「スケボーはコントロール」行き止まりの世界に生まれて 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
スケボーはコントロール
ロストベルトの街で、貧困と暴力が日常の家庭でそだった3人のスケーターたちのドキュメンタリー。理不尽な理由で暴力を振るわれた3人の少年たちは、居場所をストリートに求め、スケートボードに明け暮れる。監督自身も登場人物の一人でスケーターだ。彼は、スケートボードを通して、自分の痛みに対してのコントロール感覚を取り戻していったと語っている。登場人物の一人は、「スケボーはコントロールだ、細部までコントロールできないとイカれた世界でマトモじゃいられない」と言う。自分がコントロールを間違えば転んで痛みを得る、コントロールに成功すれば痛みはない。親からの暴力は自分でコントロールできない理不尽なものだ。だから、彼らはストリートで自分たちの試行錯誤によって得た痛みを通して人生をコントロールすることを学んだ。
彼らの置かれた状況は厳しい。それでも、自分で人生をコントロールする意思を捨てずに、希望を掴んでいく。アメリカの今を切り取る最上級の青春映画だ。
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