劇場公開日 2022年4月1日

「ドクター・モービウス マルチバース・オブ・シニスター・シックス」モービウス 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ドクター・モービウス マルチバース・オブ・シニスター・シックス

2022年8月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

興奮

見てたら、幾つかのヒーローを連想。
コウモリをモチーフは、バットマン。
血への渇望は、ブレイド。
そしたら、本当にバットマンが出てきた!…じゃなくて、『スパイダーマン:ホームカミング』のあのヴィラン。ラストで何やら結託…?
一体、何者…?
俺はヴェノムだ…ってのはジョークとして、

ヴェノムと同じ『スパイダーマン』の敵キャラクター。
MCU版『スパイダーマン』から派生される“SSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)”の、『ヴェノム』2作に続く第3弾。
コウモリの力を宿したダークヒーロー。
モービウス!

『ヴェノム』よろしく、このユニバースは話はチープ。
天才的な頭脳を持ちながらも、子供の頃から治療法の無い血液の難病を患う医師マイケル・モービウス。同じ病を抱える親友マイロと自身の為に治療薬を模索していたある日、吸血コウモリから血清を開発。自身の身体に投与した所、超人的な力を手に入れる。が、その代償として人間の血を摂取しないと生きられない…。殺人事件の容疑をかけられ、さらにマイロも血清を投与し、人々を襲う暴走。自身の身体の苦しみに葛藤しながら、親友の暴走を止める闘いへ…。
苦悩・葛藤、親友との闘いなどドラマチックな要素を描いてはいるものの、引き込まれるような深みは無い。ツッコミ所、難点・粗や雑も多い。
主人公の苦悩・葛藤も典型的、ヴィラン描写もステレオタイプ。二人の子供の頃からの関係やドラマも薄く、グッとさせられるものが無い。よって、やがて闘うに至っても哀しさやスリリングさもいまいち盛り上がらない。
これは演出や脚本が致命的に悪い。来年のラジー賞最有力とまで言われる全米大酷評も分かる気がする。
この点を改善しないと、幾ら今後SSU展開に期待しようとも、企画倒れになってしまうかもしれない。

とは言え、本作はモービウス誕生~紹介編。
私自身も初めましての“モービウス”というキャラを知るには、一定の役割は補った。
コウモリの力を得た事で発揮するそのパワー。
身体能力は、高い壁も軽々と。天井にだってぶら下がる。
俊敏な動き。目にも止まらぬスピード。
力も凄まじい。片手で人を鷲掴みし、鋭い爪の一撃で死に至らしめる。…アレ? コウモリってこんなに力あったっけ?…って事はさておき。
コウモリのように反響音で空間を把握するビジュアルは秀逸。
スローモーションを駆使し、劇画のようなCGアクションもクール。
ユーモラスなヴェノムよりダークヒーローな魅力はあり、コウモリの特性を活かしたアクション共々、今後の見せ方次第では際立ったキャラになれそう。

序盤の痩せ細った身体。力を得てからの筋肉質な身体。
人間マイケルと怪物モービウスの演じ分け。
苦悩・葛藤の熱演。凄みのある怪演。
凝った役作りや巧演を披露し、カメレオン俳優ジャレッド・レト劇場。
敵役マット・スミスが何だか途中からウィレム・デフォーに見えてきて…。
登場人物が少ない上に、周りがあまり特色ナシ。そのせいで、最後に登場したあのヴィランがインパクトさらっていっちゃった。
でも正直、ほとんどの人が気になるのはこの一点に尽きるかも。

『アメイジング・スパイダーマン』の頃から企画されていた、スパイダーマンの敵キャラクターで構成される“シニスター・シックス”。
一度企画は消えかかるも、『ヴェノム』の成功で再計画。
『スパイダーマン』との世界や『ヴェノム』との繋がりも示唆され、本作ラストの展開、今後もSSUワールドの『クレイヴン・ザ・ハンター』『マダム・ウェブ』が公開予定。
シニスター・シックスのマルチバースは開いたばかり。

近大