「リアル過ぎて救われない映画」MOTHER マザー eikenさんの映画レビュー(感想・評価)
リアル過ぎて救われない映画
身寄りのない未成年・子供は社会の全てが家族なので、善悪の判断や意欲が母親の意思の中の掌握されている。
客観性など育たないし、当然のこと反抗期なんて来ないし、唯一の社会活動が生活費を工面するために「子供」という特技を使い、身内にたかるしかない。
それが唯一の家族である母親を支えることになるのが幼少から身に付いている。
胸糞悪いのは母親が女になる瞬間の雰囲気を察し、性的な時間になると姿を消して一定時間耐えるところ。
こういう幼少期を送ったことのある身としては、封じ込めてきた記憶が蘇ってきて震えがくるほど忌々しい。
そういう忌々しさを描きたかったのか、そういう反応を呼び起こしたかったのかは曖昧だが、最後のシーンで女性職員に、母親に対する想いを伝えたところが要らないと思った。
彼を動かしていたのは、好きとか嫌いとかでない。まぎれもなく「洗脳」である。
それをあたかも親子愛のような伝え方に違和感がありました。
映画としてのエンドは万引き家族のように、底辺ながらも救われるところがないとキツイです。
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