「バットマンで「セブン」を作ろうとした野心作?」THE BATMAN ザ・バットマン tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
バットマンで「セブン」を作ろうとした野心作?
スーツや乗り物以外に特殊能力がなく、基本的に生身の人間であるバットマンの活躍を描くにあたって、ファンタジー色を排した犯罪映画に仕立てたのは正解。地球ではなく、街を守るというスケール感も、身の丈に合っている。ヴィランばかりが目立って、ヒーローの影が薄くなりがちなバットマン映画であるが、本作は、ちゃんとバットマン=ブルース・ウェインの物語になっているのも良い。
ただ、それは、裏を返せば、バットマン映画の最大の魅力であるヴィランのキャラクターが弱いということ。普通の人間が、なぜ、いとも簡単に要人たちを殺害することができたのか、どのようにして、街にはびこる悪事の真相を知り得たのかなど、ミステリーの仕掛けにも穴が目立つ。
そもそも、影の存在であるバットマンが、事件現場で堂々と捜査を行う姿には違和感があるし、終盤、バットマンが、ダークナイトではなく、ホワイトナイトになろうとしているかのような展開にも疑問を感じる。
そうは言っても、ロパート・パティンソンは、心に闇を抱えた主人公に見事にはまっているので、次回作が楽しみではある。
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