劇場公開日 2020年3月20日

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「好きじゃないのに魅力的だと思ってしまうカリスマ性」三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5好きじゃないのに魅力的だと思ってしまうカリスマ性

2020年8月2日
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鑑賞方法:映画館

三島由紀夫に対する思い入れどころか、作品さえも読んだことのない自分がなぜこの映画を観たのだろう。それはもうタイトルに惹かれたからだと思う。なんて刺激的なタイトルなのだろう。
50年前に東大全共闘が主催した三島由紀夫との討論会の映像に、当事者やゆかりのある専門家たちのインタビューを追加したドキュメンタリー。正直、喧々諤々の大激論を想像していたので若干肩透かしにあった気分だった。
映像の三島由紀夫は論理的に話そうと心がけていたし、話し方も紳士的で笑いもとるくらいのユーモアもある。あー、この人は魅力にあふれていると感じた。三島の考え方は好きではないが、好きになる人の気持ちもわかった。
日本の左翼運動・学生運動はなぜ廃れたのか。学生たちがふっかける論点や三島と議論する内容はかなり哲学的で難しい表現であった(時代が違うといえばそれまでだが)。彼らは革命への熱情はあったと思うが、思考遊びが過ぎたのではないか。大衆の支持を失っていった一因はそんなところにあるのかもなんてことを考えてしまった。
不思議なことに、基本的には昔の討論とインタビューを交互に映し出すだけの映画だが、飽きずに観ることができた。昔の映像の加工であったり、全体の構成がよかったんだなと実感。こんなドキュメンタリーならまた観たい。

kenshuchu