「キスで悲しいメロディが流れる」THE BATMAN ザ・バットマン タカシさんの映画レビュー(感想・評価)
キスで悲しいメロディが流れる
時代の揺り戻しとしてキスがあるのは分かるけれど悲しいメロディが流れるのはさすがに古臭く見えてしまった。犯人が孤児院で育ち法廷会計士をしていると言っていたがよくやってるじゃないか。それにしたって、いかにもな知能犯過ぎる。孤児院×会計士って、バットマンの先輩がそんな映画で主演していたな。ジェフリー・ライトご外部の面倒見が良い頼れるおじさんなのは、どこかで見たなぁと思ったら007でした。
カーチェイスでカット割り過ぎなのが余計に見えてしまう。全体として照明のトーンは格好良くて、男性的ハードボイルドな仕上がりを目指しているのだろうけど、(その副反応として、ダサいキスシーンになってしまった) この時間の長さが気になってしまう。もっとスッキリしたハードボイルドを見たい。カート・コバーンも合ってるけれど、どうしても若くして死んだおじさんになるのを拒否した男の子の印象が強くなってしまう。なので、男子感が全体的に濃い。
物語として出される論点が多すぎるのかもしれない。ウェインの親の闇、検察や警察の賄賂、犯人の動機と出生、キャットウーマンの出生などなど、かなり多いけれどそのどれも決着はつけられないので締まりがなく見える。犯人は途中まで社会正義の為の犯行かと思いきや、島全体を破壊させてしまうので、何がしたいのかよく分からない。山場のネットコミュニティに襲撃させるのは議事堂襲撃がモデルか、それにしたって、デカい丸メガネをみんなで着けているのはミーム感が強い。ミームとしてのテロなんて笑ってしまうけれど、現実に則した結果、こうなってしまったのかな。アジアンヘイトクライムも意識しているよう。
ペンギンの造形が去年見たトム・ハーディのカポネを思い出した。それと、バットマンの目の下をスーツ着ている時に黒いチーク?を塗っているのが、不思議だった。マイ・ケミカル・ロマンスとかエモバンドの雰囲気。
それと、最初の市長に襲いかかるときに殴るより前に声を出ているのが、リアルでも無いしカッコ悪いが気持ち悪さ、不気味さを表現しようとしているなら良い演出だった。