泣く子はいねぇがのレビュー・感想・評価
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なんの救いもない主人公なのに傑作
全く良いところのない主人公。これがリアルな人間。目標も無ければ、頑張りもない。かといってワルにもなれない。前半のワンチャンラッキーな展開なのに怖じ気づいて。元妻に何も示さずもう一回チャンスをなんて都合良すぎな考え方が多くの人間。 映画というより見せ方解っているドキュメンタリーのような映画。 吉岡里帆は幸薄な女性が少し鼻についた。美人路線が無理なので演技派に路線にかえました感がバレバレ。そこだけがこの映画の失敗。 余貴美子、柳葉敏郎など脇も良い感じ。リアル田舎の人々。
太賀くん、いいねぇ。
とにかく太賀くんがいい。 どの表情切り取っても、主人公の後藤の頼りなさとか、ひたむきさとか、他人に流されてしまう弱さとか、誠実さとかが滲み出ていて、気がついたら感情移入させられてしまっている。 作品的にはごくごく小品だし、内容的にも取り立て凄いというものでもないけど、太賀くんの演技だけでも見る価値あると思う。 ラストの前での吉岡里帆の表情もいい。 あの表情だけで、いろんなことが伝わってくる。 でも、一番良かったのは、太賀くんと吉岡里帆が車の中で話すシーン。どちらかというと静かなシーンだし、ほとんど後部座席からのアングルなのに、それぞれのまとまらない思いみたいなものが溢れていて、心に沁みました。
勘違い
162本目。 もう最初に、ああなった時点で何故誰も止めない? それがずっと引っ掛かってる。 飲ませれば、これはヤバいと気付くから誰か止めない? とは何かを起こさなきゃ映画にならないし。 贖罪と言ってもいい感じだけど、俺は逃げる人生もあってもいいと思っているからなぁ。 是枝監督作品だと思い観てたら、エンドロールで、えっ?企画が是枝さん。 初見の監督だとは思うけど、似せなくてもいいのではと思う。 色がないと言うか。 でも最後は良かった。
余貴美子と吉岡里帆
ナマハゲの時に酒で失態やらかした男が妻と娘を秋田に残し東京に出て行き、居場所が無いからまた秋田に戻って元妻と娘に会おうとする話。 仲野太賀が弱っちい男を演じてて、演技は良かったが、全く共感出来ない。ラストもダメ。 全体的に話が切れまくっててよくわからない。 お母さん役の余貴美子の優しさと、元妻役の吉岡里帆が良かった。
【居場所】
東京に居場所はないと言うが、実は田舎にも居場所は少なかったりする。 仕事が少ないかもしれないし、くだらなく感じる因習だって多いに違いない。 もしかしたら、なまはげ自身も同様かもしれない。 僕は男鹿に親戚がいる、 幼い頃、男鹿の大叔母のところに遊びに行って、なまはげのエキシビジョンのパフォーマンスに連れて行かれて、大泣きしたのを覚えている。 「泣ぐ子(ご)はいねぇがぁ」と怒声を聞いて、思いっきり泣いていた。 そして、それを父が笑って見ているのに気がついて、とんでもないことだと怒りとも悲しみともつかない気持ちになったことを思い出す。 僕達には実は定まった居場所なんてない。 もともとないのだ。 だから、辛いのだ。 だから、辛さを堪えたり、頑張ったり、励ましあったり、努力したり、悲しみを乗り越えようとしたりするのだ。 車の助手席のことねの横顔。 たすくのなまはげを家に招き入れる時のことねの表情。 言葉はなくても、たすくに強いメッセージを発しているように感じた。 誰にも居場所なんてもともとないのだ。 だから、頑張ってきたのだと。 お前は何をしているのだと。 年老いて父や母はいずれは亡くなる。 友人もバラバラになったり、家庭を持ったりする。 製材所だって人手に渡る。 考えると辛いことだらけだ。 男鹿のなまはげだって、少子高齢化で、未婚男子が基本のなまはげのなり手は激減し、大晦日に子供が怖がるから、なまはげの来訪を断る家も多くなっていると聞く。 なまはげだって居場所が保証されているわけではない。 「泣ぐ子(ご)はいねぇがぁ」と捲し立てながら、なまはげも実は泣いているのかもしれないのだ。 たすくも凪と一緒に泣いていたのかもしれない。 でも、泣いてばかりはいられない。踏み出さなくてはならないのだから。
良かった
大げさな演出や派手さはないが、終始見入ってしまった。 キャスティングもすごく良かった。 コツメカワウソのような太賀、脇役だけど主役のような存在感はさすがの寛一郎。柳葉さんも、まさに適役で。 本物だから途中訛りが強くて聞き取れないシーンも。(笑) 東北の自然や寂れた街の風景。 懐かしくて涙が出そうだった。 話している相手、水族館の魚、写し出されるまでの時間が愛おしい。うまいなぁ。 これからの作品も期待したい。
愛しく哀しきクズ男の(再生は出来ない)物語
自分も含めて大半の男はクズである。 男は良い意味ではロマンチストだが、悪い意味ではいつも地に足がついていない。 永遠に大人になれない大人。 今度こそちゃんとするからと、何度も過ちを繰り返す。はたから見たら滑稽で喜劇だが、身内から見れば単なる悲劇でしかない。 主人公(たすく)をみて、「自分は彼とは全然違う」と胸を張って言える男はどれだけいるのだろうか。妻(ことね)の冷ややかな視線を前にすると、男はヘビに睨まれたカエルのようだ。 エンディングには多くの観客が引き込まれると思うが、個人的にはふたりが海を前に車の前席で会話するシーンが一番印象的。 後ろから撮るとドラマとして画になりにくいかもしれないけど、とても現実的なシーン。 演じる吉岡里帆の沈黙の間や顔を見ないで相手を突き放すところに彼女のすばらしい演技をみせてもらった(彼女は大根役者だという人は是非この作品をみてから感想を言って欲しい)。 また、義母せつ子との再会シーンでそれまで歩んできた生活の苦労や、これから歩み始める新しい生活への決意をひと言二言のセリフと顔の表情だけで表現している。 ナマハゲを作品の中心におくのも素晴らしいアイディアだし、男鹿の風景や東京とのコントラストの描き方に何度もうならされる。 佐藤快磨監督の作品は初めて観るが、とてつもない才能と今後の大活躍を感じさせてくれる。とてつもない完成度の高さ。これからの作品がますます楽しみ。 しかし幼少期にナマハゲに襲われたらトラウマになりそう…
身に覚えが
酒の上の失敗。この映画程ではないですが、ありました。家族の反応もあんなものです。 ペーソスのある失敗を純文学のように淡々と描いています。何かにハマっていて家族が冷たい目で眺めていると気づいたら身につまされる映画です。
だから映画は辞められない
新しい才能の登場を素直に喜びたい気分です。 佐藤快磨監督、良いじゃないですか。 映像、音楽、脚本、演技、私はすべて支持します。特にオープニングで正月飾りがストンと落ちる演出はこれから始まる作品全編を暗喩していたようで印象的。 是枝監督の秘蔵っ子(噂?)らしいけど、師匠の良いところをしっかり受け止めて、加えてさらにしなやかで瑞々しい。好みです。 次回作も期待します。がっかりさせないでくださいね。精進してください。
経世済民!
経済の事を経世済民と言う。経済で民を救う事を意味する。こんな日本に誰がした!私も無知で小泉政権に騙された口だが、構造改革とはインフレ対策である。デフレの時にやるのはタブーである。最近知ったが日本は国債をいくら発行しても自国通貨だてなら破綻しないらしい。インフレ率に気をつけてさえいれば。日本に必要なのは、消費意欲が生産性を上回るまで積極的な財政出動らしい。このコロナ化財政出動して国民を救う事が必要なのに構造改革とか言ってできていない。日本が国債で破綻しない事は財務省も認めている。構造改革で国際金融資本に日本を売っていいのか?例えば、大店法を改正して、地方にイオンを作ることを許し、商店街を潰し、日本は災害大国なのに、公共工事を半分にまで減らし、インフラ整備を怠り被害が甚大になった。 一度落ちたらどうやって這い上がればいいんだ今の日本は! 富裕層も他人事ではない!南海トラフ、首都直下型地震は来る。 災害が少ない欧米なら個人主義でいいかもしれない。だが、災害大国の日本では助け合うために共同体を守らないと駄目だ。 この映画の主人公はどうしたらよかったのだろう? 東京一極集中では地方が廃れて日本が衰退していくことの兆しが感じられた救いのない映画でした。
彼の叫びは娘に届いたのか・・・
こういう人っていますよね、私の知り合いでも、普段はおとなしく、家族思いなんですが、お酒が入ると豹変していまう・・・・ 結局、その知り合いもお酒が止められなく離婚と言う終焉を迎えましたが・・・ 本作品も大人にんりきれず、父親になりきれないひとりの男性が、秋田のなまはげを通して、最後は父親になるって話ですが、私とは対照的な主人公なので、見ていてイライラするばかりで・・・・ しかし、好きなモノを絶って本当に辛いんでしょうね・・・私ならきっかけや理由があれば止められると思いますが、こういう人って本当にいますよね・・・ また、本作品、主人公の話を通して、秋田の伝統なお祭り、なまはげを通して、少子高齢化社会や地元に若い人がどんどん居なくなることで、伝統的なお祭りも開催が危ぶまれていく様を伝えています。 最後の叫びは、主人公にとってどういう意味が有ったのか・・・・ 本作品で考えさせられる人もいるのではないないでしょうか・・・
うわぁ、すごくよかった。
泣げぇぇぇーーーー!!!! 今にも泣き出しそうなのは自分自身だった。そして父になる --- 少し遅すぎたかもしれないけど落とし前。親は子を守って回りまわって家族のつながり。泣いたのは他の誰でもない自分だった!これは俺への"お小遣い"か?んだ。とにかく役者の力、太賀のすごさ。吉岡里帆も普段のキラキラさが無くていい。安定の太賀必殺ヘラヘラごめん。安定の近年ベスト・オブ・友達役寛一郎いいよな。主人公家族のキャスティングがいい、安定の大ベテラン余貴美子さん流石っす。 秋田県出身の佐藤監督が描くなまはげ。同じく秋田県出身の"ギバちゃん"柳葉敏郎も出ており、その役が作中テレビの取材で言うことが本作のテーマをなまはげに親しみのない人にも届けていると思う(ex.『ノーカントリー』トミー・リー・ジョーンズのキャスティング?)。男性はいつ父になるのだろうか?分かりやすく誰にも等しく伝わる答えなんて無いけどきっと。他でもない、仮面の下でどれだけ泣いたってそれを見せはしない。ただ溢れ出すばかり。 凪と名づけた娘ができた主人公。テレビ局も駆けつけた、なまはげの夜に酒に酔って全裸で走り回ったことから、離婚し東京に。おかげでなまはげの伝統は危ぶまれる始末。けど2年後、義父の訃報を聞いたことから帰省した主人公は、別れた妻を探し回る。ユーモアのセンスが絶妙で最高、クセになっちゃう。これは笑ってしまうよ、けどふとした瞬間に込み上げるものもあって…。エンディング曲もすごくよかった オンライン試写会、海賊版とかネット流出・悪用防止のためだろうけど、画面3方向に「フィルマークス」「バンダイナムコ」「SAMPLE」と文字情報多くて笑ってしまった。 いつまでもあると思うな親と金 「決めたの、君じゃないって」「チャンスがほしいです」「もう生きてける」今日だけはお願いします!今日だけはお願いします!「パパいるから大丈夫だよ」
日本映画の未来は明るい
ある試写会にて観賞。 是枝監督の秘蔵っ子、佐藤快磨監督が初の劇場映画。 率直な感想「やべぇ天才が現れた、、」 ユーモアとペーソスの教科書のようなシナリオ、細やかな演出力、音楽、カメラどれを取っても抜群に良い。 全てのキャストが光り輝いていた。 会う人会う人に薦めまくっています。 11/20に日本映画界の明るい未来が誕生する。 佐藤監督の大きな背中を押した是枝監督に感謝します。
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