ぶあいそうな手紙
劇場公開日:2020年7月18日
解説
手紙の代読と代筆を通して交流を深めていく老人と娘の姿を、おかしくも温かく描いたブラジル発のハートウォーミングストーリー。ブラジル南部のポルトアレグレに暮らす78歳のエルネスト。隣国ウルグアイからブラジルにやって来て46年になるエルネストは、頑固で融通がきかず、うんちく好きの独居老人だ。老境を迎え、視力をほとんど失ってしまったため大好きな読書もままならなくなってしまった彼のもとに一通の手紙が届く。手紙の差出人はウルグアイ時代の友人の妻だった。手紙が読めないエルネストは、偶然知り合ったブラジル娘のビアに手紙を読んでくれるように頼む。手紙の代読と手紙の代筆のため、ビアがエルネストの部屋に出入りするようになるが……。主人公エルネスト役をウルグアイ映画「ウィスキー」に主演した名優ホルヘ・ボラーニが演じる。ブラジル・サンパウロ国際映画祭批評家賞、ウルグアイ・プンタデルエステ国際映画祭では観客賞と最優秀男優賞を受賞。
2019年製作/123分/G/ブラジル
原題:Aos olhos de Ernesto
配給:ムヴィオラ
スタッフ・キャスト
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2022年11月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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孫の年ほど離れた家無し娘ビアとの出会いを通して愛情を表すことの大切さを学び、かつての友人の妻ルシアの元へ。エルネストのアパートを託されたビアのその後が気になる。ラストが爽やかなストーリー。
2022年9月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
最後にビアに書いて貰った手紙は息子宛だった展開にハッとしました。
ブラジル🇧🇷という国柄も感じられました。
とても雰囲気のある秀作でした。
視力をほぼ失った独居老人・エルネストと、手紙の代読・代筆をするビア。
この2人の「じいじと孫」的な、微妙な関係。
ビアは最初手癖が良くなかったりして「大丈夫かなあ」と不安でしたが。
エルネストが紡ぎ出す言葉や、ちょっとした教えで。
ビアは「人を大切に思うことの、奥深さ」を学んでいく。
そしてエルネストもまた、それを改めて確認していく。
この凸凹コンビが、時に愉快でしんみりもしたり。
耳の遠い・隣人との「老老コンビ」も、いいアクセント。
「老いとはいろんなことを分かち合う人を、失くすこと」。
なんとなく、わかるような気がする。
名画座系の渋い作品ですが、最後意外な結末でほろっ。
劇中のアコーディオンの音楽もなおよろし🪗。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「手紙の言葉は味がある。死後もずっと残る物」
2022年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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老いや孤独と縁遠くそれらを無意識に恐怖している若者は見ないだろう作品。自分にとって『孤独』は重なる部分があるから興味を惹かれた。普段こういう現実におけるリアルな私生活を描いた作品(日常もの)は自分が現実逃避として嗜む創作媒体として映画やアニメ、小説で好き好んで見ることはない。しかし、DVDのジャケットに写るエルンストとビアの二人の剽軽でありつつもコントラストのある『でこぼこコンビ』としてのビジュアルと、タイトルから連想される頑固な爺さんが人の温もりを伝達する手紙をどうしていくのか気になり借りて視聴する事となった。
手紙の代読を題材とした作品としてヴァイオレット・エヴァーガーデン(アニメ、2018年1月 - 4月放送)があり、それを連想する作品であった。時期を調べるとヴァイオレット・エヴァーガーデンの放送後の2019/10/4釜山国際映画祭で公開となってはいたが、映画作成にかかった時間を考えるとおそらく影響を受けたわけではないと思う。
内容は、頑固なお爺さんであるエルンストが個性があり手癖が悪く彼氏に問題を抱えていながらも人間性の奥深いところに例えば気持ちを伝えるのにためらわない素直さを持ったビアと出会い、最初はお互い利用知合うような形ではあったが、徐々に信用していく。エルンストはビアの『人に率直な気持ちを伝える』力に促されて自分の中でカチカチになってた頑固さを克服していく。ビアとの手紙という人に気持ちを伝える共同作業を行う中で、エルンストは孫や息子に自分の本心を伝え、ラストでは昔愛していたルシアの家に行き着くことができた。
この変化はビアがなければ起きなかった。普通は人は自分の固定観念に飲まれて変化できず、自分の今のカチカチな思い込みに支配されて身動き取れず終わっていく。いかに人との出会い、人とのコミュニケーションの中で自分の持っていないものを補っていくことが価値あることか、自分の内に秘めた思いを他人に伝えることが大切であるかを教えてくれる作品。
この作品をみて印象に残った二点として、ポルトガル語では「乾杯」を「ティンティン」ということを知ったことが一点。もう一点は映画の舞台ブラジルでは路上で『叙情詩テロ』という集会が社会的に抑圧された人々によってどうやら行われているらしいという事。社会を風刺するラップバトルに似たものだと思うが、そういう集会を詳しく知らないのでもっとその文化についてドキュメンタリー等で知りたいと思った。