々な人が手を差し伸べるが母親が邪魔してそれを許さず。
誰か助けてやれよ、、、自分だったら絶対見捨てないのに!絶対救い出す!とずっと心の中で叫んでました。こんな子供達って結構いるんだろうなぁ、、、、。なんとかしてやりてーょ。
「聖母か。怪物か。」どちらにも見えなかったなあ
「散歩する侵略者」の不機嫌な長澤まさみの演技が良かったので期待を持って鑑賞。
感想は、今ひとつ。
長澤まさみの隠し切れない健康的な育ちの良さがどうにも役に合っていないように思う。
ベタすぎる悲惨演出と相まってリアリティが徐々に薄れていき、阿部サダヲまで出てきた日にはコントである。
クリスマスに空腹に泣く子供の横をサンタの帽子を被った幸せそうなカップルが通り過ぎるなどもはやファンタジーであり感情の落とし所に困ってしまった。
実話を元にしたシリアスなドラマとしては致命的なミスキャストと過剰演出ではなかろうか。
胸を痛めるべきところなのであろうシーンでつい笑ってしまう状態に陥ってしまいどうにも乗れませんでした。
主人公母の実家は良識的でお金もありそうな良い家族で、長澤まさみがドン底まで堕ちている経緯がよく分からず今いち感情移入がし辛い。
期待していただけに残念な出来、地に足がついていないように感じました。
長澤まさみの怪演が見もの
これはかなり負のオーラを全面的に押し出した怖い映画。こんな悪魔なクズ母親とその子供が現実にいたらぞっとする。
一方、各役者の演技が良かった。特に長澤まさみの怪演が見もの。阿部サダヲのハイテンションな叫び声も本作にハマっていた感じがする。振りではないガチで本気のビンタも見どころの一つ。
M-13回戦敗退常連の漫才師のテンション
予告編を見ただけで、きっと胸糞映画なんだろうなという予測のもと鑑賞。子役さんにこんな現実もあるかもしれないということを教えても良いのかと問いたくなるくらい、ずっと重い話でした。
胸糞映画自体は嫌いじゃない。常人には理解できない行動をとっていたとしても、その行動を取ってしまう理屈や芯さえはっきりしていれば、自分の中で善悪を超越した感情が生まれる。
ただ、この母親の心理が自分の読解&推察力では全くもって理解できなかった。度々出てくるセリフの「自分の子どもなんだから、どう育てても良いでしょ」というのはなんとなく分かるんだけど、じゃあ「どう育てたいのか」が見えてこない。
自分の子どもを絶対服従させたいんだったら、子どもの前で泣いたりしないと思うし、「○○しなかったら○○になっちゃうよ~」より「○○しなさい」という言い方が多用されると思う。とはいえ、DVをする交際相手にハマっていくパターンって確かにそうした逃げ道のような地獄が提示されるからこそ…っていう感じらしいので、自分には分からない世界ということだったのかもしれない。
母親は子どもを使ってお金を得ようとする反面、男との性行為に明け暮れる場面がかなりある。そこでの子どもの立ち位置もいまいち分からなかった。
1つ好意的に解釈するなら、神社でキャッチボールをするシーンがあって。母親が投げたボールを子どもは直接捕れない。子どもが投げたボールには母親はきっちり受け取るか無視するか。そして、どちらも「何度もバウンドしたボール」のやり取りというところが、母と子の関係の歪みを表す面白い演出だったと思う。
あと、画面が止まっているより揺れているシーンが多いのも面白かった(画面酔いするくらい)。
この映画の一番残念だったことは、メリハリがないこと。特に長澤まさみと阿部サダヲの件は、ただただうるさいだけ。感情がストレートにぶつかっていると言えば聞こえは良いけれど、ここで示したい母親のないし母親への狂気じみた愛情にはギャップが必要だったんじゃないかなと思ってしまう。前述したように演出の技量は高いのに、ただ大きい声を出していればエモーショナルに聴こえると錯覚してしまうのは、M-1グランプリの3回戦まではいくけれど、そこから先にはいけない漫才師のテンション芸に似ていると思ってしまった。
ラストカットで母親は「母が子を愛するのなんて当たり前でしょ」って言いたかったのかなと想像させるような余韻はありますが、全体的には自分と合わなかったです。奥平大兼さんはデビュー作とは思えないくらいの佇まいだったので、今後も楽しみです。
じんわり来る恐ろしさ
マザコンを超えたマザーシンドローム。そんなテーマで現実にあった事件を描いた本作、そこらのオカルトより深くて恐ろしい。
はたから見れば母親に支配された可哀想な子供、という単純なラベルで終わるのだが、心理的に母親に依存しながら、その存在を案じている普通の少年が、本作の真の主人公だ。
共依存関係の母子は、母親の浅知恵で、行き当たりばったりに金の無心に歩く。それが行き着く先は悲劇でしかないが、それすらも想像できない愚かな母親。金が手に入れば遊びに使い、また金の無心に走る。同情する隙間もないほどに、駄目人間だ。そうした母親を駄目だと解りながら、言われたことをやり、悪事にも手を染める子供。外部からは悲惨な状況だが、この親子の世界では、彼女が太陽で、子供側から見た関係性は微塵も揺るがない。善悪ではなく、その関係は普遍的に存在するし、ともすれば称賛や賛美を浴びるものなのだ。ここに、この作品の怖さがある。
少年期の周平を演じる奥平太兼くん、めちゃくちゃ良いですね。長澤まさみ、阿部サダヲの旬の役者の間で、無感情であり、少し自我に目覚めはじめるが、それを押し殺して母親を守りたい少年を、見事に表現していた。特にラストあたりで夏帆との会話の際、振り返った時の目が印象的だった。
ファンの贔屓目もあるのだろうけど、長澤まさみは、少しミスキャスト感があった。どうしても朗らかな印象が先に立って、酷い母親のイメージが浸透してこない。時折見せる表情が、樹木希林さんを彷彿とさせたが、ところどころ一生懸命ダメな母親を、演じている感じだった。もう少し歳をとって、深みを増せば凄みのある演技になったと思うが、そうすると周平が食われてしまうので、善し悪しかな。
終わった後余韻というより、何か引きずるものがある作品だ。
全346件中、321~340件目を表示