泣く子はいねぇがのレビュー・感想・評価
全92件中、1~20件目を表示
ラストシーンが凄い。「そうきたか!」ってね
冒頭からずっと、主人公に説教したくなる感じを覚えながら見ていました。「愛がなんだ」で抱いた感情と同じヤツ。しかし、ずーっと溜まっていたフラストレーションが、最後の最後にぶっ飛びます。「そうか。それがやりたかったのか!」ラストシーンで涙出そうになったよ。佐藤快磨監督のデビュー作、お見事です。新しい才能の登場ですね。
ちなみに、本作はサンセバスチャン映画祭で撮影賞を受賞しています。撮影監督は月永雄太。
この日の思いを胸に生きる
地元なまはげ祭り
酒の勢いにのまれ失敗し過ぎた男、たすく
この夫と生きるのはもう無理だと決めた嫁、ことね
前兆は既にあった
たすくがあやすが泣き止まない我が子・凪を
ことねが交代し
凪にいう
ー怖かったね、もう大丈夫
茫然とするたすく、。。
もう夫婦はグレーゾーンに居た
いや正確にいえば、ことねは居た
ーなにへらへらしてんの?
ーごめん
つかれきった嫁の顔
ーいつか限界になる
うっすら笑うたすく
ーなーんも考えてないっしっょ
とうに2人の雲行きを感じ取っている義父もたすくに言う
ー空っぽになったらおしまい
ー飲まないよね?
ことねのそらさない鋭いまなざし
たじろぐたすくに
なまはげ様も神様も仏様も
そっぽをむく
自分でつくり、生み出し、にぎらなければいけないこの男にないものがみえる
自信のかけらと誠意のしるしだ
100歩どころじゃなく譲られたなら守るべき責任があった祭りの席
伝統行事の後継をのぞむ夏井のことばや地元ならではの盛り上がりにたすくは自分の居場所と役目を感じとり、持ち前の明るい思考でたすくは勢いをつける
そしてついにあの時のことねのまなざしを忘れた
波ざわめく夜
太鼓の響き、なまはげが威勢よく脅す声、ちいさな子供の叫び声
路上ではテレビの生中継で雄弁に語る夏井
そこに千鳥足で横ぎる全裸のなまはげ・たすく
凪をあやしながらみえた画面に固まることね
見覚えしかない終焉の後ろ姿
最悪すぎた
終わった感しかなかった
離婚されたたすくは東京に居る
新しい環境にいても取り返しのつかない過去を引きずり、うだつの上がらない空虚感が漂う
知り合いの女の子に誘われても煮え切らず情けない男に思われたり、志波とでかけた居酒屋で夏井がなまはげついて謝罪してる番組を目にしたり、義父が亡くなりことねは水商売をしているときいたり。ハズレのおまけで因縁をつけられたりと運まで悪い
志波との会話では
ー全員 他人だや
と、孤独感が出ている
ーお前父親だろ?
といわれ、
ーいや、お前に関係ないから
と、投げやりにもなっている
空気の悪さはmaxだが幼馴染は見捨てない
そのまま明け方の公園
ー楽しいよ、こっちは
あまりに嘘だ
志波にもカラスにも見抜かれているたすくの本心が
間もなく夜行バスで
兄と母がいる実家に向かわせる
あの件以来なのだろう
ーいろいろごめんね
たすくが絞り出した言葉を
そらし、晩飯の支度に立つ母のやさしさ
許し切れていない兄は素気なく
ーお前はいいな好き勝手に生きれて
ーみんな忘れようとしてくれている 余計なことをするな
とののしる
笑うたすく
笑ってしまう、これがいけないんだよ たすくくん
ー端からみたらそうなの
兄だからこそ、怯まずはっきり言う。アレが、とりかえしのつかないことだったことを
志波が仕事中の赤い屋根の上
ー男鹿にも東京にねぇもんいっぺえあんだろ
志波はたすくが大すきだな。
こんなたすくだけど、そばにいてほしそうだ
たすくはそれほど気にしていないが、志波がそれをたびたび口にするのが二人の関係っぽい
ながまだまだたすくはことねへの未練で頭がいっぱいでようやく見つける
ー何しに来たの?
ーあなたみたいに、バカなことしない
ー私 再婚するの
去ることね
立ち尽くすたすく
ー止めてほしいようにみえた
志波にそれを報告するたすく
いや、みえなかった
ことねの、たすくを好きだけど、違う人生を行きますという固い意志だけがみえたよね?
みえたけど?
たすくは、純粋で鈍いのだ
絶望的場面の単独な前向き感をきちんとキープする
そして持ち前の人間らしい泥臭さで、志波がかかわってるちょっとあやしい密猟商売に片足をつっこみながらも、ことねと凪への金を貯めはじめる
あやしい経営者が言った怖い言葉
ーみんなのなまはげ
わわわ〜ぞっとした
知り合いだらけの田舎で、なまはげの災いが脈々と生きているとしか思えない
そして、
ー東京にねぇもん
いっぺぇ あんだろ
志波がまたまた伝えたい、ふるさとには捨てない繋がり
役所で久々の夏井に見つかり
熱く叱られながら、たすくはすごすごと立ち去ってしまう
夏井、めをつむり上をみあげる
お手上げの情けなさかみしめてたな
だめだなーたすくくん
そこもだめだめなんだよ、きっと
ことねはパチンコ屋でたすくの母をみかける
妊娠以来のタバコ復活だというせつ子のストレスを感じたのだろう、涙目になることね
ーお義母さん、私…
ーだいじょぶだぁ
言葉をさえぎりうなずくせつ子
だめ息子の元嫁の決断に理解と尊重を義母は表した
少し気分が晴れやかになったのか、義母に安心を与えるためか、ことねは明るく手を振り去る
反対に思いの募った表情がそのまま佇むせつ子から漏れる
数日後、たすくと一緒に居たアイス販売の仕事先で倒れたのは心労が原因だよね
ことねが聞きつけ心配してあらわれたすくに再会
たすくは嬉しくて明らかに態度が緩んでる
素直すぎる
許される予感でもしたか?
車の中で話すことねの目は変わらず冷静でたすくを君と呼び心の距離をとっている
謝罪とチャンスを乞うたすくに
ー決めたの
君じゃないって
ーその「君」ってやめてよ
ー忘れてほしい
ーもう生きていける
車から出るバタンの音が
おしまいと言った
ことねは前向きに、生活していく手段をかんがえて支度していた
あれからなにも進展なしのたすくとの差はっきり
ことねの見極めはただしかったと思う
たすくは凪をみたくてこっそりとお遊戯会へ
ことねは今後のだんなさんといる
しかし、自分のこどもがわからない
これが現実なのだ
ふがいなさの沼に居るたすくは父の遺品の材料で彫ったお面でなまはげになることを決める
居合わせた志波が着替えを手伝う腐れ縁がなんともあたたかなシーン
(親父の撮ったビデオテープ、みつけた感動も束の間。。。しかし兄弟の笑顔、そして兄の本音と涙。これもあたたかかった。)
なまはげたすく、夏井率いるなまはげたちにでくわし、とがめられるが志波が夏井をおさえこみふりきる
向かう先は。。。
(真剣に教えようとするこんな先輩がいるって、ありがたく貴重ですよね)
クライマックス
東北の凍てつく夜の雪
だめだめなたすくなまはげのがんばりどころが来る
むすこ凪のもとへ
ガラス越しすぐに気づいたことねは
お面の奥の目をじっと見据える
この無言の二人の目と目の演技に
しびれた
凪にあいにきたたすくの気持ちをついに認め、団欒の声がする室内に通してくれたことね
ここを通しても揺るがない母としての強さが
新しい結婚指輪に一筋の哀しさ以上のものを宿らせていた
ことねの新しい居場所
親戚一同がぐるりと囲む立派な座敷に
新しい父の膝でおびえるちいさな凪
たすくが凪の名を叫ぶ、全身全霊で
愛を込め
自分みたいになるなを込め
ことねを頼むを込めたか
激しいなまはげの雄叫びに泣きわめく凪
おそらく最初で最後だろうが
凪の産みの父としてのなまはげになれたたすく
この日の思いを胸に
きっとまた憎みきれないたすくらしく周りに愛され
何度もくじけながら
前向きに生きていくだろうとおもった
仲野太賀、吉岡里帆
憑依したようなたすくとことね
人間らしい愛と涙の感動の一作です
長くなりました…
覆水盆に返らず
ほんの軽い気持ちでした行いが一生の後悔に繋がることはよくあることなのだとおもいます。飲み過ぎも含めて。
実際に起きてから謝ったり反省したりするのではなく、始めからそういう姿勢で大切な人には向き合いたいと改めて感じました。
加速
話し相手によってセリフ数の違いが極端にあらわれていたので、元妻とのシーンが後半になっていけばいくほど寂しさや虚しさがどんどん加速していった
いい作品でした。
田舎は閉塞感とやり直しのきかない社会
ダメ男がデキ婚するものの、やっぱりダメで、なまはげの時に泥酔してお面をかぶったまま全裸で徘徊しているところがTV中継され、それが原因で秋田にも居れなくなり東京に行く。
東京でもパッとせず秋田に戻ってくるものの、やり直ししたいが親友以外は誰も相手にしない。
全裸事件でなまはげの存続も危ぶまれるほどだったが、それを無視して離れた娘のところになまはげの格好で行く。その仮面をつけないと娘に会えない現実。ダメ男は分かりながらもそれしか方法がないので、招かざる客にもかかわらず再婚相手の家に押しかける。
救いようがないダメ男は結局なにをやっても空回りをする。仲野太賀はそんなダメ男を演じさせるとピカイチである。仮面越しで接する子どもたちに仮面の内側の人格は何も求めないが、それによってなまはげには厚く敬う。人格ではなく、仮面を敬うと言ったらいいだろうか。
あの公園はどこですか?
「大人になりきれない、すべての大人たちへ」
まんまとこの言葉に引っかかり観に行きました。
ごく普通の一般家庭に産まれて
そんなに厳しく親に叱られることもなく
真面目な兄がいて
なんの不自由もなく楽しく生きてきた呑気な次男坊が主役。多分。
やることやって子供ができて現実と精神年齢が追いつかない。
今日から父親だとわかっていても慌てず危機感も覚悟もなく
とりあえず出生届けを出して。人に言われてようやく。
で、あの事件。
「若いもんが何考えてんのかわからんよ」
「お前はいいな 好き勝手生きれて」
「凪ちゃんの父親にお前意外でもなれるんだや。仕方ねえけど」
母親、兄、親友、地元のおやっさん、彼女。
周りから散々いろいろ言われて
しかも彼女はもう次の人生をスタートさせようとしているのを知って
ようやく呑気な自分と向き合って情けないのと悔しいのが混ざり合った
多分人生で初めて抱いたであろうこの感情が
心の底から本音の気持ちを絞り出した。
「俺が父親だよっ」
ほんとどうしょうもない時間のかかるやつだけど
その決断と行動力は正解だよ。カッコ悪いけど。
それより、闇サザエの社長?のあと引くセリフとか
その社長の女?が握るおにぎりの場面とか
飲み屋で喧嘩売られた後、キャンディー舐めながら遠くの高層ビルを眺めてた
あの公園の場所とかそっちが気になってしょうがないです。
ほんっとに太賀って‥
ダメ野郎で可哀想な役ばっかり。そして抜群にうまい。3年越しに娘と会っても誰だかわからない。ああやって会うことしか出来ない。逆にその手があったかと。泣く子はお前だ。
ひとつの疑問
主人公が海岸の岩場で海に向かってへんな踊りをする(そして双眼鏡で海の方をみる)シーンが何回かありますが、あれが意味が分かりません。見ながらゲラゲラ笑っていました。わたしの推測では、アルバイトの一種だったのだと解釈しています。どなたか、分かる方がいらっしゃいましたら、コメントにて教えてください。気になっていますが、かといってもう一回本作を見直す気もありませんので。
田舎が怖い
なまはげよりも、田舎の村社会の方がよほど怖いです。周りが知り合いだらけというのは、何とも息が詰まる。内容は、あまり面白くなかったです。
民俗文化の伝承モノかと勘違い
水曜日のメンズデイにいつもの映画館で
上映終了終演後振り返ったら観客はそこそこいた
先週のヤクザと家族の残念をリカバーしたかった
チラシは見ていたが
民俗文化の伝承モノかと勘違いしていて当初ノーマークだった
タイトルからオラの県モノだろうしな と思ってちと下調べ
監督は秋田県人 おまけに是枝監督が絡んでいると
これは観るしかない
結果は上々
今年のオラの10本に入ると思う
いろいろうまくいかない主人公がどうにかこうにか
ニヤニヤしながらダラダラ生きていく
主人公のアホ面がたまらない
ちょっとした秋田弁のあいさつとかがかなりリアル
市役所の居眠り職員とか 警察署員とか
エピソードのひとつひとつが可笑しい
なかでも兄弟が唯一心を通わせて爆笑するエピソードが最高だ
FUJIFILMの重ね録り
その後の展開のもの悲しさとの落差もいい
あとは車で女子たちを送る仕事についたときのシーン
真ん中の女子が発する言葉は次の世紀に持っていきたい
保育園で見せる主人公の表情は可笑しさと悲しさの表裏
柳葉敏郎は大捜査線の室井を超えるハマり役だった
あぁいうオヤジはホントにいる
というかホントに秋田に住んでるオヤジだからなぁ
監督自らの編集にこだわりを感じた
だいぶはしょられているのではないかと思うが
行間を想像して埋めるのも楽しい
白クマの意味とかはいまだによく分からんが
個人的に 幼児がぎゃぁぎゃぁ泣いている姿を観るのが好きだ
なまはげもそうだが泣き相撲のニュース映像も大好きだ
泣くと肺が強くなるとかいうこじつけも好きだ
で ラストシーン…最高
他にも思い出して笑えるシーンが多すぎて書ききれない
怪しい民宿のオヤジ まずい握り飯…
あぁ面白かった
エンドロール プロデューサーに福山雅治と
同姓同名かと思いきや是枝人脈か…
元が取れたのかが若干心配だが次回作もお願い致します
仮面の下の慟哭
親になる覚悟も、大人に覚悟もなかった主人公たすく(仲野太賀さん)の成長の物語。
なにしろラストシーンが素晴らしい。
全てがこのラストに凝縮されている。
多種多様な”慟哭”の表現を観てきたが、こんな表現もあったかと。
このシーンだけでも観られてよかった。
伝統行事「ナマハゲ」についても知ることができた。
”やらかして”しまったたすくが地元に居場所をなくすのだが、祭りとは本来若者が溜め込んだ鬱積を発露する場でもあったのではないか。
たすくがしてしまったことを肯定はしないが、「ナマハゲ」が文化遺産で観光資源の位置づけになり変質してしまったのかと。
”東京”を体現する古川琴音さんも、透明感を抑えた?吉岡里帆さんもイイです。
でも、やはり仲野太賀さんが素晴らしい。
ラストシーンと仲野太賀さんを観るだけでも満足できる映画でした。
大人になれない大人
2021年2月14日@京都シネマ
公開当初から気になっていたが、出不精が発症し、観に行けず断念していたところ、京都シネマで遅れて上映していたので、飛んで行きました。
京都シネマは関西に残る数少ないミニシアターなのだが、お洒落で人気もあるようです。すごく素敵な場所で、私個人としても好きです。
さて映画の感想ですが、とてもよかったです。
日本人に生まれて良かった、邦画っていいなぁと思う作品でした。
いつまでたっても大人になれない主人公たすくが右往左往しながらもがく姿は、観ているこちら側にも伝わるほど痛々しく、恥ずかしくて見れられないという感じでした。
そこがリアルで、仲野太賀はすごい俳優だなぁと思いました。
また、ことね役の吉岡里帆も良い演技で、今までのドラマでの役の雰囲気と全然違いました。もっとちゃんとした映画に出演しているところを観たいと思いました。
特に、最後のたすくがなまはげとしてなぎに会いに来た際の、ガラス越しでの表情の演技は緊張感がすごく伝わりました。
映画の序盤、たすくはへらへらした誤魔化し笑いをする癖がありましたが、自分の生き方やことねと向き合いにつれて、その癖は無くなっていきます。
こういう誤魔化し笑いする人いるなぁと思いながら見てました。
印象に残っている場面は、たすくが幼稚園の参観を覗くシーンです。
自分の娘(なぎ)がいるかもしれないから見てみようくらいのつもりで行ったら、自分の娘の顔が分からないことを自覚し、ことねと新しい旦那が自分の娘をハンディカムで撮影しているところを目撃し、焦り、情けなくなるというところ。(よくあの場所でアイス売ろうと思ったなと逆に感心しました笑)
仲野太賀はこういう場面で、わざとらしくなくリアルでグサっと来る演技をするなぁと思いました。
最後、どうしても我が娘の顔を見たいと、ナマハゲに扮して、ことねの家に行く場面はグッと来ました。
夏井が映画の序盤で言った、ナマハゲは家族の絆をつなぐ役割があるというセリフが頭をよぎりました。
いつまでたっても大人になれなかったたすくがナマハゲで家族を見つめ直し、けじめをつけて、大人になるのだなと。
余貴美子の妖怪のような演技が好きでした笑
吉岡里帆、素晴らしい!
久々に観た「正統派の名作邦画」。
やや間延びし過ぎのシーンと、音声が聞き取りにくい点が残念だったが、邦画でもこのような奥の深い素晴らしいものがあるんだと、しばし余韻に浸れた。
前宣伝では吉岡里帆があたかも助演であるかのように見えるが、実際には出演シーンはごくわずか。
しかし、わずかであるにもかかわらず、彼女の存在感と演技には圧倒された。
車内でたすくに最後通告するシーンの横顔。
特にラストの無言でナマハゲを受け入れる時の表情。
どちらもどんギツネの可愛らしいアイドルチックな吉岡里帆からは想像もできない姿だが、それが凄く自然で印象的だった。
彼女のことをグラビア出身の見た目だけの女優と思っている人は、是非この映画で彼女の演技を見てほしい。
吉岡里帆でなかったら、この映画はここまで素晴らしいものにはならなかっただろう。
誰のなんの
誰と何のストーリーなのか。でも、こんなものなんだきっと。いろんな自業自得の中で人生は進んでいって、でもそれがあたかも被害者のように演技していつしかそんな気になって行く。それで打ちのめされて、そして立ち上がっていく。
実際、大賀の中途半端加減とか、打ちのめされていくところとかがとても良いからこの話はたすくの話として進んでいく。
でもこれ、ほんとは、ことねの話だしナギの話だし、ギバちゃんの話だし、古川琴音の話なんだろうなぁとも思いつつ。
話としてはもう一つインパクトが欲しかったけど、、
娘を見つけられなかった大賀の顔が本当に良かった
観てて少し辛くなることも(秋田県民です)。
自分の知ってる場所が映るかな、くらいのノリで観に行きました。
全体的にダークで、ちょっと目を背けたくなるような日常とか、まあ秋田だし仕方ないよね、ってな場面がいくつかありましたが・・・伝統行事の在り方など、リアルに直面してる問題がさらけ出されてて、秋田に住む人間としては色々考えさせられる映画でした。
閉鎖的な秋田の文化がうまく表現されてる映画かな、と。
個人的には、ババヘラのおばちゃんが「おめ、酒飲んでねべな」っつーシーンで声出して笑っちゃいました(笑)。
保育園に行ったものの、どれが自分の子供なのか分からない・・・あれが切なかった。
ああいう時の太賀くんの表情は秀逸ですね。ナイスキャスト!
演技は素晴らしいんですが、余さんの秋田弁がほんのちょっとイマイチだったので★一つマイナスです。なんていうか~、仕方ないんですが、どうしてもババヘラのおばちゃん達と比べちゃって(笑)。ババヘラの方々は秋田の方ですか?もうホント、訛りが近所のかあさんでした(笑)。
最後のシーンですが、いきなり座敷の一番奥の子供までまっすぐ進んで「なぎーーーーっ!」って叫んだら、普通「え?」ってなるとこですが、そこが秋田弁の「泣げーーーーーーーっ!」とうまくかぶってて、あ、だから「凪」って名前なんだ?!って勝手に納得した私でした。
親になるということ
キャスティングが良かったなという印象がまず起こる。
主人公、たすく訳の仲野太賀、
悪びれてない、というより悪い役柄っぽさがつきづらいイメージがある
その一方で頼りない、情けない、力もないの「3ない」が
観る側に寄り添ったリアリティと、客観的に観たときのヘタレっぷりがいい。
友人、志波役の寛一郎は良かった。
一昔前の表現でいうと「悪友」、ただたぶん「親友」だと思う。
こんなに付き合いのいい友人は自分にいただろうかと思い起こさせる。
東京で会って喧嘩して一緒に喧嘩に巻き込まれて
地元に戻ったたすくに怪しい働き口を斡旋したり。
そのおかげで警察に捕まってしまうも恨みをぶつけることなく、
ラストもたすくに付き合う。友人ってこういう人のことをいうのかもしれない。
ただ何故か最近のこういった良作の邦画、
居酒屋でトラブル起こし過ぎ疑惑はある(笑)
「佐々木、イン、マイマイン」でもそうだった。
ほとんど笑みや笑顔を見せない吉岡里帆も新鮮だった。
目線が終始辛いなと主人公目線になって思えるほど。
主人公との関係性の揺れ動きも中盤~終盤あたりの
やや厳しさが緩和されたかなと思える海辺の車中のやり取りの
バランスが良かったなと。
また、なんとなく強要まではしないけど、断りづらい田舎の感じもリアルだった。
主人公の粗相になまはげの風習の運命が影響しすぎではないかと思う感じもあったけど、
田舎で文化の担い手が減っている中だとそれも起こり得ることなのかなとも。
終盤の主人公兄弟の会話が一番印象に残る名シーンだと思った。
それまではあまり描かれない二人の関係性が
無駄と無理のない中であのシーンの間だけで絶妙に変化していっている様、
もう昔には戻れないということを互いに確認し合うような
おかしさと切なさがあって、あのやり取りは秀逸だった。
ラストのなまはげシーンは勢いがあったのはいいけれども、
もう少しバランスを保った方が良かったかなと思った。
真っ先に娘の元に行っちゃってずーっと娘に張り付いていたので、
どラストとは言え、他の子どもたちにもやってあげようよって思ってしまった(笑)
独身で子どももいないけれども、
親になるというのはそんなに大仰なことでもないにしても、
その一歩踏み出すところがどれだけ大きいことなのかというのを
丁寧に描いてくれたのはありがたい。
製作側も演者も全ての人の良さが立っていた
大人になるとは何か。
親になるとは何か。
誰かと共に生きるとは何か。
残すべき文化の価値とは何か。
過ちから許されるにはどうすれば良いのか。
他者を赦すとはどういうことか。
その瞬間選んだのは、自分のためか、他者のためか。
さまざまな問いかけを得ました。
これを、閉鎖的であろう秋田という土地を、文化や方言も含めた形で映画化しているところが、何とも秀逸だと思いました。
脚本もストーリーも配役も素晴らしいし、一人ひとりの「眼で語る演技」が光っていました。「こうするしかなかった」ラストシーン、感動しました。
製作側も演者も全ての人の良さが浮き立つ、素晴らしい映画でした!
なまはげで始まりなまはげで終わる秋田ご当地
2020年映画館鑑賞135作品目
宮城も岩手も上映期間終了
地元秋田のイオンシネマ大曲では今月24日まで上映する粋な計らい
悪天候で一般道の路面状況が悪いなか東北自動車道を北上し北上JCTから秋田自動車道
数多くのトンネルを抜けてやっと着いたイオンシネマ大曲
男鹿市で伝統芸能なまはげに参加していた若い男後藤たすくは妻から禁じられている酒を飲んでしまい大失敗
地元のテレビ局が取材中に酒癖の悪さで全裸になり生で放送され地元は大騒ぎ
妻とは離婚することになり逃げるように東京に移り住むもそこにも居場所はない
妻の父親の死をきっかけに男鹿市に帰り別れた元妻とよりを戻そうとするも結局は覆水盆に返らず
夏井の反対を押し切りことねの嫁ぎ先になまはげとして訪れたたすくは何度も叫んで強引に家に入ろうとする
鬼のような形相のことねだがたすくを迎え入れる
「泣く子はいねぇが!」
たすくはナマハゲとして娘と再会できるのだった
悪友志波亮介のバイトはサザエやウニの密猟
たすくは志波のお手伝い
志波に対するたすくのジェスチャーが面白い
保育園のお遊戯に行っても自分の娘が誰なのかわからないのが悲しい
ダメな主人公に対し女たちはみなズケズケ言うが悪い気はしなかった
余貴美子はもちろんのこと吉岡里帆も良かった
あと岸井ゆきのだと思ったら別人で古川琴音だった
ダメダメぶりが引っ張る
メインの仲野太賀、吉岡里帆と寛一郎がともにいい味を出しているが、4〜5年かけた秋田出身の佐藤監督らの企画のもと、男鹿の風土によるステージがもたらしたものとうかがわれる。特に激しく波打つ海を借景に情緒漂うシーンは圧巻。
仲野太賀が扮する「たすく」のダメダメぶりが、物語りを終始引っ張る。やっぱり男の主人公は出来が悪い方が感情移入しやすく、太賀には、うだつの上がらなさを演じる巧みさが感じられる。特に男性なら共感できる部分が多いのでは。
たすくの娘を育てる「ことね」を演じる吉岡里帆は福祉ドラマ、東野映画や、どんぎつねとURであーる。の印象しかなかったが、少し古めかしい役をしっとりとこなせるのを確認、収穫であった。今のエンタメ界は彼女を上手く活かしていると言い難く今後の展開を見守りたい。
また、たすくの再生を応援する友人役の寛一郎は『一度も撃ってません』以来だが、たすくと言葉を交わす際の独特の間が面白く、ロケ中での男鹿の温泉のミーティングの効果か。たすくが培った活力のマグマが源泉となり、この作品の核となるラストに向かっていく。
さらに仲野太賀の子供の時から交流のある、秋田のご当地俳優ギバちゃんが花を添えるほか(太賀の父が演じた『チョロ』が懐かしい)、母役の余貴美子のババヘラアイスなど見どころが多い。『春』と題した主題歌も効果的に作品全体をもり立てている。
深みが足りない
自分のことしか考えてないやん!たすくは。
作品のなかで、まったく成長してないやん(怒)
自分が甲斐性なくて会わせてもらえない娘に合うために
神聖な 「ナマハゲ」を利用するんじゃないっ!て思っちゃいました。
だから ひとっつも泣けませんでした。
役者の皆様はとても良かったのですが、
脚本に、深み成分が足りないように感じてしまいました。
全92件中、1~20件目を表示